考察
私の体験は以上のとおりです。ここからは、私自身の考えを述べてみたいと思います。
もし、この一件をご自身の見方で考察されたい方がいらっしゃれば、この先は読まないほうがいいかもしれません。
そもそも、私がこの話を考えよう、もしくは、考えなければならないと思ったのは、『K実が本当に怪異に遭ったのか、それとも別の何かが起きたのか』という疑問からでした。もちろん、K実の最後の補遺にあったことは当然私も疑問に思っていましたし、その疑問に対する考察もK実のものは妥当だと考えました。
ここからは私の考えの整理の意味も込めて、K実が挙げなかった疑問について、考えていきたいと思います。
1 G氏が起こした『間違い』とは何だったのか?
2 K実が経験したことは本当に【磯撫デ】の仕業だったのか?
3 K実はなぜ死んだのか?
鈴本氏によれば、G氏は間違いを犯したとのことです。その『間違い』が起きたのは12年前でしょう。そして、その時にあったことといえば、G氏のオジ(叔父、伯父、どちらかは不明です)が行方不明になったことでした。
もともと豊漁祭は山の幸、特に必要とあれば肉を供物にする祭でした。K実が考えたように、それはマヤやアステカにおける『生贄』と類似した考え方です。肉食で神は若返る、というわけです。
大胆な仮説を考えます。
12年前までは、豊漁祭の神はせいぜい食すとしてもイノシシなどの肉だったのでしょう。もし、ここで誤って人肉を与えたとしたら?イノシシなどよりも人肉の方が生贄としては上位でしょう。一度与えられてしまった人肉・・・神は以降、イノシシなどを受け取らなくなる・・・そう考えると鈴本氏の「用をなさなくなった」の言葉は違った意味に捉えられます。
今までの豊漁祭のやり方では『意味がなくなった』・・・と。
つまり、12年前、何らかの過ちでG氏はオジを神である【磯撫デ】に捧げてしまった。もしかしたら何らか誤って殺してしまったオジの死体を海に投げ込んだか、岬にあるという神社に隠したのかもしれません。ああ、考えてみれば後者の方がありそうですね。神社は代々網元のG家が管理しているのですから、他人は入ることができない。死体を隠すのにはうってつけだった・・・のかもしれません。
G氏は『隠した』つもりが、神の立場からすれば『捧げられた』となったとしたら?
ここで、人肉食に目覚めてしまった【磯撫デ】が暴走を始めたとしたらどうでしょう。これが【磯撫デ】=「怪異」の真相ではないか・・・と考えてみました。
そうすると、ふたつ目の疑問の答えに別の選択肢が入ってきます。
振り返ってみると、G氏はK実の取材に非協力的でした。いいえ、G氏だけではないです。Aさんも、H夫妻もです。例外は役所の人と少しボケの入った鈴本氏です。
この違いは何でしょうか?
Aさんは古参の仲居です。親族にもしかしたら漁業関係者がいたかもしれません。
H夫妻は運送業者です。漁港で運送するといえば漁業関係の貨物に決まっています。
ふたりともG氏に圧力をかけられていたのかもしれない、というのは考えすぎでしょうか?
そして、K実は自らの『仮説』をAに話しています。
AはG氏とつながっている。もし、G氏がオジを殺した犯人だとしたら、K実の取材結果は10年以上前の自らの犯罪を掘り起こしかねない脅威と映ったかもしれません。
そこでG氏はK実を夜の海岸におびき寄せて、海に引っ張り込もうとしたのではないでしょうか?場合によってはH夫妻やAなどが手伝ったかもしれません。
やり方は、砂浜に埋めた網を沖の船舶で思いっきりひっぱる、などの方法を取ったのかもしれないと考えました。この時、彼らに殺意があったのは明白です。だからこそ、K実は私に連絡を取ろうとし、取材ノートを託そうとしたのでしょう。
そして、その彼女が死んだのです。
警察は取材ノートの件には一切触れませんでした。
おそらく彼女の荷物の中には取材ノートのオリジナルがあったはずです。それを見れば、私と同じ結論に至ってもおかしくないのですが、そうならなかった。なぜでしょう?
おそらく犯人が持ち去ったのではないかと私は考えました。
むしろ、取材ノートを抹殺するためにK実を殺害したとも考えられるわけです。
さて、私は今こうして、この話をネットにアップしています。
これは自衛のためです。
地域名、名前を伏せ字にしているのは、この記事自体が検索されてしまい、万が一にも私の身元を辿られるのが恐ろしいからです。
それならアップしないのがいいのかというと、そんな事はありません。これを私だけが知っている状態が危ないのです。
なので、この記事を共有します。
皆さんは、どうお考えでしょうか?