表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/25

衣装。

 真っ赤な花のようなドレスを体にあてられ。


「お似合いですわ」

「とてもお綺麗です」


 そう褒めそやすお針子さんたち。


 耳が丸い。ねずみ系の獣人? なのかな。

 かわいらしいお顔にまあるい耳が乗って、手指も小さい。

 この小さい手が縫い物なんかに有利なんだろうか?

 チャキチャキ動く二人。ほんと雰囲気が小動物といった感じだ。


 ドレスはなぜか赤系が多かった。

 レオンハルトさまが自ら選んだ色だという話だったけれど、わたくしに似合いそうな色が彼にはこういった赤系に見えているのだろう。


 薄いピンク系や、ベージュ、そしてスカイブルーな色のものもあるけれど、数の多さでは圧倒的に赤だった。

 確かに。姉様は昔から赤いドレスを着ていることが多かった。

 わたくしは、そのお古をもらっていたからやっぱり自然と赤いドレスになる。

 どこかで姉様を見かけたのだとしたら、そんな赤が印象に残っていたのかもしれない。


 それとも。


 わたくしも姉様も髪色が赤みがかったブラウンなので、その色に合わせてくれたのだろうか?


 どちらにしても、赤色は好きな色だから、嬉しい。

 いろんな赤がある中、わたくしは薔薇のようなデザインのドレスを選んだ。


 いくつもの大輪の薔薇が浮き出たような。

 ふんわりとしたスカートも、薔薇の花弁を集めたように見える赤いドレス。


 デコルテは大胆に開いているけれど、それでも充分気品があるように見える。

 ふわっとした肩までのドレスに、同じ柄のふんわりとした付け袖。


(これを着て、レオンハルトさまの隣に立つの、かしら……)


 ここに来るまでは考えても見なかったそんな状況。

 嘘、だけど。偽物、替え玉、だけど。

 心がざわめく。


(本当に、いいの?)


 そう、逡巡して。


 ♢ ♢ ♢


 衣装は大急ぎで仕上げるらしい。選んだのは今日の午後に着るドレスと一週間後の披露宴の場で着る衣装の二着。


 今日のドレスが真っ赤な薔薇のドレス。

 披露宴用は同じ薔薇の意匠だけれどもう少し薄い色のピンク。

 今日の分のサイズお直しが済むまでの間、わたくしはお風呂で磨かれることになるらしいとミーア。

 衣装合わせの大部屋から外に出て、今度は大浴場に向かうのだとのことだった。


(お部屋のお風呂よりも大きいのかな)


 そんなふうに思いながら。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ