レオ。
とりあえず子猫はわたくしの部屋に連れて行った。
そこにベッドとおトイレを用意する。
「寝室で猫を飼うのですか?」
レイアはそう非難めいた声をあげた。
「だって、この子を一人別の部屋に入れておくわけにもいかないもの」
「ですが、猫トイレまで……となると匂いますよ? 色々と」
「ごめんなさい。なるべくお掃除頑張るから」
「もう、お嬢様にそんなことさせられるわけないじゃないですか。まあ、工夫、してみますわ。換気もしないとですね」
「ごめんなさい。お願いね」
「もう。しょうがないですね。まあ任されますよ。確かにこの子を一人にはできませんものね。お嬢様が泣いてしまいますし」
「レイア?」
「ふふ。ほんとしょうがないお嬢様ですね。私がちゃんとお世話いたしますから安心して下さいませな」
お顔は、笑ってる?
おとなしいだけかと思ってたレイアにこんな面があるだなんて。
好感度は……上がってるのかな。
ほんわかとした好きの気持ちが滲み出てきてる。
「ありがとう。レイア。頼りにしてるわ」
満面の笑みでレイアに答える。
わたくしの腕の中で、子猫も一緒ににゃぁと鳴いた。
わたくしのベッドの横に猫用のもふもふのベッドを用意してあげたけど、そこでじっとはしていない子猫。
わたくしのベッドに上がって、座っているわたくしのお尻にくっつくように丸くなっている。
ついついサワサワと撫でてあげると、ごろごろごろと喉を鳴らす音が響いてくる。
名前、どうしよっか。
「ねえレイア。この子の名前、どうしましょう」
「お名前はお嬢様がこれがいいと思ったお名前をつけてあげればいいと思いますわ。きっとこの子もその方が嬉しいですよ」
「そう、かな」
「ええ。お嬢様の気持ちのこもったお名前にしてあげて下さいな」
レイアのこちらを見る目は、完全になんだか生暖かい、何か幼い妹でも見るような? そんな微笑ましいものに変わっていた。
打ち解けてくれたのだと思うと本当に嬉しい。
うん。
「うん。ありがとうレイア。わたくし、頑張ってお名前考えますね」
「はい。直感で、この子に相応しいと思えるお名前が浮かんできたらそれを候補にしてあげて下さいませな。きっと、あまり悩まず、心を安らかにして、この子のことが大好きだって思っていれば自然といいお名前が思い浮かびますわ。そういうものです」
そっか。うん。
あんまり悩まずに、ね。
子猫のお顔を覗き込んでいると、子猫の方もその小さなお顔をあげこちらを覗き見る。
そのお顔がとても可愛くて。
この子は男の子かな。だったら雄々しいお名前がいいのかな。
黄色、金色、そんな色。
まるで獅子のようなそんな色。
レオ。
うん、レオがいい。
わたくしを殺した厄災獣帝のお名前は確かレオンハルト様だったっけ。
綺麗な、それでもってとても恐ろしいあの獣帝。
こんな可愛い子だけど、獣帝にあやかった名前でも、いいよね?
「うん、決めた。あなたのお名前はレオ、よ。ふふ、レオ。いいお名前でしょう?」
「にゃぁ」
レオはわかったとでも言わんばかりにはっきりとした声でにゃぁと鳴いた。




