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空知川の岸辺の憂鬱(二)

全五回連載の二回目です。

 そもそも独歩はなぜ、「空知川の岸辺」になど来たのか。

 独歩の来道は1895年9月、25歳の時のことだが、その年の6月、日清戦争の従軍記者を招いた晩餐会で、17歳の少女と運命的な出会いをする。その少女、佐々城信子は有島武郎「或る女」のヒロイン葉子のモデルなのだが、「新宿中村屋」の相馬黒光の従姉妹にあたる。信子との結婚を願う独歩だが、信子の母親は強硬に反対。以前から北海道移住を考えていた独歩は、信子と二人、新天地での、キリスト教信仰に基づいた新生活を夢見て、土地選定のために札幌へと向かった。

 その年2月、道庁は開拓促進のため、道内9個所の原野の貸し下げを実施する。独歩は来道にあたり、内村鑑三から札幌農学校教授新渡戸稲造を紹介してもらう。新渡戸らの協力もあり、選定作業は順調に進み、移住地を空知川沿岸原野に絞る。候補地の中では札幌からの交通アクセスが最もよかったことなどが理由となったようだ。

 ただし、正規の貸し下げ業務は5月に終了しており、書類不備などの理由で空きが出た区画に限って、現地の担当者の判断で、特別措置として貸し下げが認められていたようだ。札幌の本庁でも詳細は把握しておらず、とりあえず現地に飛んで状況を確認するという、独歩にしてみれば、不安を胸にしての空知行きだった。


 砂川市教育委員会に立ち寄り聞いてみたが、どうも要領を得ない。「調べておきますので、少し時間を下さい」 と、独歩の足跡を知らないことが公務員としての怠慢であるかのような生真面目な対応ぶりが印象に残っている。そこで、図書館に寄ってみたところ、岩井洋氏の「国木田独歩 空知川の岸辺で」という周到な労作を見つけた。疑問は一瞬にして氷解した。結局、ものを調べるには図書館なのだ。

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