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【オリジナルタイBL小説】HOTEL HEAVENLY  作者: ノブナガ・トーキョー
【第四話 罪と裏切り】
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4−4同級生

「…ねぇ、ダーオ。今夜、その話は詳しく聞かせて?ダーオのベッドの上でさ」

「っは…⁉おい、スカイ…!」


ダーオは慌ててスカイを睨むが、そんな威嚇がスカイに効くはずがない。スカイはダーオの腰を抱くと、ダーオの履いているズボンのウエストから指を一本だけ侵入させる。ダーオのセクシーな腰骨を指先で妖しく撫で、スカイはロムを牽制した。


「…ッ」


ダーオが吐息を漏らす。逃げようと腰をよじる。

ロムはそんなダーオを見ていたくない。さっと顔を反らしたロムは卓上にあるウイスキー瓶を強引に掴んでコップに注ぐと、自棄を起こしたように一気に呷った。事情を知らぬジョジョとガンは良い飲みっぷりにロムを囃し立てる。

ロムはいつもの不愛想な表情に顰めた眉を追加して、喉に焼けるアルコールの不快さを感じていた。

ジンジンと粘膜が焼き焦がされる。

ロムはスカイの挑発に完全に心を乱されていた。

ロムの想いを知らぬジョジョとガンは空いたグラスに酒を注いでやる。


「ほら、もっと飲め」


ジョジョとガンは、まさか目の前で三角関係が繰り広げられているとはつゆほども思っていない。彼らの目に映るスカイとダーオは昔から恋仲で、ロムはダーオと仲は良いがスカイにはあまり興味が無い風だった。

むしろロムはダーオ以外とはあまり話をしない。しかしそれはロムが無口な性格だからであって、ダーオと仲良しなのは就学前からの仲だからだと思っている。

まさかそこにロムがダーオに横恋慕の情を抱いているとは想像すら出来ない。

昔からスカイはダーオに歯の浮く様な西洋風の求愛をしていたし、その光景を見慣れたジョジョとガンは飽き飽きとした様子でそんな二人を受け入れていたのだ。ロムは二人の色恋沙汰にさも興味が無さそうに振る舞う態度が板について久しい。

ジョジョとガンが気付けないのも無理は無い。

もしロムがダーオを好きならば、何故スカイの求愛を止めなかったのか。好きな人が目の前で奪われていくのを、ただ指を咥えて見ている人間などこの島には居ない。好きになったら一目惚れでもなんでも、相手の都合など考えずにグイグイいけばいい。

そう考えるジョジョとガンは典型的な島の子だ。


ただスカイだけは、ロムの心の内を察していた。

酔いも回って楽しくなっているジョジョがスカイに話を振る掛ける。


「おい、スカイ。なんでこんな天国にお前が来た?お前はこの島を穢す悪魔じゃないか」


笑いながら酒を呷るジョジョに悪気は無い。ホントン一家のヘブン島開発が島の環境を汚染している、それは紛れも無い事実だ。

子供の頃はただ単純に弱肉強食の世界で生きていた彼らも大人になるにつれ、島の微妙な力関係を知る。ホントンはこの島に無くてはならないが、ホントンはこの島を汚す。当事者であるスカイに食って掛かる程子供ではない。けれど、これくらいの冗談は受け入れるべきだとジョジョは思っている。高校を卒業して大人になった彼らの関係性がほんの少しだけ変わりつつあることへのささやかな抵抗だ。

スカイはジョジョの冗談を軽く躱す。


「…そうそう、本題。実は今日島に来たのは、皆に手伝ってほしい事があって!」


ホントンの人間が島の人間と問題を起こしても、何もい事は無い。スカイはジョジョの笑えない冗談に向き合う気はない。島の人間の愚痴や不満を聞いてやる事も仕事の内だ。スカイはそこを熟知している。

スカイの言葉にジョジョもガンもきょとんとした顔をした。


「手伝い?何だ?」

「俺らが出来る事なんて鼻糞を喰うくらいのもんだぞ、ホントン様」


卑屈な態度を取るジョジョとガンは、かつて子供時代にスカイより優勢だった自分達の立場がもう二度と覆らない事を知っている。同級生と言うだけで親しく会話をしているが、本来スカイはこんな僻地の離島の小汚いバーに居る様な人間ではない。


「ははは…やめてよ、二人とも。島の皆の協力あっての僕達の事業なんだ」


スカイのおべんちゃらはロムを苛立たせる。


「早く言えよ」


ロムが苛ついた声でスカイを促したので、スカイは一瞬ばかり素の表情に戻る。しかし一瞬の時を経ずして上辺に取り繕った笑顔を張り付け、ロムに阿る声を出す。


「えっとね、フルムーンパーティって知ってる?」


スカイの口から飛び出た単語を皆が知らない筈が無い。

タイ本土を隔てた東部にある、タイ有数のリゾートビーチが林立するサムイ島の目玉イベントだ。


「フルムーンパーティの様なイベントをこの島でもやりたいなって考えてるんだよね。でも、僕って友達が少ないじゃない?ジョジョとガンとロムしか友達が居ないんだ」


スカイはそう言って肩を竦める。


「ダーオはどうした?その中には入らないのか?」


ジョジョが揶揄う口調で尋ねる。


「だって、ダーオは僕のお星様だもの。ね?ダーオ」


砂糖に練乳をかけて舐める様な甘いノロケをスカイは平然とやってのける。ダーオは困り顔をしながらも少し嬉しそうで、二人は見つめ合いながらそっと身体を寄せ合うのだ。

そんなダーオを見るのがロムには辛かった。練乳に混ざった砂糖はさながら砂利である。

昔からこの二人が醸す甘ったるい時間は、ロムにとって大声で掻き消してやりたい地獄の時間である。


「でもよ、こんな小さい島でフルムーンパーティの真似事なんて、あっという間に麻薬パーティの温床だぞ」


そう言ったジョジョの懸念は一理ある。本家フルムーンパーティは別名麻薬パーティと言われ、その界隈では悪名高い。


「俺は賛成できない」


きっぱりと言い切ったのはロムだった。



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