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異世界コネクト  作者: 在原ナオ
第1章 異世界からの訪問者
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第1話 日常

 苦しい高校生活の中で唯一の救いであるのは。学校まで徒歩十分もかからないことだ。しかもコンビニが数か所もある。俺はあえて、その距離を自転車で行っている。楽だし風が気持ちいのでこの登校がおなじみとなっている。近くのコンビニで適当に食料を買い、急いで学校に向かう。お弁当の種類で迷うのは人類の永遠の悩みなのではないか。そんなどうでもいいことを考えながら高校の門をくぐる。

 さて、俺が通っている高校だが、偏差値もそこそこある名門の私立高校だ。名前を荒神学園という。物々しい名前だが、これは単純にこの町の名前が荒神町ということに由来する。

部活動でも様々な実績を残しており、先日も確かサッカー部が全国大会出場を決めたのだとか。うちのクラスでも様々な分野で全国クラスの人がざらにいる。そんな教室に通うのは正直肩身が狭いが、仕事が忙しすぎて部活動ができないのを許してほしい。俺だってそこそこ運動神経がある。やっぱり仕事を休止しようか本格的に悩んできた。

 そんなこんなで、俺が通う2年A組に到着する。ガラガラとドアを開けると


「おっす蓮。今日も死にかけてるな」

「おはよう蓮。今日も目が死んでるね」

「やかましいわい」


と掛け合いをして席に掛ける。

最初に声をかけた気さくそうな方が東城吾郎(とうじょうごろう)

おとなしそうに見えて意外に毒を吐くのが佐々木龍馬(ささきりょうま)

この学校で数少ない気が許せる男友達だ。


 意外にも教室には人が少ない。おそらく部活動の朝練に励んでいるんだろう。ご苦労なことだ。教室が喧騒に包まれる中、二人が席に近づいてきた。ホームルームが始まるまで他愛もない会話をしていると


「そういえば今朝はすごかったね」

「そーだな、俺あれで朝起きたからな」

(・・・?)


俺が疑問を感じていることに気づいたのだろう、龍馬が


「地震だよ、地震!ビックリしたんだから」

「結構でかかったぜ」

「マジで?全然気づかなかった」


 さすがにそれは危ないな。災害がいつの間にかに起きて知らないうちに死んでいるなんてことになったら生きてる意味がない。おそらく昨日夜遅くまでパソコンと向き合っていたのが原因だ。話を聞いていくうちにそれがかなり大きかったものだと知る。隣町の家が何件か潰れたのだとか。


「仕事、減らした方がいいんじゃない?いろいろと危ないよ」


 龍馬が心配してくれている。しかし生活費に充てている反面、やらなければいけないのだから仕方がない。考えとくよとぶっきらぼうに言うと、ちょうど担任が教室に入ってきた。気づけばほとんどの生徒が登校し、ホームルームが始まろうとしていた。


(やばいな集中力が足りてない)


 幸いなことに一時間目は寝ていても支障がないだろう数学だった。俺は数学に関しては高校卒業レベルまで学習済みのため、授業をやらなくてもいい。現に数学で満点以外をとったことがない。そしてプログラミング言語を扱っているため,英語などにも自信がある。それもこれもエンジニアの真似事で、プログラミングを始めた恩恵だった


(寝るか)


そうして俺は意識を闇に落としていく・・・



          



 その後の授業は何とか寝ずに昼休みまで持ちこたえることができた。俺は買ってきたコンビニ弁当を出すと、何となく周りに意識を向け


「葉島さん、今日放課後遊びに行こうよ」

「そうよ。たまにはいいじゃない」

 

 多くの男女に囲まれている一人の女子が目に入った。


 「ごめんなさい。今日は家のパーティーに出席しなくちゃいけなくて」


 と申し訳なさそうに謝っていた。

 葉島(はしま)メイ

 この学校でミスコンをやったらおそらくぶっちぎりでトップに躍り出るだろう。長髪の綺麗な黒髪に大きな瞳。いわゆる学校のマドンナ的存在だ。成績優秀、品行方正。さらには社長令嬢であり、そしてこのクラスの委員長でもある。勝ち組とか高嶺の花とは、ああいった人のことをいうんだろう。


 「えーまた今度ね」

 「申し訳ないです・・・」


 はにかみながらそう断ると彼女は仲のいい女友達と一緒に弁当を食べ始めた。


 (大変だな)


 そう思いながら俺も席を立ち吾郎たちのところへ行く。

 きっとあんな人とは関わることはないだろう。

 そう思っていたのだ。今日までは・・・


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