表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/54

第6話


 スパーダが暴れたため、俺はシャドーアサシンを憑霊し、その体を影で縛り付けた。

 彼はしきりに暴れていたが剣を握れない状況では彼の才能は発動しない。


 そのままスパーダを肩に乗せるようにして担いでいると、一緒についてきていたルーナがこちらを覗きこんできた。


「に、兄さん……なんだかめちゃくちゃ強くなっていませんか?」

「まあ、な。それについてはあとで詳しく話すよ。とりあえず今はスパーダたちにやられたことについて、説明しにいかないとだ。それでルーナ。迷宮から帰ってきた『ブレイブヒーロー』の奴らはなんて言ってたんだ?」


 『ブレイブヒーロー』はスパーダたちのパーティー名だ。

 俺の問いかけにルーナは顔を沈めた。


「……スパーダから直接聞いた話ですが、彼はこう話していました。『エミルは自ら志願し、オレたちを逃がすために残ってくれた』と。ギルドにもそのように報告をしていました」

「実際はパラライズの魔法を使って俺を動けなくして無理やり置き去りにしたんだけどな」

「……そんな」


 ちら、とルーナはスパーダを睨みつけた。

 スパーダはぶんぶんと首を横に振って暴れていた。口元にまで影をあてているため、彼はくぐもった声をあげるばかりだ。

 ……まあ、それを外したところで好き勝手に叫び続けるだけなので、俺はそのままにしてギルドまで歩いていった。


 ギルドが見えてきた。

 冒険者たちからの俺への注目がすさまじい。

 俺が死んだと聞かされていた人々は、ぎょっとした目を向けてきた。


 そして次にスパーダの状況を見てさらに驚いてもいた。

 ギルドの扉をあけると、鈴が響いた。むわっとした熱気が顔を包み込む。

 そしてまっすぐに受付へと向かうと、ギルド職員が驚いたように目を見開いた。


「え、エミルさん!? い、生きていらしたのですか!?」

「ああ、まあな。……俺が迷宮でスパーダたちに置き去りにされた件について話したい。ギルド長はいないか?」


 俺がそういうと、職員はちらとスパーダを見ていた。……職員の視線はどこか冷めたようなものだった。

 

「……かしこまりました。すぐにギルド長に連絡を――」

「ああ、聞いているぜ?」


 奥の部屋からギルド長が姿を見せた。

 身長二メートル近い大柄な彼は、俺とスパーダを見比べてからじっとスパーダを見た。


「詳しい話を聞こうじゃねぇか。なあスパーダ?」


 ギルド長が威圧するようにそういって、彼の体を担ぎ上げる。

 俺はギルド長に続いて奥の部屋へと向かって歩き出す。


「良かったぜ、エミルが無事でな」


 ギルド長がそういってこちらへと笑いかけてきた。


「……名前まで憶えられているとは思っていませんでした」


 俺は素直な気持ちを口にした。ギルド長と直接かかわりがあったわけではない。

 こういった冒険者の問題が発生したとき、ギルド長に話を通す必要があったからあそこで呼んでもらおうとしただけだったからだ。


「そりゃあな。いつもあんだけ勇者たちのために働いているんだからな。そういうやつの名前くらいは覚えるもんだ。職員全員心配していたんだからな」

「……そうだったんですか?」

「ああ、そうだよ。パーティー内での扱いも良くなかったみたいだしな」


 ……そこまで見られていたのか。それは少し恥ずかしいことだった。

 ギルドの通路を歩き、奥の部屋の扉を押し開ける。

 

「そんじゃまあ、ゆっくり事情でも聴こうかね?」


 ギルド長はにやりと笑って俺とスパーダを見比べてきた。



【重要なお知らせ!】


皆様のおかげで日間ランキング8位になっていました!ありがとうございます!


どうしても5位以内に入りたいので、


「面白そう!」「続きが気になる!」「更新頑張って!」という方は


・ブックマーク

・評価の「☆☆☆☆☆」を「★★★★★」


をしていただきますととても嬉しいです!

モチベーションアップにつながります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

新連載です! よかったら読んでください!
宮廷鍛冶師の幸せな日常 ~どうやら俺は宮廷一の鍛冶師だったようだ。俺を追放した奴らは今さら困り果てているが、もう遅い。俺は隣国で公爵令嬢に溺愛されながらのんびり生きます~


新連載です! よかったら読んでください!
世界最高の精霊術師 ~双子だからと虐げられていた私は、実は精霊たちに溺愛されていたようです。私を追放してしまった家は……後悔してももう遅いです~


短編です! よかったら読んでください!
サディスティックな公爵様 ~巫女だった私は婚約破棄され、家を追放され、そして、公爵様に拾われる。実は世界最高の巫女だったと気づいても今さらもう遅いです~


短編です! よかったら読んでください!
俺の妹はツンデレらしいが、そんなこと言われても困る ~今さら告白されてももう遅いって! 今までの関係がそう簡単に変わるわけがない!~


短編です! よかったら読んでください!
異世界召喚された聖女は最強です ~攻撃魔法が使えない無能だと罵られた私だったけど、攻撃魔法以外の才能はすべて天才級でした。今さらオレのパーティーに来いといわれてももう遅いですよ?~
― 新着の感想 ―
[気になる点] パラライズとかの状態異常も再生で解除できそうだけど、さすがにレベル差があり過ぎて無理だった感じなのかな?
[一言] なろうってギルド長大柄な男以外いないのか
[一言] いつも面白い作品ありがとうございます。ストーリー展開や主人公もさることながら、何よりも読みやすい文体が気に入っています。今回は複数同時の執筆ということで、さぞ大変かと思いますが、ゆっくりでも…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ