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第40話


 ギルドに戻った俺はすぐに職員に話をし、それからギルド長の元へと案内してもらう。

 ギルド長の部屋に入った俺は、早速本題へと入った。


「それで、どうだったんだ?」

「グリフォンが発見できました。それ以外は特にはありませんでしたね。グリフォンも一体しか見当たりませんでした」


 そういうと、ギルド長は難しい顔で腕を組む。


「グリフォンか……グリフォンは空を飛べるからな。住む場所をただ変えただけって可能性もあるんだよな。一体だけとなると……群れからハブられた個体とかは十分に考えられるからな。……とりあえず、分かったよ。ありがとな」


 ギルド長はぽりぽりと頭をかいていた。

 ……悩ましいところのようだな。


 迷宮爆発に備え、例えば高ランクの冒険者を呼びたい気持ちもあるのだろうが、これで群れからハブられたグリフォンでした、となれば経費だけが無駄にかかってしまうだろう。


 ギルド長というのは大変なんだなぁ、と思いながら俺はギルドを出た。

 それから向かった先は冒険者通りだ。


 ここにきた理由は簡単だ。

 ……ルーナの誕生日プレゼントの購入だ。


 着々と迫ってきているのだが、まだプレゼントは用意できていない。


 色々とルーナとともに見て回っていたが、あくまで購入は一人で行うつもりだった。

 やっぱりプレゼントといえばサプライズ気味のほうが良いからだ。


 ルーナは「別にプレゼントとかいらないですよ?」といつも言っていたけど、それでもアクセサリーとかにまったく興味がないということもない。


 控えめな、あまり値段の張るものでなければ彼女もきっと受け取りやすいし、喜んでくれるだろう。


 そう思いながら街を歩いていく。

 今は夕方。


 人の出入りが増え始めてくる時間だ。

 あと一時間もすれば、ルーナとの待ち合わせの時間になる。

 ……今日も決まらないかもしれないな。そんな時だった。

 

「あれ? やや、エミルさん?」


 明るい調子の声でそう声をかけてきたのはエフィだ。 

 アローとともにパーティーを組んでいる冒険者だ。

 今日は一人のようだ。


「あれ、他の仲間たちはいないのか?」

「今日のレベル上げは早めに切り上げたんだよね。それで今は自由行動中」

「そうなんだな」


 同じパーティーだからといって四六時中一緒にというのはあまりない。

 それこそ、家族でパーティーでも組んでいない限り、結局のところは他人だからな。

 エフィは俺の隣に並んで、小首をかしげてきた。

 

「エミルさんは何しているのかな? アクセサリーとか興味ある感じとか?」

「いや、そうじゃなくてな。前にアローと一緒にいた居酒屋覚えているか?」

「アタシたちが初めて会った時の場所?」

「そうそう。あの時に一緒にいた女の子覚えているか?」

「あー。覚えてるよ! 滅茶苦茶カワイイ子だよね? 何々? 彼女さんなの?」

「いや、妹みたいなものだ。それで、もうすぐ誕生日を迎えるから何かプレゼントでもと思って選んでいたんだよ」


 彼女、とよく誤解される。誤解される原因は四六時中一緒にいて、所かまわずルーナがくっついてくるからだ。

 まあ、男女が二人きりでいたら疑いもするか。


「なるほど! それで、そのプレゼント選び中って感じだったわけだね?」

「そういうことだ。女の目線から何かアドバイスないか?」

「……うーん、アタシはその……あんまりアテにならないかもねぇー。アタシ、あんまり女っぽくないって言われるし!」


 からからとエフィは笑う。

 確かにエフィは、男友達と接するような感覚でいられるが……


「そうなのか?」

「そうなんだよ! ほら、冒険者としてがつがつ上を目指す人もやっぱり女性だと少ないでしょ!? そんで、こんな性格だしね! 男まさりーとか言われることもたびたびあるのですよー」


 ぶすーっと頬を膨らませる。


「でも、エフィだって女の子だと俺は思うけどな」

「……うえ? も、もしかして口説かれてるのアタシ!?」


 少しばかり頬を染めるエフィ。そういった反応が、可愛らしく……さすがに彼女を男っぽい、とは思えなかった。


「いや……そういうわけじゃなくて。……あくまで、一男性としてみればエフィはどこからどう見ても女性なんだから……そういうわけで、何かこう。アドバイスをくれないか?」

「え? う、うん……」


 エフィが頬を赤らめながらぽりぽりとかいていた。


「そ、その……アタシがこんなこと言ったら変に思うかもしれないけど……」

「いや、思わないって」

「そ、そう? ……あ、アタシはその、好きな人から……心のこもったものだったらなんでも……いい、かな?」


 照れた様子で絞り出した言葉に、感銘を受けた。

 ……心のこもったもの、か。

 確かにそうだよな。俺もルーナに色々ともらったことはあったけど、彼女が一生懸命に選んでくれたんだろうなっていうのが伝わるだけで、嬉しかったものだ。


「……そうか。分かった。ありがとう」

「い、いやごめんね!? あんまりアテにならなかったかもだけど……!」

「いや、俺が一番妹に似あうものを渡そうと思えたよ。ありがとう」

「そ、そう? それなら良かった! もう、こんなこといきなり聞かれたから柄にもなく照れちゃったよ!」


 頬を赤くしながらも、彼女はいつもの雰囲気で笑った。


「それじゃあ、何か奢ろうか?」

「えーと、ポーションが足りてないからポーション欲しい!」

「そ、そうじゃなくてな……」

「え? どういうこと?」


 ……お礼として何かプレゼントしようとしたが、彼女の思考の最優先は冒険者に関することのようだ。


 俺が苦笑しながらいくつかポーションを買い、それからもしばらく並んで歩いていると、


「……に、兄さん?」

「ああ、ルーナ」


 ルーナとの待ち合わせ場所に到着した。

 彼女はあわあわと俺とエフィを見比べていた。


「な、なんで女性と一緒に……そ、そちらの方は確か――」

「ども、お兄さん借りちゃってた! ごめんね!」


 エフィが軽い感じでそういうと、ルーナがむすーっと頬を膨らませ俺の腕を掴んできた。


「お、お兄さんじゃないです! わ、私の兄さんです!」

 

 そこに嫉妬するのか……。


「あはは、ごめんごめん。それじゃあね!」


 エフィは片手をあげ、それからさっさと去っていった。


「……なんで一緒にいたんですか」


 ぶすぅっとこちらを睨んでくるルーナ。

 ……いや、でも正直に話すとなるとプレゼントの話もすることになるからな。


「ちょっとアローのことで相談を受けていたんだよ」

「……そうなんですね。あんまり危険なことに首を突っ込まないでくださいね」

「分かってる。ありがとな、心配してくれて」


 とりあえず、うまく誤魔化せたな。

 俺はルーナとともに手を繋いで街を歩いていった。

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