第34話
街へと戻ってきた俺は、ギルドへの報告を行う前にまずは鑑定士の元へと足を運んだ。
「お疲れ様です。いつものウォリアソードでしょうか?」
すっかり顔なじみになった彼がにこりと微笑んできたので、俺は苦笑しながらウォリアソードを差し出した。
「そうなんですけど。いつもとは違ってもう一つ……この剣もみてもらっていいですか?」
俺がそういってサムライオークの刀を彼の方へと向ける。
鑑定士は一瞬驚いたようにその刀を握り、鞘から刀を抜いた。
綺麗な雪のように白い刀身が夕陽に照らされる。
「……素晴らしい刀ですね」
「そうですか?」
あまり刀などを見たことがないのではっきりとは分からない。俺も素人目では、良い刀だとは思っていたけどそれが本当にそうなのかは自信を持っては言えなかった。
「はい……それでは早速鑑定を行っていきますね!」
「はい、お願いします」
鑑定士は笑みとともに手元の紙へとペンを走らせていく。
ウォリアソードをまず確認し、それからすぐに俺の刀を見て……そしてその手がぴたりと止まった。
「ど、どうされましたか?」
驚愕に染まった表情。……もしかして、呪われてしまっていたとかだろうか?
呪われている場合は解呪の才能を持つ人に直してもらう必要があるのだが、これも結構珍しい才能だ。
……解呪に数万ゴールドは吹き飛ぶことになるだろう。
そんな試算をしていると、鑑定士は首を横に振った。
「も、申し訳ありません……こちらの鑑定結果を見ていただければ分かると思います。どうぞ、こちら鑑定結果となります」
鑑定士がすっと鑑定表を差し出してきた。
それを受け取った俺はまずはウォリアソードへと目を通した。
【ウォリアソード+45 レベル2100(2100/5500) 物理攻撃力+20パーセント マジックコーティング】
こちらは順調に成長しているな。
限界突破もそうだが、ここ最近は剣の成長も順調に上がっている。
もしかしたら、ウォリアオークを憑霊している間は経験値の補正が入っているのかもしれない。
そう思えるくらいの成長率だ。
確か、剣術とかの才能を持っていると上がりやすいって聞いたことあるしな。
剣の才能を持つスパーダは、だいたいの剣がすぐに高レベルになっていたし。
俺はそんなことを考えながら、一度深呼吸する。
それから俺はサムライオークの刀の鑑定表を見た。
【雪切 レベル1(1/5000) 居合い効果+15パーセント】
……な、なんだこのレベル上限は!
最初からレベル上限5000の刀に俺は驚きが隠せなかった。
もちろん、これだけでこの刀の性能のすべてを理解することはできなかったが、こんな刀はS……いやSS級の迷宮にでも行かなければ得られないような武器だぞ!
「……どうでしょうか? 私もとても驚きましたね」
「で、ですよね。この居合効果+のスキルって何か分かりませんか?」
「ええ、知っていますよ。確か、侍の才能の中にある居合に関係していたはずです。侍は居合いを中心として攻撃を用いるのですが、その威力をあげる……とかだったはずですね」
さすが、鑑定士として様々なスキル、才能に触れてきているだけはある。
……となると、【憑霊サムライオーク】を使うときの威力が上がるかもしれないな。
「ありがとうございました」
俺は言われた通りの金額を支払って、鑑定士のもとを後にした。
それからギルドへと向かい、俺は受付に今日の出来事を報告する。
こういったドロップアイテムなどの情報はきちんと報告する必要がある。もちろん、それが嘘でなければ
「……お、オーク迷宮の最奥にユニークモンスターのサムライオークが出現して、ドロップアイテムの一つにその刀があるんですね……」
「はい。こちら鑑定表になります」
俺は刀と鑑定表を彼女へと渡すと、驚いたように受付は目を見張る。
「こ、こんな凄い刀がドロップするんですか!?」
彼女の声は周囲の冒険者がびくりと反応するほどには大きかった。
「はい。ちょっとどのくらいでドロップするのかは分かりませんが、とりあえず俺は二度ほど戦いました。ただ、非常に強い魔物ですので……あまり無暗やたらに挑まないほうが良いと思います」
「……そ、そうなんですね。わかりました。この情報は他の冒険者とも共有しますね。それと迷宮に関する注意情報の提供料を支払いますので、ギルドカードの提示をお願いします」
「はい、分かりました」
サムライオークとの遭遇はほとんどない可能性もあるが、もしも万が一があれば危険であるため、このように情報提供料が支払われる。
俺の話は以上なので、その後はすぐにギルドを離れ、鍛冶師の元へと向かった。
マジックコーティングをお願いするためだ。
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