第32話
一週間ほどレベル上げを行った俺は、今日の朝に鑑定してもらったウォリアソードを確認していた。
【ウォリアソード+42 レベル2100(2100/5200) 物理攻撃力+20パーセント マジックコーティング】
あまり排出は良くなかったのかもしれない。一週間のほとんどをウォリアソードの結晶集めに費やしたわりには、これが限界だった。
ただ、かなり剣のレべルは上昇したし、物理攻撃力+20パーセントまで強化された。
これで、かなり強い剣になっただろう。最近では、以前よりも切れ味が増したような気もするしな。
今現在俺はウォリアソードの結晶集めのためにオーク迷宮の攻略中だ。
走りながら、道を塞ぐように出てきた魔物だけは討伐し、攻略を進めていく。
……本当に周回だけなのだが、ウォリアソードの結晶で確実にウォリアソードが強化されていくのは見ていて面白いものがあった。
願わくば、例えば道中にユニークモンスターなどが出るような変化があれば、さらに周回も楽しいものになるんだけどな。
そうして、午前の間に運よく3つのドロップをして、ウォリアソード+45まで強化したときだった。
あと一回15階層に挑んだら昼休憩でも取ろうかな、と思い第15階層に踏み込んだ俺は異様な空気を感じ取っていた。
……こいつはまさか。
自然、口角が吊り上がっていた。
僅かばかりの期待を胸に抱きながら、その階層へと踏みこんでいく。
……サムライオーク。
俺の期待通りに、そいつは姿を見せた。
威風堂々と第15階層の中央に居座り、サムライオークはこちらをじっと見据えていた。
「久しぶり、だな」
俺は絞り出すようにして声をあげる。もちろん、サムライオークが返事をしてくれることはない。
向こうは別の個体だろうから覚えてはいないんだろうな、
サムライオークは腰の刀へとゆっくりと手をのばす。
以前とまったく同じ姿。しかし……以前よりも俺は緊張していたかもしれない。
体が震えているのは……恐怖ではない。
以前は勝てなかった強敵に、もう一度挑めるという高揚感。
それを感じ取っていた俺はぎゅっと剣の柄へと手をやる。
まだ、サムライオークは仕掛けてこない。
俺も油断なく見据えながらも、興奮を抑えるために自分のステータスを確認した。
エミル 男 18歳
体レベル 3611
才能:【再生の勇者:レベル3611】【憑霊ブラッドウルフ:レベル3008】【憑霊ミノタウロス:レベル3001】【憑霊シャドーアサシン:レベル2812】【憑霊ヘビーミノタウロス:レベル2756】【憑霊ダークスケルトン:レベル2709】【憑霊アクアリザードマン:レベル2523】【憑霊ウォリアオーク:レベル2459】【憑霊サムライオーク:レベル1238】
以前よりも一回りは強くなっている。
これで勝てなければ、俺は技術面含めて鍛え直す必要がありそうだ。
最近は少々レベルの上がりが悪くなってきたような気もしていたが、それでもまだまだ十分に一般人の成長速度をはるかにしのぐほどである。
サムライオークが腰を落とす。その柄が僅かに動くのが見えた。
同時、俺は【憑霊サムライオーク】を行い、サムライオークの力を自分の体へと宿す。
振りぬいたのは、同時だった。
サムライオークの斬撃が空間を削るように迫ってくる。
俺の斬撃もまた、その空間を食いちぎるようにして放たれ、サムライオークの居合とぶつかった。
刃をぶつけあったような音が響き、サムライオークの目がすっと鋭くなる。
……通じている。
以前はまるでついていくことが出来なかったサムライオークを上回るように体が動く。
俺はじっとサムライオークを見据え、もう一度腰を落とす。
サムライオークが動くのに合わせ、俺もまた力いっぱいに大地を蹴った。
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