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第28話 スパーダ視点

「スパーダ、ここが今日からおまえが働く場所だ」


 そういって、騎士はオレの背中を突き飛ばすように押した。

 ……その衝撃によって、首につけられていた奴隷の首輪が揺れる。


 くそっ、ふざけやがって! オレはあのときのエミルとの戦いを思い出し、舌打ちをした。


「さっさと歩かないか!」


 騎士が怒鳴りつけるように声を荒らげ、オレは仕方なく歩き出した。


 オレはこれから街を管理する騎士団にて仕事をするそうだ。

 主な仕事は、迷宮の調査と街の治安維持。


 仕事の内容としては、これまでの冒険者時代とそう変わらない。


 ……ただ、自由がなくなるだけだ。

 くそったれが。汚れた扉を苛立ちまじりに押し開け、オレは騎士の宿舎へと入っていく。


 それからオレは騎士の案内のもと、街をまとめる騎士たちの隊長の部屋へと移動した。


 驚いたのはその移動の道中だった。

 ……道を歩く騎士たちには、女性が多くいた。

 女性7、男性3といった割合だろうか?


 ……こ、これは、悪くないかもしれない。

 確かオレは性奴隷として購入されたと聞いた。

 ということは、ここにいる女たちがオレの相手となるのか。


 へへ、ま、顔は微妙な奴もいるが、みんな良い体型をしている。

 そんなふうに物色していると、やがて隊長の部屋へとついた。


「ようこそ、スパーダ。オレは騎士団第六部隊をまとめる、ホゲモイという。よろしく」


 ホゲモイは爽やかな青年だ。……顔だちは、悔しいがオレよりも整っているかもしれない。


「よろしく。ここでオレはこれから奴隷として働かされるんだったな?」

「ああ、そうだ。おまえは勇者の才能を持っていると聞く。活躍を期待しているよ」


 じっとりとこちらの全身を見てくる。……観察されるのはあまり良い気はしないが、彼は騎士たちをまとめる隊長だ。

 ……じっとり、ねっとりと舐め回すように見てくるな。それだけ、警戒しているのかもな。


「分かってるよ。それで? 今日のオレの仕事は?」

「とりあえずは、この騎士団の詰所内を見て回れ。午後には、騎士たちの巡回に付き合って街の構造を覚えるんだ。夜は……もちろん、性奴隷としての仕事も待っている。流れはそんなところだな」

「りょーかいだ」


 まっ、まずは新人研修ってところだろう。

 オレを担当するという騎士とともに、まずは詰所内を移動する。

 宿舎や訓練場など、様々な施設がある。


「それにしても、この部隊はわりと美人が多いんだな」

「そうだな」


 騎士はさして興味なさそうな様子でそう言った。

 思っていたよりも反応が薄いな。


「おまえ、彼女でもいるのか?」

「彼女はいないな」

「なら、気になる奴はいるのか?」

「ん? まあ、そうだな」


 じっとりと騎士がこちらを見てくる。

 ……なんだ? なんでこいつオレにそんな視線を向けてくるんだ?

 少し気になったが、オレはすぐに近くを通った女に目を奪われる。


「めちゃくちゃ綺麗だなあの子。オレは性奴隷としても雇われているからついつい期待しちまうな」

「そうなのか?」

「そうなのか……っておまえ玉ついているのかよ?」


 ……まったく。

 もしかしたらこの部隊は性欲の少ない男たちを配属して、美人の騎士を集めているのかもしれない。


 女たちにとって働きやすい部隊があるというのも聞いたことがあるしな。


「とりあえず、詰所内は生活しながら覚えるとして……街の巡回につれて行ってくれないか?」

「ああ、分かった」


 ……自由な時間は減るが、わりと楽しみもありそうだ。

 そんなことを考えながら、オレは騎士とともに予定されていたスケジュールをこなしていった。




 それから夜。

 性奴隷ということで、きちんと風呂にも入らせてもらえた。

 食事だってしっかり与えられていたので、ここでの生活はかなり良いものかもしれないな。


 あとは欲求不満な女がどれほどの美人か次第だが……。


 オレは伝えられていた部屋へと笑顔とともに飛び込んだ。


「さて、どいつが今日の相手だ?」


 オレは出来る限りの笑顔とともに扉を開けると、そこには薄い服を着ていたホゲモイがいた。


「……あぁ? 部屋間違えたか?」

「いや、間違えていないが」

「じゃ、じゃあ……なんでおまえがいるんだ?」

「今日の夜の相手を努めてもらうからな」


 ……? どういう意味だ?

 オレが混乱していると、ホゲモイがオレの体を押し倒してきた。


「お、おいいきなりなにを……!」


 オレが必死になって抵抗しようとしたが、奴隷の首輪によって力が入らない。

 次の瞬間、首筋に柔らかな感触が襲う。


「これからよろしくな、スパーダ」


 にこりと、ホゲモイがオレに微笑みかけてくる。


「ま、まさか……アッー!?」


 オレは、性奴隷の意味を体で理解した。


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