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第27話

 俺はすぐに再生した体へと、ブラッドウルフをまとった。

 デュラハンは俺のほうへと体を向ける。……頭の部分はどこにも見当たらないが、俺をはっきりと認識しているようだった。


「まずは……ブラッドウルフか」


 あの異常な速度で何をされたのか、分からない。

 俺はじっとデュラハンを見ていると、デュラハンが大地を蹴りつけていた。

 一瞬で俺の眼前に現れた。


 それを、寸前でかわした。

 ……ぶ、ブラッドウルフの速度をもってしても、対応がギリギリだなんて!


 いや、ギリギリじゃない――。

 俺の側頭部へとデュラハンの大剣が捉え、俺は二度目の死を体験することになった。


 ……再生の勇者が発動する。

 肉体の再構築が行われ、傷のすべてがなくなった。


「速度でダメなら、搦め手、か」


 シャドーアサシンをまとい、影を操る。俺の分身のように動く影が、まっすぐデュラハンへと向かう。

 骨や筋肉などがない影は、それこそ自由自在に動く。デュラハンの大剣をかわし、一気に迫りその体へと巻きついた。


 完璧に拘束した。影を操り、地面にデュラハンを縫い付けるように動かし、俺が駆け出した瞬間だった。


「がああ!!」


 デュラハンが地面を踏みつけると同時、周囲を衝撃が抜ける。

 それに影が弾かれる。拘束を破ったデュラハンは跳躍とともに、俺の体へと大剣を振り下ろしてきた。

 その一撃にウォリアソードを合わせる。

 

 腕がへし折れるかのような重みがあった。

 そのまま、力負けした俺は腕を、そして胸を貫かれ、三度目の敗北を喫した。


 ……マジかよ。

 俺は小さく息を吐きながら、【ヘビーミノタウロス】をまとった。

 力勝負で勝つには、これしかない。


「アア!」


 俺はヘビーミノタウロスのように咆哮を上げ、気合を入れ直した。

 格上すぎる相手に、恐怖よりも高揚が勝っている自分を叱りつける。

 楽しむのはいいが、勝つための戦いをしなければならない。


 俺が大地を蹴りつけ、デュラハンの大剣へとウォリアソードを合わせる。

 ……これまでのデュラハンの速度であれば、恐らくは俺の攻撃に合わせる必要なんてなかっただろう。


 しかし、デュラハンはまるで余裕を見せるかのように俺との力勝負に出てくれた。

 舐められている。少しでもデュラハンを追い詰めてやりたい。そんな気持ちも込めて、ウォリアソードを振りぬき――。

 そして、体が硬直する。


 今までならば、相手の剣を弾き飛ばせただろうに……まったくもって動くことはなかった。

 ……いや、それどころではない。デュラハンに少しずつ、押し込まれていく。

 

 俺は唇をぎゅっと結ぶ。しかし、じりじりと押し込まれ――。

 滑るように動いたデュラハンの剣に、俺の首が跳ね飛ばされた。


「……強すぎる、な」


 タウロス迷宮はAランク相当の迷宮ではない。

 ……ここの攻略難易度はSランク、いや下手をすればそれ以上かもしれない。

 俺はウォリアオークをまとい、デュラハンと向かい合う。


 剣による打ち合いでは、技術が乗った分、ウォリアオークがもっともまともにやりあえたかもしれない。


 ……しかし、それでも相手には傷一つつけられなかった。

 サムライオークにしてみたが、居合を当てる隙さえもない。

 今の俺が打てるだけの手はすべて打った。


 ……厳しいな。


「……ていうか、デュラハン。まったく疲れた様子を見せないな!」


 サムライオークとの大きな違いはそこだ。

 ……デュラハンは、いくら攻撃してもまるで力が弱まる気がしないのだ。

 一体何がどうなっているんだ?

 

 ……デュラハンも無限のスタミナを持っているのか、あるいはスタミナを回復できるような才能を持っているのかもしれない。

 どちらにせよ、持久戦による勝利は狙えない。

 そして、現状一撃も当てられていないのなら――。


「……くそっ。滅茶苦茶悔しいが……今回は一度退散するしかない、か」


 俺はデュラハンを一度睨みつけ、それから15階層から逃げ出した。

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