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第25話


 サムライオークとの戦いで、俺はまだまだレベルが低いのだと思わされた。

 レベルだけではない。

 剣の技術、戦いへの姿勢、相手の能力を把握するための眼など、鍛えられる部分はたくさんある。

 

 そういうわけで、より強い魔物と戦う必要があった。

 今俺がいるオフズボンの街周辺では、あまり強い魔物は確認されていないため、レベル上げを行うとなればやはり迷宮だ。


 その中で、最高ランクの迷宮といえばAランクのタウロス迷宮だ。

 Aランク、といっても最初の数階層を調査しての評価になる。つい最近できたばかりでスパーダが無理いって調査依頼を引き受けたのだが、結局失敗。


 今は別の冒険者パーティーに調査依頼を出しているところだが、まだ調査は終わっていないらしく、未だ立ち入り禁止となっていた。

 

 レベル上げを行うのなら、タウロス迷宮に入るのが一番だ。

 実際、俺も最初のレベルが低かったとはいえ、2000レベルまでは一気に跳ね上がったしな。

 最初の頃に比べればレベルアップは落ち着くことになるだろうけど、それでもそれなりに期待が持てるとなれば、やはりタウロス迷宮だ。


 そのため、俺は立ち入りの許可をもらうためにギルドへと来ていた。

 ギルドに入り、受付の職員に声をかけようとしたとき。

 隣のパーティーが目にとまった。向こうもこちらに気付いたようだ。


 ……そう、アローだ。

 弓の勇者アローがそこにいた。


「邪魔ですよ」


 冷たく、罵るようにアローはそういってきた。

 ……まだ俺に対して理不尽な恨みでもあるようだ。

 アローは他に仲間でもいるようで、冒険者たちとともに去っていった。


 まだこの街で冒険者を続けていたんだな、と思った。

 アロー以外の勇者たちの姿は見かけないが、どうしているのだろうか? 

 そんな疑問を抱きながら、俺はギルド職員のもとへと向かった。


「エミル様、お久しぶりです」


 丁寧に頭を下げられる。俺は用件を伝えるため、口を開いた。


「久しぶりです。……今日はタウロス迷宮への立ち入り許可が欲しくてきたんです。調査の方も行いますので……ギルド長に話を通してもらうことってできますか?」

「……しょ、少々お待ちください」


 職員に伝えると、すぐに俺は奥の部屋へと案内される。

 ギルド長が待つ部屋へと入ると、彼は書類に目を通していた。俺に気付くと、手を止めてにやりと笑う。


「おう、エミル。元気そうじゃねぇか」

「はい、おかげさまで」

「タウロス迷宮への立ち入り許可が欲しいんだってな?」

「はい」


 ……やはり、レベルに関してあげるのならあの迷宮が一番だからな。


「ああ、構わないぜ。そのかわり、調査もしっかりとしてくれ。もちろん報酬も支払う」

「もちろんです」

「調査のやり方は分かるか?」

「ええ、どの魔物が何階層に出るのか。そして最終階層は何階層になるのかなどですよね?」

「ああ、そうだ。問題なさそうだな」


 ギルド長がにやりと笑みを浮かべる。

 俺はそこで、一つ気になった。


「そういえば、依頼のほう出していたんですよね? どうしたんですか?」

「なんか、向こうで迷宮暴発が起きたらしくてな。その対応で忙しいらしい」


 ――迷宮暴発ダンジョン・エクスプロージョン

 それは、迷宮周囲に迷宮内の魔物があふれるというものだった。

 そうなってしまうと、迷宮最奥に入り、原因であるボスモンスターを仕留める必要があった。


 問題は魔物が溢れるだけではない。

 迷宮暴発が発生すると、出現する魔物の強さが大きく変わる。


 それこそ、Fランク相当のゴブリンが、Cランク相当のゴブリンになることもある。


 とても危険な現象なのだが、人によっては喜ぶ人もいるとか。

 それは、迷宮暴発によって発生した魔物を狩れる程度の腕を持つ人々だ。


 この迷宮暴発は……絶好のレベルアップの機会でもある。

 迷宮暴発によって出現した魔物の経験値は、非常に多いらしい。

 仮に魔物が大して強化されてなくてもいつもよりも大きく増えるそうだ。


 だから、迷宮暴発次第では、わざと迷宮攻略を遅らせ、経験値稼ぎをさせることもあるのだとか。

 とはいえ、迷宮暴発は時間経過によって魔物が強化され、魔物の出現頻度も変化していく。

 

 ……その判断を見誤り、過去には一つの小さな国が滅びたこともあったとか何とか。


「なるほど、そういうことなんですね」

「……オレが動いてもいいが、一人じゃ結局攻略できねぇしな。それに、もう5000レベルあったのは全盛期の頃の話で、今じゃレベルも落ちてきちまって2800しかねぇしな」


 ギルド長は今年で40半ば。加齢とともにレベルなどは低下していくと聞いたことがあった。


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