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第23話


 仕留めたユニークオークの心臓を取り出し、俺はそれに喰らいついた。

 この心臓が、俺の力となるからだ。

 肉を食べ終えた俺は、僅かな痛みに全身を襲われながら、その力を理解していく。


 体の奥から力が沸き上がる感覚。肉体が一回り成長したのを実感できた。

 そしてステータスを確認し、そこで俺はようやく先ほどの魔物の名前を知る。


【憑霊サムライオーク:レベル1】


 先程戦っていた魔物はサムライオークという魔物だそうだ。ユニークオーク、というのは安直すぎた名前だったか。

 侍といえば、確かそんな才能を持っている人もいたな。


 早速俺は、サムライオークの力を体へとまとう。

 全身へと力を流し、軽く体を動かしてみる。


 肉体の強化具合でいえば、ウォリアオークよりも上だった。……つまり、下手したらSランク級の魔物であった可能性もあるということか。


 剣を握りしめる。

 剣への理解が深まる、といった事はないようだ。単純な剣の技術だけを追い求めるのなら、ウォリアオークのほうがいいかもしれない。


 しかし、ある感覚が体内に生まれた。

 その感覚に従うままに、俺は腰に差した剣の柄を握り、そして――居合を放った。


 すると、俺の眼前を魔力の斬撃が切り裂いた。

 力の使い方を理解した俺は、今度は自分の意思を持って居合を放った。


 ……これは、サムライオークが使っていたあの遠距離斬撃と同じだろう。


 刀でなくとも、剣でも使用できるようだ。

 もう一度、それを放つ。

 ……しかし、サムライオークほど高速に放つことはできない。サムライオークは鞘から剣を抜く瞬間が見えないほどの速度だった。


 今後、練習をすればより速くなるのだろうか? それとも、サムライオークのレベルがあがれば、なのだろうか? それとも、やはり刀のほうが良いのだろうか?


 今後、新しい武器を手に入れるというのは考えているが、今はウォリアソードの周回もしているので、この剣でやっていきたいと思っている。


 それから俺は感覚を掴むために何度かウォリアソードを振りぬいていく。

 ある程度離れた場所への攻撃もできるのだろうか? 迷宮の壁までの距離は100メートルほどあったので、そちらを狙ってみる。


 じっと目的の場所をみる。

 それから剣の柄を握りしめ、振りぬく。


 少し遅れて、俺の魔力の斬撃がその場所を斬り裂いた。壁に、僅かな傷がついている。

 とはいえ、迷宮の壁を破壊するほどの力はさすがにない。また、迷宮は損傷した部分を自動で修復する機能が備わっているらしく、ゆっくりとその部分の損傷は直っていった。

 

 遠距離の斬撃は視線によって制御できるようだ。

 ……そういう、カラクリがあったんだな。サムライオークの視線の動きを思い出してみると、例えば俺が回避する場所に斬撃を置いていたときなどは俺以外の場所も見ていた。


 つまり、ある程度視線で位置を把握できるんだな。今後もこういった相手の能力の穴をつく必要もあるかもしれない。しっかりと覚えておこう。


「ありがとう、サムライオーク」


 俺は改めて礼を伝え、それからドロップアイテムの確認へと向かう。

 宝箱を開けると、光が生まれ……そこにはウォリアソードの結晶が10個あった。


「こ、こんなに一度に出るのか!」


 ……これなら、毎回でてきてほしいものだ。

 ハプニングはあったが、俺は周回を再開する。


 後でギルドに戻ってこのことも報告する必要があるな。

 とはいえ、まだ時間があったため、俺はそれからさらに数度オーク迷宮の攻略を行っていく。


 とはいえ、最終的なドロップ率は良くなかった。

 サムライオークのものを含め、14個だ。サムライオークと遭遇できていなければ、今日は4個しか手に入っていなかった。


 ……まあ、昨日が稼げすぎたというのもあるのかもしれない。

 結局これは運だからな。出る人は毎回ドロップするし、出ない人は何度やっても出ないんだ。


 いつもより少し早めに切り上げ、俺はギルドに向かって今日あった出来事を伝える。

 ギルド職員に話すが、にわかには信じられない、といった様子であったが話自体は聞いてくれた。


「情報提供ありがとうございます。……しかし、ウォリアオークよりも強いとなると、もう一度迷宮のランクの見直しが必要になるかもしれませんね……」

「そうですね。とりあえず、俺からの情報は以上になります」


 ギルド職員にそう伝え、俺はギルドを後にした。

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[気になる点] >今度は自分の意思を持って居合をh夏。 これは、居合をはなつ。ですね。
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