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第20話


 次の日の朝。

 俺は工房へと向かい、それから引換券とウォリアソードを交換した。


「マジックコーティングは済ませておいたぜ。また何か必要なことがあればいつでも来てくれよ」

「ありがとうございます。助かりました」


 俺は受け取ったウォリアソードを鞘から抜いた。

 美しい両刃の剣だ。全体的に明るい色をしている。

 太陽の光を反射させるように剣の腹を眺めた後、鞘へとしまった。


 それから俺は街を歩いていく。目指すはオーク迷宮だ。

 今日は特にギルドによる用事もないので、一日オーク迷宮の周回を行えそうだ。

 

 俺がなぜ、オーク迷宮にもう一度来たのかといえば、ウォリアソードを強化するためだ。

 昨日の感覚で迷宮内を駆けていく。


 45分だった。まあ、まだ最初だし仕方ない。

 15階層についた俺は、ウォリアオークと対面する。振りぬかれた一撃を同じくウォリアソードで捌く。

 そして、返す刃でその体を切りさいた。


 【憑霊ウォリアオーク】のレベルがあがったからか、こうして剣術でも十分戦えるようになってきた。

 ウォリアオークをサクっと仕留めた俺は、それから宝箱へと向かう。


 そして、そこには――新しいドロップアイテムであるウォリアソードの結晶が入っていた。


 今回の目的はこれだった。

 このウォリアソードの結晶は、ウォリアソードでトドメを刺した場合のみ、ドロップされる可能性が出るというアイテムだ。


 ウォリアソードの強化をするため、俺はここに足を運んでいるというわけだ。

 俺は迷宮から脱出し、再び迷宮内を移動しながらウォリアソードの結晶を握りしめる。


 そしてそれを、ウォリアソードへと押し当て、魔力をこめる。

 すると、ウォリアソードの結晶は光を放ち、溶け込むようにしてウォリアソードへと吸い込まれていった。


 これが俺の狙いだった。

 俺は鑑定を使えないので今のウォリアソードの状況は分からないが、恐らくこうなっているはずだ。


【ウォリアソード+1 レベル?(?/1100) 物理攻撃力+?パーセント マジックコーティング】


 結晶アイテムは、該当する装備を+1する効果がある。

 その効果は、レベル上限の解放と、付与されているスキルの能力向上となる。


 そしてこの結晶アイテムは、素の武器よりもドロップ率が良い。

 より強い剣を作りたい場合、このプラス値というのが重要になってくる。

 武器のレベルを上げればあげるほど、より武器自体の切れ味が強化されていく。


 だから俺は、とりあえずしばらくの間はウォリアソードを使っていく予定なので、とりあえず+30程度まではあげようと思っていた。

 なのでひたすらに周回を行っていく。


 一周約45分。周回開始が8時だ。

 サクサクっと午前中は、6回攻略。


 一度昼休憩で、ルーナのお弁当を頂く。世界で一番おいしいのではという料理たちを胃に収めたところで、もう一度周回する。


 今日は午後8時にルーナと夕食を食べるため、店で待ち合わせをしている。

 遅くても昨日と同じ午後7時30分には周回を終えて迷宮を脱出する必要がある。


 思っていたよりもハイペースで周回ができ、午後は12回攻略ができた。

 ウォリアソードの結晶のドロップ数は初めの一個を合わせて、なんと10個!


 ウォリアソードの結晶は二周で一個おちればいいペースと聞いていたので、これはかなり運が良かった。

 

 どうやら冒険者生活の風向きが俺へと向き始めているようだ。

 すべて強化に使ったあと、俺は迷宮を脱出して街へと戻った。

 予定よりも早く戻った俺は、昨日お世話になった鑑定士のもとへと行くと、目を見開かれた。


「こ、これ昨日のウォリアソードかい? ……あー、いや。すまない、深入りしてはいけないのについ聞いてしまって。聞かなかったことにしてくれ」

「気にしないでください。それは昨日のウォリアソードで間違いないですよ」

「……そうか。こいつは凄いね。すでに+10まで強化されているなんてね」

「あはは、ありがとうございます」

「ぶしつけな質問をしてしまったお詫びだ。今回の鑑定料は半額でいいよ」

「本当ですか? ありがとうございます」


 ラッキーと思いながら俺はお金を支払い、それからウォリアソードの鑑定表を頂いた。


【ウォリアソード+10 レベル32(32/2000) 物理攻撃力+13パーセント マジックコーティング】


 今日一日頑張った成果がここに現れていた。

 ……武器レベルに関しては魔物の心臓を喰らうという違法行為のような技がないせいでさすがに上がる速度はそこまでではない。


 まあ、毎日使っていれば気づかないうちにマックスまで強化されているものだ。


 ちなみに、鍛冶師が造った武器に関しては、特殊な魔鉱石でこの+値の強化を行うことができるそうだ。

 その魔鉱石のドロップを狙って周回する人もいるそうだ。


 有名な鍛冶師に造ってもらった武器は、それこそSSSランク級の迷宮でドロップするような武器と同じくらいのものになるそうだ。

 ……まあ、その分お金も物凄いかかるんだけど。


 待ち合わせの場所へと向かうとルーナがいた。


「お疲れ様です兄さん」

「お疲れ。アルバイトは大丈夫だったか?」

「はい、特に問題ありませんよ? あっ、でもそういえば、今日兄さんとの関係をそれとなーく聞かれましたね」

「なんだ。兄妹なのに、まさか恋人とみられたとか?」

「そのまさかです。なのできちんと訂正しておきましたよ」

「おお、ルーナにしては珍しいな!」

「ありがとうございます。私と兄さんは、恋人です、ときちんと伝えておきました!」

「……」


 俺はいつもと変わらないルーナに苦笑するしかなかった。

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[一言] 妹よ それは訂正じゃなくて肯定だ
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