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第17話


 俺は魔物を仕留め、その心臓を喰らっていくのが基本だ。

 ……しかし、出来るのならこの戦い方はあまり人に見られたくはない。

 とはいえ、迷宮内には冒険者が多い。


 単純に猟奇的で見られたら噂にされるというのも理由の一つではあったが、もう一つきちんとした理由もある。


 それは、俺が研究対象にされる可能性があるということだ。


 だって、今現在も魔物の心臓を喰らって無事だった人間の研究などは進められている。

 俺なんて、まさに科学者からすれば喉から手が出るほど欲しい生きた調査対象だろうからな。


 だから、人の目を盗みながらその行為は行っていく。

 俺はこの迷宮の内部構造をおおよそ理解していたため、サクサクと階層を下りていくことができた。


 ちなみに、スパーダたちとも一度攻略していたからだ。

 その時は、わりとぎりぎりの戦いが多かったのだが今回は俺一人だったが余裕だった。


 迷宮攻略の基本知識として、冒険者ランクより下のランクの迷宮攻略が勧められている。同ランクの迷宮、あるいは自分以上の迷宮に挑むのは、自殺行為とされている。


 つまりまあ、俺が今やっている行為は職員がいたら全力で止めてくるような行為というわけだ。まして、迷宮は六人パーティーで行動するのが基本なんだしな。


 道中の魔物を倒しながら、俺は自分が今持っている剣について考えていた


 俺が持っている剣は鍛冶師の才能を持った人が造ってくれた剣だ。まだその人が見習いだったため、安く購入することができた。


 俺は鑑定を使えないのだが、鑑定が使える人に見てもらい、その時にもらった鑑定表について思いだしていた。


【アリストソード:レベル1(上限レベル100) 物理攻撃力+5パーセント マジックコーティング】


 アリスト、という鍛冶師が作った剣だ。レベルは購入してすぐに鑑定をしてもらったため、レベル1だ。

 武器のレベルは使っていればあがっていくので、もしかしたら今はレベル上限である100レベルに到達しているかもしれない。


 鑑定してもらうにもお金がかかるので、貧乏荷物持ち冒険者だった俺は、それ以降は一度も鑑定はしてもらっていなかったけど。


 物理攻撃力+5パーセントは、スキルと呼ばれていて魔物の体への剣の通りが良くなるとか何とか。

 詳しいことはよくわかっていないが、剣などの物理戦をするのなら、物理攻撃力、魔法系の攻撃を使うのなら、魔法攻撃力+のスキルが良いとされている。


 マジックコーティングは剣の切れ味が落ちないようにするというもので、だいたい今時の武器は全部ついている。手入れの手間がなくなるからな。

 

 マジックコーティングはそれなりの腕前の鍛冶師ならだれでもできる。

 だから、迷宮内で拾った武器を持ち込んでコーティングしてもらうこともできるんだ。

 

 そして俺は、第14階層から第15階層に繋がる階段へとたどり着いた。

 想定以上の順調さで、攻略は進んだ。

 一階層一時間程度を目標にしていたが、実際は30分ほどしかかかっていない。

 

 まだ憑霊を持っていない魔物だけを倒し、あとはブラッドウルフをまとってサクサクと迷宮を下っていったからだ。

 そしてなにより、


「……ここまで、まったく苦戦しなかったな」


 拍子抜けするほどだった。俺も再生の勇者、ということもあってレベル以上の力を出せるのかもしれない。


 ここまでに倒してきた魔物は数多くいた。


 オーク、ウッドオーク、シールドオーク、レッドオーク、ブルーオーク、イエローオークの合計六種類だ。

 レッド、ブルー、イエローたちはそれぞれファイアショット、アクアショット、マッドショットの技が使えるようになるのだが、それ以外の恩恵がほぼないので、現状一つしか纏えない以上、使うことはまずないだろう。


 そして、シールドオークに関しても似たようなものだった。纏うと体がいつもより数段頑丈になったような気がするのだが、それだけだった。

 

「憑霊を複数同時に使えればいいんだけど……くっ!」

 

 試しに使用してみたが、やはり難しいな。

 まず痛みが襲ってくる。それは、【再生の勇者】の力で軽減できるのだが、問題はその先だ。


 2つの力がぶつかり合ってしまうんだ。


 まるで磁石の同じ極を突き合わせようとしている感じだ。2つの力が反発しあい、どちらの力もうまく使うことができなくなってしまうのだ。

 

「訓練で、どうにかなるものなのか……?」


 分からないが、もしかしたらいつかは使えるようになるかもしれない。

 切り替える場合だと、数秒のロスタイムが出てしまうのでぎりぎりの戦闘の時には使えないしな。


 そちらは、これから時間があるときに訓練してみるしかないな。

 

 目的は、次だ。

 気合を入れなおす。

 

 この先、第15階層にいるはずのウォリアオーク。

 俺の目的はこいつからドロップ品であるウォリアソードを回収することだ。

 道中の魔物たちはCランク程度の魔物しか出ないのだが、このウォリアオークに関してだけはAランク相当もある。


 だからこそ、このオーク迷宮の攻略難易度はAランク相当とされている。

 道中だけでいえば、Cランク迷宮でもおかしくはないんだけどな。


 準備はできた。俺は気合を入れなおし、15階層へと下りていった。


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