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第16話


 朝起きた俺は、服装を整える。

 武器である剣を腰に差したところで、俺は部屋から出た。

 宿には食堂がある。まずは朝食を頂くためにそこへと向かう。


「あっ、兄さんおはようございます」


 宿屋の制服に身を包んだルーナがにこりと微笑んだ。

 ルーナはこの宿屋でアルバイトをしている。


「おはよう、今日も仕事頑張ってな」

「はい。こちら、お弁当作っておきましたので、どうぞ」


 ルーナがお弁当箱を向けてきた。

 ……嬉しい限りだ。今はアイテムボックスがあるので、受け取ったその弁当箱を剣とは逆の右腰に下げていたアイテムボックスにしまった。

 ルーナはそれから朝食を俺のテーブルに置くと、すぐにまた食堂での仕事に入る。


 普段は垂れ流している髪を今は、後ろでポニーテールとしてまとめている。美しい銀色の後ろ髪が、ルーナの動きに合わせて揺れる。

 見事な接客だ。妹という色眼鏡を抜いたとしても、ルーナほどに接客が上手な子を俺は知らない。


「……ああ、今日もルーナちゃん、可愛いなぁ」

「……本当になぁ。恋人とかいるんかな?」

「オレ、告白しよっかな!」


 何を言っているんだこいつらは。俺が近くの冒険者を睨むと、彼らがひっと声をあげた。


「わ、悪いな。じょ、冗談だよ」

「そ、そうだよ……あ、あはは」


 ……彼らは怯えた様子でこちらを見て笑ってきた。

 別に俺はシスコンではない。ただ、まだ成人していない14歳のルーナに対して下心を向ける奴がいるというのが許せないだけだ。

 と、今度は別の場所から冒険者の声があがる。


「聞いたか?」

「あ、ああ……聞いたぜ。再生の勇者様、あのスパーダっていう生意気な勇者をボコボコにしたらしいじゃねぇか?」

「……そ、そうみたいだな。それ自体はスカッとしたからいいんだけどさ。で、でも圧倒したって話だよな?」

「や、やべぇって……オレ、ルーナちゃんの歩いたあととかこっそり深呼吸していたんだけど、バレたら殺されるかな?」

「しっ! 黙っておけばバレないって!」


 聞こえているんだが?

 ……俺は一度睨むだけで、とどめておいた。

 まったく。


 この街の人たちは年下好きな奴が多いのかもしれないな。

 そんなことを考えながら、ギルドへと向かう。

 朝。冒険者ギルドに来てくれという話があったため、俺はここに足を運んだわけだ。


「すみません、こちらに呼ばれてきたエミルですけど」

「あっ、エミル様。初めまして。ギルドカードの提示をお願いしてもよろしいでしょうか?」

「え、はい……」


 俺は言われたままにギルドカードを提示する。

 と、職員側のテーブル下からぴょこんと妖精が出てきた。

 そして、俺のギルドカードに軽く手を触れた。


「……はい、完了しました。事後の報告になりますが、エミル様の冒険者ランクをCランクに変更させていただきました」

「Cランク、ですか?」


 元々はFランクだ。F→Cのランクアップなんて、普通はない。


「ギルド長が判断した結果になります。ギルド長からの言葉になりますが、『Bランク冒険者のスパーダを倒したんだから、そんくらいあげてもいいだろ』、ということです。ただ、いきなり同格のBランクにしてしまうと、たまたま勝てた、という可能性もありますので、Cランクと判断したそうです。……ギルド長は、たまたま、とは思っていないようでしたけど、Cランクにしたのはそのような理由となっております」

「分かりました、ありがとうございます」


 今日は特に依頼を受けるつもりはないけど、今後依頼を受ける場合はやはり冒険者ランクは高いほうがいい。

 お礼を告げた後、俺は街を離れ、近くの迷宮へと向かう。


 今日攻略する予定はAランク迷宮、オーク迷宮だ。

 そう名称がつけられた理由は簡単で、様々なオーク種の魔物が大量に出現するからだ。


 最下層は15階層。それほど深くはなく、比較的周回がしやすい迷宮となっている。


 なぜ俺がオーク迷宮に来たのかは簡単だ。

 新しい剣が欲しいからだ。


 俺が狙っているのは、最奥にいるはずのウォリアオークが落とす、ウォリアソードだ。

 ギルドにも獲得報告があがっていて、これがスパーダが持っていた剣に劣らないほどの良いものだ。

 それを知っていたからこそ、あの場で売却の道を選んだのもある。


 オーク迷宮の第一階層についた。

 【憑霊:ブラッドウルフ】を発動し、嗅覚による魔物探知と移動速度を向上する。

 すぐに魔物は発見できた。オークだ。


 ……とりあえず、あいさつ代わりと行きますか。

 俺は【憑霊:シャドーアサシン】へと切り替える。

 そして、そのオークの体へと影を放ち、その背中から人間でいう心臓部分に向けて一突きを放つ。


「がああ!?」


 それで、オークは動かなくなった。死体が迷宮に吸収される前に、俺は近づいて心臓を食らう。

 ……慣れてきたとはいえ、一瞬お腹の調子が悪くなる。けれど、再生によってすぐにそれは治まった。

 【憑霊:オーク】を獲得した。

 試しに、まとってみたが――ヘビーミノタウロス以下の肉体強化のようだ。


 ……まあ、今日の目的は武器のドロップだし。

 オークはそもそも討伐推奨ランクでいえばDランク程度だ。


 タウロス迷宮はAランク迷宮で雑魚もBランク程度はあった。

 まあ、憑霊に関してはあまり期待しないでおこう。


 でもレベルのほうは、5レベルもあがった。普通よりも断然効率の良いレベルアップだ。

 やはり魔物の心臓は良い。

 

 ……さて、15階層目指して進むとしようか!

【重要なお知らせ!】


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