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 彼女からメールが届いた。

『連休の間、旦那が入院する』

 彼女の旦那には持病があるのだと以前に聞いたことがある。

『その間は独身だね』

 そんな返信を僕はした。少しの間をおいて彼女から再びメールが届いた。

『バーカ』

 そりゃそうだ。僕が返したメールは不謹慎極まりない。そして、下心が丸見えだったから。

「おい! 会議中だぞ」

 上司から注意されて僕はスマートフォンを上着の内ポケットに突っ込んだ。


 つまらなくて眠たいだけの会議が終わると僕はとっとと会社を後にした。既に終業時刻は過ぎていたから。

「ちょっと待てよ。一杯付き合え。どうせ明日から連休なんだし」

 追いかけてきた同僚に引き留められた。

「一杯だけだぞ」

 この後ちょっとした予定があるのだけれど、同期のよしみで一杯だけ付き合うことにした。


 最寄り駅の反対側にある串焼きや。ここが彼のお気に入りの店。

「お前、いくら会議がつまらんからと言って携帯をいじるのはよくないぞ」

 頼んだ生ビールで乾杯をした直後にヤツがそう言った。大方、あの上司に何か言われたのだろう。ヤツはあいつの腰ぎんちゃくみたいなものだから。

「妻が入院した」

「えっ!」

「それを無視して聞くほどあの会議に意味があるのか?」

「あ…。いや、それは…」

「ということで失礼する。約束通り一杯は付き合ったからな」

 僕はグラスのビールを飲み干すと席を立った。生ビール一杯分の450円を置いて。もちろん、妻が入院したというのは嘘っぱちだ。入院するのは彼女の旦那。


 店のドアを開けると既に彼女は来ていた。カウンター席。僕は彼女の隣に腰かけた。

「お待たせ」

「ホント、遅いよ」

「すまん。つまらんヤツにつかまって…。それより、旦那を放っといてもいいのか?」

「いいのよ。きっとどこかで最後の晩餐でもやってるんじゃない?」

「最後の晩餐って…」

 苦笑する僕をよそに彼女はタバコに火をつけた。






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