アンドロイドは自己を語る
「と、まあ、色々な種類があるのです!」
……、いや、急に目が光ってプロジェクターみたいに説明するのはまだいいよ?普通はツッコミが必要かもしれないがアルだから気にしないのだが、説明が長いんだよな。理解できなくても仕方ないよね?
っていうか、なんでだろう?アルが急に頭良さそうに話し始めたから驚いてしまった。
「マスター?何か失礼な事考えてませんでしたか?」
「いや、別に?」
よし!上手く騙せた!!……、騙せたよね?と、とにかく、話を元に戻そう。
「そんな事より、えーっと、あれ?何の話をしてたんだっけ?」
忘れてしまったのは俺が悪いかもしれないが、ため息をつく事か?普通。まあ、アルだしね……
こういう、諦めにも似た感情でも、お互いに信頼しているからの事なのだろう。……、そう信じたい。
「で?何か言い残すことは?」
半目でこちらを睨みながら不気味なオーラを上げているのだが、信頼関係の上で成り立っているんだよな?でも、このオーラって、もしかして、いや、もしかしなくても『殺気』なのかな?違うよね?ちょっ!違うと言って!?
ん?あのポケットから覗いているものって、もしかして銃のグリップですか?あれ?目の錯覚かな?ナイフが浮いているように見えるのだが……
「はぁ、話を戻しますね。いいですか?次は聞いてくださいね?」
た、助かった~~~のか?何か、未だにオーラが怖いんだが……。まあ、ナイフと銃は見えなくなったから良しとしよう。それにしても、副音声として本音が漏れていたような気が……。いや、気にしたら負けなのだろう!だから気にしない!うん!そうしよう!!
「ホントに聞いてくれますか?」
「も、勿論だよ!!」
「……では、もう一度説明させていただきますね」
そう言って、説明を始めてくれた。簡単にまとめると、
『アンドロイドは大きく分けると二種類で、子供を作れる親機と、親機によって作られる子機である。何か一つに秀でた、特化型である機体が多く存在しており、その種類は多く存在しているため、凄く大まかなジャンル分けされている。』
と、言った所だろうか?命の危機も在った為、普段よりもしっかりと理解しようとできた。そのかいもあってか、その認識で合っているか聞くと正解だと返ってきた。しかし、この『アル』は一体何というジャンルに属しているのだろうか?それを聞いてみると
「私のジャンルですか?一応“シスター”ですよ」
と、答えてくれた。しかし、“一応”というのはどういう意味なのだろうか?
「何故、と聞かれると、そうですね、私がα-28であるから。もっと言うならα型の機体だからですね」
「α型?」
「αタイプ。つまりは試作品ということです。マスターにとって分かり易い説明としてはゲームのベータテストが有るじゃないです。それの前段階です」
え?ってことは、アルは試作品なのだろうか?
「ええ。私は試作として作られた46の内の28番目の機体、α-28です」
「試作機には特徴はあるの?」
「いえ、試作機としての特徴はありません」
「え?」
俺の言葉を否定しながら、アルはプロジェクターを起動する。そこには前に見せられたマザーやファクトリーの様な大型の機械や、目の前にいるアルの様な、人型の機械。豹や鳥などの動物のような形の機械が映っている。
「これ等は全て試作品、つまりアルファタイプです」
「この人型以外もか?」
「ええ。そもそも試作品とは量産するときに何が必要か、どんなシステムを削除し、或いはシステムを導入すれば良いのかデータを取るために、作られる機体だと博士は言っていました」
「つまり、試していたのか?」
「最適化するために私たちアルファタイプは生み出されました。無駄に思えるような機体まで作られました。それらの銘のない機体の上に私たち46の機体が在るのです」
「そう、だったのか……」
「まあ、試作機体は博士によって作られたので、変態的な機能が付けられているのです。標準装備で幽霊が見えるなんて言う物が付いているのですよ?」
……それってどういうことなんだろう?っていういうか何で付けたんだろう?
「まあ、ほとんど使っていない機能なのですがね」
「本当に君の親は変な人だったんだね」
「何を言っているんですか?博士は常識人ですよ?」
は?何を言っているんだ?この人は
「いや、だって私の人格形成モデルですよ?常識人に決まっているじゃないですか!?」
ああ、全て理解したよ。つまり諸悪の根源はアルを作った博士なのか。あれ?じゃあ、その博士は取り敢えず爆発させて見ようみたいな人なのだろうか?それとも、殴って硬かったら逃げる見たいな人?撃ってみる人?……ダメだ。今までのアルの行動の所為でどんな人か想像できない。ホントに何やってんだよ。コイツ
「何ですか?その顔は」
……、ごめん