アンドロイドは自己の現状を語る
金属光沢を持つ、二つの銃口と何本ものナイフのナイフを前に、良いとは言い切れない頭を使って必死に考える。……何かあった様な気がするのだが、何だろう?
……そうだよ!まだ聞いていなかった事が在った!
「あ、あのー、アルさん?そういえば、その銃って何なの?前に聞いたときは『さあ?』って言ってたから」
「あぁ、そのことですか。と言っても、本当に知らないんですよね」
可愛らしく首をかしげながらこちらを見てくる
「これって何なんでしょうね?」
「……いや、俺に聞くなよ」
可愛らしくこちらを見てきても知りませんからね?舌打ちしても無駄だからね?
「はぁ、先ほども話しましたが、時間転移は人間では耐えれない程の衝撃を受けます。普通は、私たちアンドロイドが壊れることは無いのですが大きな衝撃を受けることには違いなく、今回は運が悪く記憶領域に支障をきたしてしまったようですね」
そう言って大袈裟に肩をすくめて見せるアル。芝居がかっていて逆に胡散臭いのだが、何か隠しているのだろうか?
「それで記憶がないと?」
「はい。そうです」
「にしては色々と知りすぎてないか?」
記憶障害と言い張る割に未来について語りすぎている時点で怪しすぎる。一体何を考えているんだ?
「それについては記憶が在るのです。都合が良すぎると思ってしまうかもしれませんが、私は失った情報は少ないと予測しています。失った情報は恐らく二つ。一つ目が私の固有武装を含めた全ての特殊兵装の情報です」
アルはおもむろに二丁の拳銃を見せてきた。
「つまりは、これらの事ですね。これが拳銃で引き金を引けば弾丸が飛び出すことは分かりますが、これに隠された特殊な能力が分かっていません。同様に、他の機体の武装が何か分かっていないのです」
「二つ目は?」
「私が何故この時代にいるのか、です」
「この時代にいる理由って、任務じゃないの?」
「その任務の情報が無くなっているのです」
「えぇっ?それってまずくない?」
そう聞くと、アルはとても良い笑顔を向けてきてこう言った。
「まずいです♪」
「………」
「ちょっ!無言はやめてくださいよ~」
「いや、アルのその無責任なところ、逆に尊敬するわ」
「なんか、その反応イヤなんですけど……」
「まあまあ、それにしても何でその二つが失われたんだろう?」
「へ?」
間抜けな声をアルが上げていたので気になったところを説明していく。
「いや、生活するのに必要かどうかで聞かれれば必要ないかもしれないけど、その二つって結構重要だよね?なのにどうして簡単に失ったんだろうかって思って。ほかの情報は消えていないからおかしいなって」
「あぁ、それについては簡単な問題ですよ。ただ、失いやすいように作られていただけです」
「え?簡単に失ったらダメじゃないのか?」
「少し、たとえ話に付き合ってくれますか?」
「別にいいけど……っつ!?」
再び登場する二つの銃口。その銀に輝くそれを前に声にならない悲鳴を上げてしまう。
「さて、マスター?今から、質問をします。YesかNoで答えて下さい」
アルが何を考えているか分からないが、取り敢えず両手を上げる
「マスターは私に恋をしている。Yes or No」
「NO!」
「……、では次に、マスターは私の固有武装が二丁拳銃だと知っているYes or No」
「Yes」
「では、最後の質問です。『博士』は男性である。Yes or No」
「……、え?知らないんだけど。いつか話してた??」
アルはため息とともに拳銃を降ろす。
「YesかNoで答えて下さい。と言ったんですから話してはいけませんよ?普通に撃たれますよ?」
それを聞いてぞっと来てしまった。相手がアルだから良かったけど、場合によっては撃たれてたことに気付いてしまったから。
「まあ、今回は良いです。気をつけてくださいね?」
「そんな状態になるのはコリゴリだけどね」
「ところで、一つ目と二つ目は答えを知っているので脅されていたので簡単に答えてしまいましたが、何故三つ目は答えなかったのですか?」
「答えを知らなかったからだね」
「はい。知らなければ答えられないのですよ。つまり、情報漏洩を防ぐために重要性の高い物ほど消えやすくインストールされているのです」
「でも、それって結構不便じゃない?忘れたら任務も遂行できないから……」
「私たちアンドロイドにとっては問題でもありません」
「何故?ってあぁ」
聞こうとして、思い出した。
「失敗しても失敗にならないのか」
「はい。失敗したら、一日前にでも時間転移すればいいのでね」
「ズルいな」
「ズルいですね」
「まあ、そこまで問題にはならないんだな?」
「はい。恐らく、私の標的は昨日死ぬ事になりますから」
「なんか、凄いな。昨日死ぬ予定とか」
「まあ、本人にとってはたまったもんじゃないでしょうがね」
「ところで、アルはいつまでここに居るつもりなの?」
「さあ?未来までじゃないですか?」
「え?」
「冗談です。きちんと迎えが来ますよ。それまでです。なので、それまでは引き続きよろしくお願いします。マスター」
取り敢えず未来についての説明はこれで終わりになります。次回から真面目にラブコメの予定です。




