クラス奮闘
目が覚めるとそこには知らない天井がある。俺はいったいどうしたんだろうか。
ヒヨという美少女に殴られたあと、総を追うために走ったのはいいが、俺は途中で力尽きてしまった。
思考を張り巡らせていると突然声をかけられた。
「ぁっ、気づいたんですね?廊下で倒れていたんでびっくりしましたよ。ここは、保健室なので安心してくださいね?新屋くん、貧血ですか。」
今の今まで完全に存在を、忘れていた少女、倉持がいた。彼女は俺に極上スマイルを向けている。
その倉持に、女の子に殴られて気絶したなんていえるわけがない俺は、思わずウソをついてしまった。
「ぅ、まぁそんなところだな。久しぶり、あん時いらいだな。」
「はぃ。私、忘れられてるかと思いましたよ?近くにいたのに声もかけてもらえなかったんで・・・」
すまない、実際に忘れていたのだ。多分・・・・総すらおぼえていなかったんじゃないか?今日の今日まで
まったくもってあの時の話題に触れてこなかったしな。しかしあれか?もしかして俺をここまで運んだのは倉持なのか?
もしそうだとしたら・・・・非常にはずかしいだろ!入学式の日に女の子に保健室まで運ばれている男・・・
周りの人が見たらどう思うだろうか。考えただけで悲惨だ・・・
「ぁの?どうしたんですか?」
「いやぁ・・・あのここまで誰が運んでくれたの?」
真実を知りたくはないが、ここで聞かないわけにはいかない。ぅん俺は男だ・・・
「へ?もちろん私ですよ?結構重かったんですから。引きずってきちゃいました。」
ってなにぃ!少なくとも俺はおんぶされている状況を考えていたがコイツは俺の想像をはるかに超えた。
だってそうだろ?こんな美少女に引きずられていた男を見てみろ!・・・いったい何事だ?って感じになるだろう!
しかもきっちりかっちり俺のズボンは埃だらけ、この様子から察するに、まるでどこぞの犯人が死体かなんかを
運んでいる様を思い浮かべられる・・・しかしこの状況で発することができた俺の言葉は・・・
「・・・・・ありがとな?」
「はい!!」
そんなにうれしそうに微笑まないでくれ・・・お前は俺の痴態を公衆に堂々と公開していたのだぞ?
「でも、ここまで運んでくるの恥ずかしかったんですよ?やたらと皆さん私たちのこと見てきましたから。
でもなんででしょうね?」
おい!そんなこと聞くまでもないだろう!しかし俺は、心が広い。だから
「そうだなぁ、なんでだろうな?」
と、きいてやった。しかし倉持は、そんなことどうでもいいかのように話題を変え始めた。
「そういえば、クラス一緒になりましたね?私も一組です!」
そうだったんだ。俺は、あの時倉持の存在を忘れていたから、そんなこと考えもしなかったな。
「ぉお!、まじか?俺、確認してなかったから今知ったよ。」
「そうですか。って!こんなゆっくり話してる場合じゃなかった!早くクラスに向かいましょう。多分もうホームルームとか始まってますよ、きっと。」
「っお、おう!急がなきゃな」
そうして俺はベットから立ち上がりクラスへ向かうことになった。
「よし走っていこう!」
「っははい!」
っと景気をつけたのはいいのだが、倉持は以上に遅かった。多分彼女は一生懸命走っているのだろう、しかし
そのスピードは俺のはや歩きにも及ばない。うん遅すぎる。
俺は考えたあげく、倉持を背負うことにした。
「倉持!俺にかつがれろ。」
「へ?」
「だから俺の背中に乗れ!まじで遅い。」
「ぅあ、っははぃ」
倉持は顔を赤らめさせて、かなり遠慮しがちに俺の背中に乗った。
「っああの、重くないです?」
俺は走りながら彼女の質問に答える。
「ぅあ?むしろ軽いぞ?50キロくらいか?」
するとなぜか後頭部を殴られた。
「いってぇ、なにすんだよ?」
「っわ私そんなに重くありません!」
「っそそうかスマン」
彼女の迫力に押されてすかさず謝った。っふっと思ったのだが総のやつなにやってるんだ?
俺が今こんなに大変な目にあってんのに。もし普通に教室にいたら殴ってやる。
そうしてやっと教室についた。しかし俺はここで重大なミスを犯してしまったのである。
ガラガラァ
「すいません遅れました!!」
とはいったものの誰からも返事が来ない。みながみな俺を凝視している?いやこの視線は俺の上?
っししまった!倉持のせたまんまじゃねぇか・・・やべぇ
すると20前半くらいの担任だろう男の先生が
「ラブラブですねぇ?初日からおんぶ&遅刻ですか?うらやましぃ限りです。いつまでも突っ立てないで早く座ってください。」
そうして俺と倉持は顔を真っ赤にさせながら席につくのであった。
そして俺に突き刺さる視線はすべて男のもので嫉妬と怒りのようなものを感じとることができた。
しかし視線の中にもう一つ別の視線を感じることができた。その視線をたどってみると・・・・
なんと最強女ヒヨちゃんであった。
俺はすかさず思う、これが夢であってくれますようにと。何気なく頬をつねってはみたものの痛みを感じてしまったのは
言うまでもないだろう。
などなど考えている内に隣の男子生徒が話しかけてきた。
「お前やる気あるなぁ?いきなり彼女と遅刻かよぅ」
いや彼女じゃねぇし、むしろやる気はない。っていうかコイツはなんなんだ?
他の奴とはオーラが違うというか、なにか総に近い物を感じる。はて、なんでだろう?
しかしその疑問はすぐに解消された。
「ねぇあの人かっこういいよねぇ?」
「うん、でも私は窓際の人もいいなぁ?」
「っあ、わかるぅ〜、あの二人はこのクラスでも抜きんでてるよね」
「うん、ステキぃ〜」
ぁあなるほどね、コイツかっこういいんだ。窓際というと総がいるところだ。俺の視線に気づいたのか総は、手を振ってきた。がしかし
俺はスルー。
ちょっと反応は遅れたが。
「いや彼女じゃねぇよ。ちょっとした知り合いって奴?」
「なぁ・・・俺ウソってきらいなんだ。自分を偽るというかなんというか・・・こうやって話したのもなにかの縁だ。俺たち友達だろう?
友達にはウソついちゃいけないんだぜ?」
って友達なのか?俺たちは。まだお前の名前すら知らないぞ!
「っぃいや・・・まじで彼女じゃないんだわ、うんまじで・・・」
「そうか、まぁ信じてやるよ。ちなみに俺の名前は 古谷 歩 よろしくな?」
「おぅ、俺は、新屋--」「そこぉうるさいぞ〜」
「俺は、あら--」「だから、うるさいって」
「俺--」「いい加減に先生の話をきけ」
「って!うるさいのはお前だろうが!人が自己紹介しようとしてるのになんなんだボケ!」
ぁあ俺はなんだか最近キレッぱなしのような気がするな・・・ってか今のは俺が悪いのにな・・・これが俗に言う逆切れです。
するとひそひそ話がきこえてきた・・・ってかひそひそ話なんだから聞こえちゃまずいだろ・・・
「ぁの人こわいねぇ?いきなり先生にむかってタンカきったよ?」
「ぅんこわぁい・・・やだねぇ・・・」
「でもちょっと男らしくない?」
『ぇえぇぇ〜』
などなど・・・ぅ〜ん俺の温厚かつ親しみやすい性格はどこにいってしまったんだ?と考えていると
「っで結局名前は?」
「ぁあわりぃ、俺は、新屋 陽太だヨロシク。」
ってかコイツは動揺しないんだな。総にかぎっては、笑ってるし。
「そっかヨロシク陽太。」
お互いに自己紹介をし終えたくらいに、またまたピンチがやってきた。
「うん。さすがだなぁ!お前は!私が恋人に任命しただけのことはある!」
『ぅぇぇえええぇぇええ?』
って俺がうえ?だ。いつどこで誰がヒヨちゃんさんに恋人任命されたって?おいおい変なうわさ立っちゃうだろ。
「ぅわぁ〜あの人二股?サイテェー」
っていきなりかい。
「って違う俺は二股なんかしてないし。誰ともつきあってないし!」
すると総が口を挟んできた。
「そうだよ?だって陽太はカッコイイ男の子にしか興味ないもんね?」
シーン・・・・・
クラスの時がとまったようだった。誰もが俺を見て誰もがその視線をはずさない。
歩・・・そんな友達選び失敗した!みたいな顔しないでくれよ!
「って俺はホモじゃねぇ!!俺だって女の子が好きだ!」
そう叫んだがまたクラスはシーンとなってしまった。なぜ?するとクラスの名もなき女子が寝言をほざき始めた。
「ほらやっぱ、たらしなんだよ。私も狙われちゃうかも・・・どうしよう・・・」
ってお前は自意識過剰すぎるだろ、ってかお前ねらうくらいだったらまじで男のほうがいいわって顔してるから安心しとけボケぇ!
すると・・・
「まぁ私のパンチを受けっきった男だ。安心して私の彼氏になれ!そしたらさっきの女とのことは水に流してやる。」
クラスにどよめきがひろまった。
そりゃあそうだろう、俺みたいなのがいきなりこのクラスの美少女二人とすでに知り合いなのですから。うん
しかも先生はさっきからずっと教室の隅で、のの字を書いてるし・・・
このクラスは大丈夫なのだろうか。
「ちょっとまったです!いきなりそれは、ナシだと思います。私だって・・そのぅあのぅ。」
「っふ、さっきの女か・・・自分の気持ちを伝えられない女など屑も同然。ここにシャシャリでる資格はない!」
「っそそんな」
総お前はなんでそんなに楽しそうにしてるんだ?歩お前もだよ・・・・
俺は今この二人によって遊ばれているんだぞ?多分このヒヨってやつは俺のことが相当嫌いなのだろう・・・
こんないじめの仕方なんて普通はしないだろう。
だってそうだろう?登校初日から、男子達の殺気を感じなければならないなんて。
この女自分の可愛さをよく理解してやがる・・・・・
そして倉持よ!なぜ同調したんだ?俺のことが嫌いなのか?
「おおおい!お前ら俺をいじめるのはいい加減にしろよ!まじで!」
「っふ、お前は罪な男だ、初日から二人の美少女に手を出すなんて・・・」
「ってヒヨ!いつ誰がどこで手を出したんだ!」
あれ?またクラスが静まり返りましたよ?
するとさっきまで男口調だったヒヨがいきなり
「ななな!・・・ぃきなり呼び捨てなんて・・・・ぅう、ちょっとはずかしいょ。」
っししまった!いくら苗字をしらないからって、いきなり名前はまずかった・・・しかもこのギャップかなり萌えるものがある。
うわ!この視線いたたまれねぇ。しかも一つだけやけに黒いオーラを発している気がする・・・・・って倉持?
「ぅう新屋くんのバカぁ!そんな、たらしだったなんてしらなかったです!」
ななな!なにをそんななみだ目に?やめろ!やめてくれ。くぅ、これが俗に言う女の武器か・・・
威力は絶大だ・・・
「ははは!さっきの女よ私の勝ちだな!」
「ぅうそんなことないですもん!さっきまで私たちは保健室にいた仲ですから!」
『!!!!!!!』
っままてバカ!なんて変な言い回しするんだ。それじゃあまるで俺たちが、なにかいけない事をしていたみたいではないか。
ほら見ろ周りの奴らの目を!完璧に俺が悪者じゃねえか!くそ!総たすけてくれ!
そして俺はそうに目で合図を送る。それをわかってくれたのか総は突然立ち上がり、おもむろに、なにかを言おうとした。
「みんなそろ「おいおいそろそろやめようぜ!陽太がこまってんじゃねぇか。」・・・・」
すると、総の代わりに歩がその場を制した。
「っふさっきの女子!言っとくが私達だって傷をつけあった仲だ。仕方がないから今日の勝負はここまでにする。またあとでな。」
『っきキズ!!』
ってまたお前は変な言い回しをしやがって!どんどん誤解が深まっていくじゃねぇか!!
「そ、そんな!?でも・・・私負けるつもりはありません!いいでしょう望むところです!」
って望むな!ってか歩!いいやつだなぁお前感謝するぜ!
「助かった!歩、ありがとう」
「おう気にするな。」
しかしなにやら窓際のほうから不穏な空気が流れ始めた。周りの女子も男子もなにかそわそわして落ち着かないようだ。
いったいどうしたんだ?
「陽太ぁ!の隣にいる男!」
う?なんだ?総がなにやら怒っているようだ。
「っななに?俺か?」
「そうだょ!なに勝手に俺の役目とってんのぉ!?」
「っへ?いやなにが」
「むぅ〜ゆるさん」
っはぁ総お前はまたぁ・・・変なところで怒り出すんだから。
「おぅい総もうやめろよ!な?オーケー?」
「むぅ〜わかったよ。その代わり陽太ん家で一緒にねるから!!」
その瞬間クラス一同がしずまった。もちろん歩は友達選び失敗したって顔で俺を見てくる。
「BL萌え〜」
っと聞こえてきたのはきっときのせいだろぅ。
「キサマやっぱりホモだったのか?だから私に興味を示さないのか・・・・」
「ぅう〜私ショックだよぅ新屋くん」
うがぁ!待て美少女コンビ壮大なる勘違いをするな!そして何人かの女子!勝手に俺と総のBL話でもりあがるな!
「ってちがぁう!総がいってるのは俺ん家にいる犬のワン太郎のことだ!ちなみにコーギー!」
「ワン太郎・・・なんて可愛い名前・・・」っと誰かが言っていたが気にするのはやめよう。
するとちょうどいい時間にキーンコーンカーコーンとチャイムが鳴った。
「下校の時間になりました。生徒は帰りのしたくをして下校の準備をしてください。」
帰りの放送が流れ生徒たちは何事もなかったかのように帰りのしたくをし始めた。
そして誰もいなくなった教室で
「明日からがんばろう・・・」
とつぶやいている先生をみてしまった俺はとてつもなく申し訳ない気分になってしまった。
「陽太!なにやってるの?早くかえろ?」
「おう、歩!また明日なぁ?」
「ぁあじゃあな!二人とも。」
そして俺たちは帰路につく。
「今日学校すごく楽しかったね?これからはもっと楽しくなるね!」
おいおい俺はメチャメチャ疲れたぞ・・・もう勘弁してくれよ・・・・
「それに今日、陽太めっちゃ殴られてたね?痛そうだったぁ!あれは・・・」
「って見てたんなら助けろや!」
そうして夕日に向かって逃げる総を追う俺・・・・本当だったら女の子とやりたかった・・・・・
次回 巻き込まれた俺!