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わたしの心

光合成

作者: 如月冬華

 人間は酸素を消費しながら生きている。

 そして、酸素を含む空気中には見えないアレルゲン物質や、死骸、糞、塵が混ざっている。

 湿度が高いとカビが繁殖する要因となり、また逆に湿度が低すぎる事でインフルエンザなどのウィルスも蔓延する。

 つまり環境の調整は人間が生きていく上で最も大切な事なのだ。


 だから私は光合成をする。

 干したばかりの布団から、ダニの死骸を一掃して、部屋の中へ招き入れる。ふわりと香る太陽の微笑みと包み込む暖かい熱。

 ぼふっと顔を埋めてしまえば、私は一瞬でその布団の虜となる。

 私を掴んで離さない、この強い力。


 私が布団に埋もれて眠っていると、必ずがやってくる。

 いつものように、静かに、ノートパソコンを膝の上に置いて私の前髪を優しく梳いてくれる。

 繊細な指先がするりと髪から抜け落ちて、彼の指はパソコンのキーボードと向かい合う。

 私は瞳を閉じたまま、彼のキーボードのタイピング音を鼓膜に残していた。


 麗らかな春の陽射しはまだ遠い。

 ーー私と彼の中にある氷は、既に溶けていた。

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