04 恐怖症
「神崎君…?だよね?」
入学式から数日経ちクラスに慣れてきたころ
顔も名前も覚えていない女子3人組の一人に話しかけられ俺は体をビクつかせた。
「そうだけど…何かな?」
「LUNEやってる?やってるなら登録したいんだけど教えてくれないかな…?」
どうやら連絡先を聞きに来たようだ。
「あー…ご、ごめん 俺、ふ、普段携帯触らないから家に忘れてきちゃったわ
今度持ってきた時にと、登録するからまた今度にしてくれないかな」
「そ、そっか… 分かったよ なら今度私たちに教えてね」
女子3人組は少し残念そうに戻って行った。
はぁ…普通に話せただろうか…だいぶ抑えれるようになってきたんだけど
やっぱ急に話しかけられたら鳥肌と冷や汗が止まらないな…
「おい、神崎!何お前女子たちと話してんだよ!ずりぃぞ!」
斜め後ろの席から松岡が文句を言ってきているのを聞き、俺は振り返った。
「何がずるいんだよ…話したくて話したわけじゃねぇよ…」
「お前、女子と話したくない男子がどこにいるんだよ」
ここにいるんだよ、こ!こ!に!!
「俺なんか目立ったはずなのにまだ女子から話しかけられてないんだぞ!!
くそう…!お前地味に顔整ってるからな…!やっぱり顔なのか…ああ…
お前や月宮の顔が羨ましいぞ!!」
「月宮って誰だよ…てか地味にってなんだよ
喜んでいいのか悪いのか分かんねぇよ…」
松岡は悔し涙を流していて俺の話は聞こえてないみたいだった。
女子か…普通の男子高生ならモテたいと思い、会話をしたい、一緒に遊びたい、
性〇為したいなどと思うのかもしれない…だが俺にとっては恐怖そのものだ
だいたい女子の性格なんてあってないようなものだ
あの子は清楚そうだとこっちが勝手に印象を決めつけ話しかけたとする
女子も自分を気に入ってほしい分、清楚な自分を作る
やっぱりあの子は清楚だった、いい子だ、
これはただの偶像から出来た虚像にすぎないじゃないか
その子の本質も分からないまま、その子の性格が決まってしまう
しかしその子も良い印象をもたれて悪い気持ちになるわけがない
そうしてどんどん本当の自分を隠していく
本当は笑っているようで裏では蔑みや憎悪があふれている
自分が不利にならないように嘘も本当のように話す
中でも最も俺が恐怖するところはいじめだ
女子のいじめほど陰湿なものはない…
常に群れになってるからか団結力が凄まじく
男子の殴る蹴るの物理技のほうがまだマシと思えるほど
精神を徹底的に崩壊させる…
まぁ別に女子に恨みがあるわけじゃない、俺は昔とあることをきっかけに
女性恐怖症になってしまったのだ
今ではなんとか抑えが効くようになり普通に話せるようにまでなった
「女子高生か…」
見渡せば群れをなして会話をしている女子グループが
あちらこちらに見かけられた。
「やはり高校になっても根本は同じか…おい松岡、パンでも買いに行こうぜ」
「おっし、俺も腹減ってたし買いに行くか」
俺たちは購買へ向かうことにした。