02 友人
「起立! 礼!」
そんな声とともに俺は目を覚ました
どうやら生徒会長の話どころか式自体の終わりを告げる合図のようだ
周りが立ち始める時の雰囲気をどうにか察知できた俺は
なんとか一人浮くことなく周りと一緒のタイミングで立ち上がり
その仕草に合わせることができた
新入生一同が体育館を退場し割り振られた教室へと向かう。
やべぇ… 式の半分以上寝ちまった…!寝息とか立ってねぇよな…?
もしかして鼾をかいてたりとか…
入学初日からクラスで鼾男なんて言われたら取り返しがつかねぇぞ…
俺はそんな心配をしながら移動していた。
「眠気覚ますために飲み物でも買ってくるか…」
体育館から校舎までは渡り廊下になっており途中に購買が配置されている。
俺は教室へ向かう生徒の流れから抜け出し購買へと向かった。
購買には少数であるが新入生と思われる生徒がちらほらとおり
会話をしたり、温かい飲み物を買って
体育館で冷えた手や指を温めている生徒達がいた。
「さてと…俺も手先が冷えたし温かいココアでも買うかな…」
俺は自動販売機に硬貨を入れ、ボタンを押し、
温かいというより熱いに近いココアの缶を開け、飲んだ。
過度ではないがなかなかの甘党の俺にとってはこの甘ったるいココアは
とても美味しく感じられ朗らかな気持ちになれる飲み物だった。
ココアに舌鼓を打っていると
「やべぇ!金忘れてきた…喉が渇いたしどうすっかな~」
振り向くと自分と同じ内履きの色をしているところから
同学年と思われる男子生徒が何度も左右のポケットから手を出し入れし
困り果てていた。
「えっと…よかったら金貸そうか?」
我ながら知りもしない人に困ってるからとはいえ金を貸そうかとは
なんと不用心なんだと思えたが
無視をして見過ごすことができない性格だった俺は考えるより先に声が出ていた。
「え!?同じ…学年だよな?いいのか?」
「ああ、構わないよ」
「サンキュー!! 助かるわ!
遅刻しそうで焦って来たからよ式の間、喉が渇いて死にそうだったわ」
男子生徒は炭酸飲料をゴクゴクと飲みながら笑いながら言ってきた。
なるほど、飲み物買えないだけで
あんな困り果てるものかと思ってたがそういうことか
「えっと、名前教えてくれないか? 金返す時分からないと探しづらいし」
「神崎だよ、そろそろ担任がクラスで自己紹介とか始めそうだから行こうか」
時計を見ると10分ほど経っており購買にいるのも俺ら二人だけになっていた
走って階段を上がり俺たちは教室へと駆け込んだ。
「お前も同じ1-Dなのか」
「そうみたいだな」
一緒に走ってきた男子生徒もどうやら一緒の教室だったらしく
笑いながら聞いてきた。
急いで席に着いたがまだ担任は来てなく
俺らが教室に入ってから3分後くらいに入室してきた。