2/28
零:まだ生きている-乙
ここは何処なのだろう。
自分は今何処に居るのだろう。
今、何をしているのだろう。
分からない。何も、分からない。
そもそも、自分は何だったか?
自分はまだ生きているのか?
実はとっくに死んでしまっていて、今ここに想う自分はただの意識の残滓なのではないか?
現実感が無い。目が見えているのか、耳が聞こえているのかすら曖昧だ。
座っているのか、立っているのか、歩いているのか、走っているのか、寝ているのか。分からない。
ただ、考える自分だけが在る。
痛い。
そうだ、痛い。
喉が痛い。口が痛い。腹が痛い。胸が痛い。頭が痛い。脚が痛い。腕が痛い。
どこもかしこも痛い。気持ちが悪い。
何故こんなにも痛むのだろう。何か、悪い物を食べただろうか。
とても、苦しい。
ただ、彼は考え続ける。
自分がここに居るという事を。
それさえ止めてしまったら、本当に何も分からなくなってしまいそうだから。
全身全霊が軋むが、彼はそれでも思考を続けた。
やがて、彼の前に光る何かが現れて。
亡者に救いを齎すように、温もりが彼の手を取った。……気がした。




