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交渉

「ちょ、ちょっと待ってください! 俺たちにはその魔王を討伐できる力があるとは思えません!」


 突然の討伐依頼を請けた生徒たちの現在のリーダー的存在――――――大寺は声を荒げて王様に言い返す。


 まあ当然の反応だろうと雪人は思う。その魔王とやらの実力は知らないが、自分たちを召喚したというのが魔王を倒すためというのが本当であるならば、魔王というのはここにいる騎士たちや王様の実力ではどうしようもない存在であるということになってしまう。それはつまり、彼らよりも確実に弱い現在の雪人たちに勝てる可能性は万に一つもないということだ。


 とっさに大寺がそこまで分かったかはさだかではないが「討伐」という言葉一つでも現代の一般的な日本人にはどうしようもないと分かったのだろう。彼の顔からは先ほどの香林と同じく血の気というものがひいている。


 誰だってそんなことを突然引き受けようとは思わないだろう。雪人ももちろん引き受けるつもりはない。とは言え彼の場合は、魔王に勝てそうもないという事ではなく、突然誘拐をしてそんなことを頼んで来ようとする精神というのが理解できなかったがゆえの反感だったが。

 普通、こういうのは自分たちの力で解決するもんだろうと。


 かといって大寺の発言を全面的に支持したわけでもない雪人は、彼の否定的な意見が何らかの悪い反応を騎士や国王たちから引き出すのではないかと懸念して警戒を怠ることはしなかった。そこに国王が「いいや、安心してほしい」と優しげな口調で話してくる。


 曰く、「異世界人というのは、世界間を渡る際に世界と世界の狭間にある高次の力によって強化されるため、無力であるという事はないのだ」とにこやかに伝えてくる国王に、「取り込みにかかってきたな」と心の奥底で警戒の度合いを深める雪人。


「し、しかし自分たちは特にそのような力を感じたことも無ければ戦ってきた経験もありません。それなのに魔王を討伐しろというのは無茶です!」


 先ほどまで震えていた香林も復活し、震える声で「できない」と王に叫ぶ。いや、復活したというよりも、魔王討伐を聞かされた動揺から叫ばずにはいられなかったというところか。すぐに自分の失言に気付いて口を押える香林に、幾人かの騎士たちが先ほどのように怒ることは無かった。


 これはそう反応しても仕方ないほどに魔王が強いのか、それともこちらに遠慮したのか。恐らくは前者。雪人が騎士の反応からできる限り真意を見抜いて行こうとする間に、王様の話は進む。


 その後の話は、何らかの強い敵と戦うといった内容までは雪人の予想と一致したが、その後に聞いた内容に関しては今の情報弱者の雪人たちには判断のしようがないものであった。

 

 国王の語った内容というのは今現在の魔王の統べる国、ヴァルデラ魔王朝はおよそ四年間はこちらに攻めてくることができないというものだった。


 もともとはこの”ユース大陸”の新興国として発展してきたウェイン神聖王国に突如としてその当時大陸最大の国家を形成していた魔族が侵略してきたことから始まった。


 この世界で魔族というのは一般に優れた肉体と強い魔力を備えた世界的にも強者に分類される種族である。しかしその高い能力の反面、サキュバスなどの一部の種族を除いて、ほとんどの魔族が繁殖能力において他の獣人や人間に大きく劣っていた。


 繁殖力の差からくる種族の勢力で、次第に個人の能力では劣る人間の方が数が文明を発達させ、様々な技術を発展させていった。個人のレベルでは強かった魔族たちもそのことに気付き、自分たちの文明が圧迫されていってしまう事を危惧して対処できる今のうちに神聖王国を潰してしまおうと侵略してきたのだ。


 こうして二国の間では戦争が起こり、隣接していた獣人の国”サーヴァ”や竜人の国”ドラクロア”を巻き込んで大陸規模の争いに発展する。ここで他の国が巻き込まれたのは、ウェイン国が様々な通商貿易と同盟を結んでいてその関係からヴァルデラ魔王朝との戦争に味方として付いてもらったからだ。


 いくら様々な技術が発展し、仲間を増やしていたとはいえ、当時の最大勢力であった魔族に攻撃されてはひとたまりもない。大陸中央に位置していたヴァルデラ魔王朝に隣接していたウェイン神聖王国は徐々に大陸の東の端の方に追い込まれていく。

 結局、自国の半分の領土に当たる”西ウェイン神聖王国”を魔族に蹂躙され、残った土地の東ウェイン神聖王国に国民も騎士も魔導士も国王も逃げ込んだ。なぜ逃げ込むことが成功したのかというと、そこには地理的な要因がある。


 ウェイン神聖王国と魔族国家ヴァルデラの間には急峻で長大なスカンディアクス山脈が存在し、そこに住む獣や下級竜の群れは多く、一説では古代龍の住処があると伝えられているほどの危険地帯だ。魔族には平素ならばもしかするとそこを越えることも容易かったかもしれないが季節は秋の終わりごろ。技術力で上回っていた人間には厳しい山中を通り抜けることができても、軍隊を運ばねばいけない魔族にはそのようなことはできなかった。


 もちろん、人間もその時は無傷とはいかず、西に住んでいた王国の人口の約八十パーセントを失った。


 こうしてほとんど死に体の状態ではあったが、辛くも逃亡に成功した人々は次なる魔族との戦いに備えた。


 戦いに備える余裕ができたのには要因が二つ


 一つは百年に一度の四年間の冬の時期が山脈を覆ったことで、山脈の危険度が跳ね上がった事。


 もう一つが地理的条件で、海から回り込んでいくにしても魔族の技術力では人間との海戦には魔族に不利であるということ。ついでに陸からの襲撃も山脈を脇に避けるというのは兵糧の問題からも現実的ではない。 


 この状況下では、冬が終わってから攻めてくるだろうというのが戦術的見解であり、それまでの間に魔族を倒せるだけの力を蓄えようということで異世界人を召喚したということだ。


「というわけで、我々としては貴方がた異世界人たちにこの国を救う”勇者”となっていただきたい」


 王様がそんな言葉で締めくくると、あたりには痛いほどの沈黙が落ちる。

 絶望に顔を歪めている者、なにやらにやけている者、義憤に駆られ怒っている者……概ねの生徒たちは王様の話を信じ切っているようだ。それぞれの心境が全く異なる様子であることについては興味がないが。


 ちなみに雪人は魔王討伐を確実に拒む方法について悩んでいた。拒む理由は主に二つ。

 一つ、いきなり誘拐して、誰か顔も知らない存在を殺してほしいなんて面と向かって言ってくるような人物について行っても、絶対に失敗するという確信があったから。

 二つ、少なくとも自分は、誰とも知れぬ相手に命令されて誰かを殺すなんてことは死んでも御免だったということ。雪人はこの世界では自分が誰かを殺すことになる時が必ず来ると予測していた。少なくとも、戦争がこの世界で起こっている以上、その時は遠からず訪れるだろう。もしその時に、殺さなくては自分が生き残れないから仕方がないという理由で殺すにしても、自分の意思で決断して、自分の意思で責任を負っていきたい。

 

 そして肝心の拒む方法なのだが……今んとこまったく思い浮かばない。この王の間を見る限りでもこちらに断わらせる気はなさそうだったし、話の内容が事実だとすれば、この国は今戦争中。しかも大打撃を喰らった後だ。そんな時にこの世界のことを全く知らない自分たち城から出ても、できることなどせいぜいがかっぱらいや盗賊か用心棒。もしかすると冒険者というファンタジーチックな身分もあるかもしれないが、あれは存在が結構眉唾らしいと本で読んだことがある。


 だから最低でも、この世界の一般常識と言語くらいは確認しておきたいのだが……魔王討伐を断るとしたら、それらの教育をしてくれるのか一切の保証がない。

 もしかしたらここで相手に従うふりをして、後で裏切るのが賢いやり方なのかもしれないが、そんなやり方をすればここの誰かに情が移ってしまうかもしれない。雪人は他人に合わせて自分の意思こうきしんを曲げるという事はしない人間だったが、それでも何も感じずにいられるというわけでもない。


 何より、そんなことをすれば後から暗殺者的なのもわんさか送ってきそうだ。


 というわけで今の雪人は八方塞がりである。魔王討伐も死ぬのも嫌なら、意地を捨てての裏切りの選択肢しか彼には残っていないが、そもそも意地を捨てられるほどに柔軟な思考をしていればここまで雪人は排斥されてない。つまり彼はどうにかして城から出る前に一般知識を得られるように王様と交渉するしかないが、その場合は勝手にこっちに誘拐してきた王様に対し、自分が冷静に話すという事が出来る気がしない。今は冷静な思考を保っているが、突然の召喚と戦闘要請。しかもこちらの断ることのできない状況でそれを行っているというのが彼の癪に障っていた。


 どうしても譲れないこの反感は不要な感情なのだろうが、今は自制できる自信が無い。なので自分の代わりにそこらへんの交渉を冷静にしてくれそうな人物がいないのかを少々さざめいてきた生徒集団に目を走らせ探していく。


 すると雪人が見ていく面々の中に「おや?」と彼が疑問に思う顔があったが……間にいた生徒が後ろに身を乗り出したことですぐに彼の視線の先からその顔は消えていった。


 雪人が今見た顔の人物を考えている内に、雪人の眼前では大寺たちの話し合いが終わったのか王様に返答しているところであった。


「王様。俺たちは、正確に言えば俺こと大寺翔也おおでらしょうやとこっちの嘉納喜咲かのうきさきそして神宮司日輪しんぐうじひのわはここであなたの申し出を請けたいと思っています」

「おお! そうか! では他の者たちはどうかな?」


 何言ってやがるあのあの阿呆どもは。お蔭で断る雰囲気がなくなってお受けします状態じゃねえか。ただでさえ自分たちは断れない状況だったのにこれではどうにもならないかもしれない。ひたすら心の中で罵倒する雪人。


 しかし、それもむべなるかな。先ほど王の間に入る時に見た光の明滅パターンの催眠作用は恐らく人の話を信じやすくさせ、単純な怒りや悲しみといった感情のままに人を動かすこと。よく言えば純粋になり、悪く言えば子供のような理論的に考えられなくする効果があった。雪人はどうせひねくれて成長したから、好奇心くらいしかそんな純粋な感情の発露は無く、効果も薄かった。しかし元から善良だった上に、感情の発露も普通にあった彼らはその光の影響をもろに受け、魔王を倒さねばならないという義憤に駆られている。


 とは言え雪人にとってはあの三人の勢いと王様の雰囲気が、他の生徒たちの後押しになりそうな状況という事の方が不味い。このままでは全員が肯定の返事をしそうである。そうなったら自分だけ魔王を倒さないという決断はできないだろう。


 もし、雪人が譲りたくないものの為に交渉しようと思ったのなら、ここいらで勝負をかけるしかない。


「国王様。自分が魔王討伐をお受けするか決断する前に……あなたにお尋ねしたいことがあります。それの回答如何で俺は貴方への回答を考えさせていただきたい」


 突然の発言。しかも敬語を使っていない発言に王様の周りの方がざわめき立って殺気を向ける騎士もいたが、こっちだって強制的に魔王を殺せなんて言われて気が立っているのである。怒っているなら相手の殺気もそんなに怖くない。


 というよりも、あちらはずいぶんと無茶で無謀な事を言っている上に、まだこちらに話していないことがある。そのことを誰も追求しないで話が進んでいることの方がおかしいのだ。

 

「ほう……一体どのようなご質問かな?」


 王様の言葉は、暗にその質問と態度について了承したといったところだろう。周辺のざわめきは小さくなったが、ここで空気を読まない馬鹿が一人。


「おいお前! こっちの世界の人たちが困っているっていうのにその態度は……」


 大寺が何やら文句を言ってきて、他の生徒も若干数、非難の視線を浴びせてくる。

 まあ確かに現代日本で純粋に育てば、相手が困っていたら自分のことを考えずに助けるという思考回路になるかもしれない。少なくとも助けたいと思うことがあることも雪人は理解している。しかし、それは雪人の魔王”殺害”の決断の理由には全く足りない。それは彼の考え方に起因するものだったが、ここでそれを話しても理解してもらえるとは思わない。


 なので、普通に常識で押し込むことにする。


「今は俺と国王様の会話が成立していたところだぞ? 会話の最中に割り込むというのはいささか国王様に対して不敬じゃあないのか? 納得がいかないというのなら、俺の話を聞き終わってから直接俺にしてもらおう」

「なっ!!」


 それだけ言って、大寺を完全に沈黙させると雪人は王様の方に向きあう。彼の視線の先には人の悪い笑顔を浮かべた王の視線が存在し、嫌々ながらも雪人それに真っ向から対峙する。慣れない腹の探り合いとなりそうではあったが、ここで引く気もない。何より、理想論的な事を適当に信憑性をもたせて話すのは雪人の特技の一つでもある。


「さて、国王様。自分が尋ねたいのは単純に三つです。

 一つ目、異世界人というのは四年間鍛えてもらうだけでこの世界の魔族という強者を殺しうるほどに強くなれるのかということ。聞いている限りだと人間の技術力では魔族の暴力に対抗できなかったということでしたが、そんな魔族の暴走を人間である我々異世界人が、異世界人という補正だけで止めることが本当にできるようになるのかという事。

 二つ目、俺たちは元の世界に戻れるのかどうかということ。仮に魔王討伐を成功したとすれば自らの故郷に帰ることを願う勇者も出てくるでしょう。ここで帰還の方法はないのか、あったとしても自分たちのいた時代に帰ることができないというのかをはっきりさせておいてほしいという事ですね。

 三つ目、俺たちが魔王討伐の依頼を請ける請けないにかかわらず、最低限のこの世界の常識や情勢、そして魔法といった技術を教えてくれる気はあるのかということです。現状、貴方方の召喚されたばかりの自分たちには貴方方のいう事が本当に正しいかどうかを判断するこの世界の知識も、魔王という技術に対する力もありません。仮にも大衆の為に立ち、多くの者を救うために魔王を討つという事を決断する勇者が、真偽の判断もしないまま、戦う力もないままに戦う事を決めるわけにもいかないでしょう」


 幾人もの王国側が血相を変えて睨んでくるが、事前に予測できた事態だ。この程度の殺気、心構えをしておけばどうということもない。


 こんな偉そうなことを言えば、自分は死ぬかもしれない。だが、貴重な戦力になってくれるかもしれない生徒たちを巻き込んで俺を殺そうとするほど相手も愚かではないはずだ。最悪でも死ぬ時は自分一人。責任は自分にしか及ばない。


 確かに彼は好奇心の赴くままに研究して生きてみたいと思っているが、かつての失敗の経験から、選択を間違って人生を生きるという事で自分が傷つくことは嫌というほど知っていた。ここで自分の願望を通して生きれなくとも、再び間違って生きてまた自分の精神こころを削るくらいだったら、死ぬ方を選ぶくらいには彼にも意地がある。


 しばらく表情を変えずにお互いの視線を交わす国王と雪人。生徒たちも騎士たちもその場の二人以外が緊張状態にいる中で、国王の方はこちらに分があると思ったのか「……よかろう」と返事を返してくれた


 大きくホッと息をつくその場の面々。だが、無論ここで話は終わりではない。むしろやっと始まったのだ。久しぶりの謀略という戦いに手に汗がにじむ雪人の前で、国王はこちらにも理解できるようにゆっくりと話し始める。


「まず強くなれるのかという意見だが……これに関しては人それぞれに魔法の適性が違うことを考えて、魔力波長の特性を測り、そこからわかった情報を元に、人間国の技術の粋を結集して四年、いや三年鍛え上げれば、そなたたちは最低でも中級魔族の実力には匹敵することができるだろう。これは、この世界に来たことのある異世界人たちの前例でも明らかだ。もちろん上位の実力であれば上級魔族や魔王にも匹敵する可能性があるとの計算結果が出ている。なので、強くなれるかという質問には是と答えておこう。次の質問だが……すまない。我々にはそなたたちを元の世界に戻すすべはいまだ見つかっていない」


 ここで動揺に声あげる生徒と宮廷側の人たち。前者は帰れないという事実に、後者はその事実を話した国王への驚きにだろう。


「な! 俺たちを召喚したんだから戻すことだってできるはずだろう!?」


 誰だったかぶくぶく太った少年が声を上げるが、国王はその言葉に首を沈鬱な表情で振る。


「次元の壁を再び突破することはできる……しかし、それが無数に存在する世界の内、貴女方のいた世界のあなた方のいた時代かどうかということが保証できないのだ。我々はあくまで「素質の高い異世界人」をどこからか召喚できたに過ぎないのだ」


「なるほど……」


 あくまでも召喚は不特定多数の場所から喚ぶことが専門という事か。


「代わりと言っては何だが、もし魔王を討伐していただけたらこの国の貴族に列することも財宝を褒賞として与えることも美女を与えることもなんでも約束しよう」


「ふうむ……」


 雪人の願いは幼いころから、自由に興味のままに生きることだ。人間関係での失敗から精神外傷トラウマをひきずって、人間について知ろうと思う事には食傷気味だったが、それ以外の分野ではいろんな世界の理を解体していくというただの好奇心だけで支えられた望みが存在する。


 この世界に突然召喚されて、魔王討伐を強制されるという事に関しては納得がいかないが、この世界に召喚されたこと自体に関して彼が怒ったりすることは無い。


 というかむしろこの世界の方が興味をそそられるような研究対象が多そうな気がするので、全くの悪いことばかりではない。なので、王の申し出は雪人に対し全く魅力がない。というか立場に縛られてしまう以上思いっ切り邪魔である。


 故に魔王討伐を受けることはやっぱりないのだが、美女と国王が言ったところで生徒の半分――――――つまり男子諸君が何やら表情をにやけ始めて気持ち悪くなり、幾人かは周囲の女子に攻撃を受けていたようだった。雪人は特殊な例としても、どいつもこいつも状況は分かっているのだろうか。案外ここにいる生徒たちは大物かもしれない。


「最後の質問に関しては……当然のことだろう。我々は魔王の討伐いかんにかかわらず責任をもってそなたたちにこの世界の最低限の知識を伝えようと思う。討伐の了承をしてくれたかどうかによって装備の強弱や教えられる知識の範囲は変わってしまうが」


 国王様の発言にホッとした様子の生徒一行。まあ、魔王討伐を承諾しなくても自分たちに最低限の生きる力を与えてくれる保証は安心するものだったのだろう。


 偏った教育内容でこちらを洗脳してくる可能性もあるんだぞ、というか十中八九そうだろうと雪人は思ったが声に出さない。今はこの約束を得られただけでも十分だ。洗脳を受けても、教えられたことの整合性の合わないところから順に世界の正しい姿を知ればいい。最悪、常識をある程度溜め込んだら外の世界に飛び出すのもありだ。


「わかりました。その条件ならば自分には異論はありません。取り敢えず、しばらく自分の実力を把握している最中に、この世界の事情を知って魔王の討伐を決めるということでよろしいでしょうか?」


「うむ。あい分かった。それでは他に質問がなければそなたたちの特性を測るための検査を行おうと思う。よろしいか?」


 何とも緊張した腹の探り合いはこうして国王の言葉で幕を閉じ、生徒たちは魔力特性とやらを調べるための準備を待たされることになった。




 雪人の行動の優先順位

 人生の選択を間違えないように考えたルールを守ること>>>越えられない壁>>>好奇心を満たすこと

 雪人のルール1。自分が生きるために命のあるものを殺す時は、全部が全部自己責任で(教えは雪人の師匠より)

 

 物語を進めていくうえで、作ったルールを紹介していこうかと。

 なくても文章中でしっかりと描写しようとは思っていますが。後から確認したときに楽になるので。

 まあ、どんな人間もトラウマというのは行動の最優先基準になりますね。

 作者はハードルを飛ぶ練習で股関節を強打したので、ハードルが飛べませんし。

……ん? 違う?

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