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謎の成長 

遂に二十話……しかしまだ森の中から出ていけません……ごめんなさい。

更新の方をできる限り上げていくことでご容赦を。

 「う~ん。これはなんでなんだろうな……」


 雪人は森の中で一人突っ立って首をひねっていた。


 彼の周囲にはスズメバチをそのままぬいぐるみくらいまで大きくしたような魔物の群れが死体となってそこいら中に散らばっており、詳細に見ていくと、そこいらの木に激突して弾け飛んでいる個体や胴体を貫かれてドクドクと血を流している個体といったようにまるで力任せに蜂たちを引きちぎった状況になっている。


 そんな蜂にとっての大災害を引き起こした張本人である雪人は、自分の起こした被害の大きさに疑問を感じていた。


「……さっぱり分からない。なんでここまで強くなったんだろうか……」


 彼は自分の引き起こした被害の要因について考えるために、少し前に起こった蜂の群れとの戦いのことを回想し始めた。

















「おいおいおいおいおいおいおいおい! ちょっとこれは不味いんじゃないのか!?」


 鬱蒼とした緑が生い茂る森の中を、雪人はひたすらに駆けていた。


 彼が魔物の肉を食べられるようになるために、安全地帯を抜けた森の奥で修業を始めて今日で約九十日。時たま魔物に遭遇しては少し体を削り取ったり、殺して料理したりと毎日を逞しく生きていき、とうとう森の安全地帯にいなくても体に変調がなくなった頃。彼は今までにあったことの無いほどの蜂の大軍に追いかけられていた。

 

 森の中に入ってからおよそ四か月。遭遇した魔物は巨大な蜘蛛だったり、攻撃速度の早い蟹だったり、打撃の効かないスライムだったり、皆一筋縄ではいかない魔物ばかりだったがそれでもひとつ共通点があった。


 それは、雪人と戦うときは基本的に一対一だったという事だ。


 勿論そうなったのは偶然でもなんでもなく、雪人が自分の魔力感知を利用してしっかりと勝てる相手を見極めるように動いていたからというのももちろんある。というよりは、この四か月で急に身長が伸びて百八十センチくらいの体格に成長し、筋肉がついて実力が上がってきたとはいえこの森の魔物は基本的に一対一でないと逃げるのにも困るくらいなのだ。この森に雪人が最初に来た時に持っていたメスや剣は今のところ所持していないし、あっても無傷ではいられない。森の中で生き延びようと思ったら、できる限り怪我を負うのを少なくする必要があったので、今までは慎重に慎重を重ねて行動していたのだ。


 だがどんなに慎重に行動しても失敗するときには失敗するもので、偶々魔力探知の精度が悪くなるような魔力の淀みがあるところに迷い込み、運悪く地中に作られていた魔物の蜂の巣を踏み抜いてしまったのだ。


 必然、巣の一大事にこちらを攻撃しようと向かってくる働き蜂。その数が普通の蜂の巣と同じなのかどうかは分からなかったが、何よりもまず大きさが尋常ではなかった。


 下手をすると人間の生まれたばかりの赤ちゃん位はある蜂が、こちらに向かって全力で飛んでくるのは軽いホラー映像だ。一匹一匹の魔力はこの森で遭ったどんな魔物よりも弱かったが、それが集団、しかも百は下らないとなると雪人には逃げ以外の選択肢はなかった。


 縮地術を併用し、地面を滑るように木々の合間をすり抜けていく雪人。途中、サボテンみたいな植物に針を飛ばされたり、いきなり地面からツタで作った網のような罠が飛んできたりしたがそれらを全力で回避。追ってきていた蜂たちの一部が巻き込まれたが、それでも数は五十を下らない。


 このままイービル・テイターンの下に行くにしても、今日は遠出をしていて少々距離が遠すぎた。自分が成長したことで森の中を探検できるようになったのは喜ばしいが、いくらなんでもこの樹から離れたタイミングで一対多の戦闘に突入というのは運が悪すぎる。泣き言の一つでも言いたくなるものだ。


 とは言えまだ体力のあるここで向かってくる敵を排除することを決意しないと、到着までの間に自分が殺される確率の方が高い。何故なら蜂の飛翔速度は、羽根に魔力を通す強化によって、雪人の移動速度よりも早いのだから。


 自分よりも早く動く飛行物体との戦い、しかも複数というのはできる限り避けるべきだが、ことここに至っては逃げきれそうもない。戦うべきであると判断し、そうと決めると話は早い。蜂たちの次に来る移動方向の予測を魔力感知の応用”意思感知”で行い、両腰につけていたカマキリの鎌を逆手で抜き放つ。


 逆手で抜き放ったのは、順手では刀の扱いを習熟していたこともあって、内反りのグルカナイフのような特徴的な刃物を完璧な精度で扱うことができなかったからだ。


 それでもカマキリがやっていたようにあっさりと細い木を切り倒すことくらいだったらできるようになったが、今度は妙な癖がつくことを倦厭して順手で使うのには抵抗があったのだ。


 一応、刀の感覚を忘れないためにイービル・テイターンの落ちていた枝から木刀を削りだし、鋭い刃物のように尖らせたものも作ったのだが、いくらイービル・テイターンが魔力吸収作用とそれに付随する堅い表皮を所有していても、作った木刀はカマキリの鎌よりは切れ味が鈍かった。なので残念ながら今の木刀は練習用として樹の根元に置いてあった。


 というわけで今の雪人は一番習熟している刀ではなくグルカナイフに似たカマキリナイフを両手に構え、向かってくる蜂の群れを撃退しようとしていた。とうとうこの森でも何の支障もなく使用できた魔力感知を応用し、相手の行動の先を予測する”意思感知”を発動。蜂が襲い掛かってくる軌道上にカマキリのナイフを置いていく感じのイメージで連続的に両手を振るっていく。

 

 狙いは高速で振動する羽根。そこを引き切る様なイメージでナイフを動かしていけば、力のない速さだけの攻撃でも相手を戦闘不能に追い込める。

 

 複数が相手である以上、今は力ではなく速度の攻撃が必要と両手を霞む速度で振り回す。


 それはこの森で生きていくという事を決意した雪人が、研究して計算して反復して身体にしみこませた動き。高速で連撃を続けても重心がぶれないように体を安定させるという戦闘の基本をしっかり守るために練習しつづけた努力の証。


 その努力は今、蜂の群れを一体残らず刈り取っていくという結果になって、雪人の前に現れている。


 とは言え、彼の完勝というにはまだ早かった。


「らあ!!」


 個々に突っ込んできてはこちらに切られるだけというのが分かったのか、全くの同時に複数の蜂が全方位攻撃をしてくる。雪人は後方に回り込んでいた蜂についても魔力感知で分かっていたが、絶え間なく向かってきていた前方の蜂にかかりきりで攻撃も妨害もできていなかった。


 それで終わるほど彼も甘くない。前方の複数の蜂の内、真正面からこちらに向かう蜂については両手の鎌をブン投げて撃退。振り向いて、後方から来ていた蜂をまとめて二匹ほど素手で薙ぎ払いながら強引に道を作って木の陰に隠れる。


 ここで彼が普通にナイフを持ったまま突破しなかったのにはわけがある。一つは、魔物はどうやら知能があるみたいだから自分が武器を捨てて動揺を誘ったこと。もう一つの本命の方は、包囲を抜けるにしても蜂を切り倒しながらでは逃げ切れない速度であったこと。


 蜂の方も魔力を全開にした速度で向かってきていたので、即座に方向転換はできなかった。ある程度の誤差修正をするにしても、雪人をすぐに追いかけることのできるような軌道の蜂は、最初の投擲で殺しておいた。


――――だがここで奇妙なことが起こったことに雪人は気づいた。


「あ、れ……」


 今自分はとっさに目の前にいた蜂の魔物を片腕で薙ぎ払った。より詳しく言うと、前方にいた蜂二匹を振り向いたときに回転する要領で、右腕を左側から右側に裏拳かましてまとめて吹っ飛ばしたのだ。


 だが、いくら自分がうまく打撃に重さを作ったとはいえ、こうまであっさりと人間の赤ん坊クラスの飛行物体が二匹もすっ飛んでいくだろうか? 今腕に感じる感触では、そこまで重いものを吹っ飛ばしたような気がしない。


 それに夢中ですぐには気づかなかったが、腕を薙いだ時にものに当たった抵抗はそこまでなかった。これが意味するところは……?


「ってうるさい!!」


 自分が疑問に思って真剣に考えているところに、羽音をブンブン鳴らして近づいてくる蜂の群れ。鬱陶しかったので感じた怒りとともに、向かってきた蜂の胴体に拳。ついでに飛んできた別の蜂に左回し蹴りを喰らわせる。


 するとそんなに力を入れてないにも関わらず、拳で殴った蜂は勢いよく木に激突し、破裂。蹴った方は胴体から二つに分かれた。


「は?」


 今の蹴りは早さ重視だったため、確かに打撃というよりは斬撃に近い。だが、だからと言って蜂の胴体を切れるとはいったいどうなっているのか。

 それは拳にしても同じだ。打ち抜くようなイメージの拳であっても、背後の木にぶつかって弾け飛ぶなんていう理由が分からない。


 雪人が疑問に思う間にも、身体は蜂の殺気と敵意に反応して適切な攻撃を繰り出していく。


 後方から来た蜂に右裏拳。側方左から襲ってきた蜂には左肘。そのままの身体を動かした勢いで時計回りに一回転して右回し蹴り。右足の裏で丁度蜂の胴体をけっ飛ばす様にして周囲の敵を排除し、そのまま左の貫手で背後を狙った蜂を撃退。


 ……何かどの動きも、質量のある物体を攻撃したような感触がない。

 しいて言うならば、風船を殴ったような感じだろうか。


 こいつらが異常に軽いのだろうか? 取り敢えずそこらへんの疑問の解消のために、サンプルは大目にとっておくことにした。

















 というわけで戦闘後。蜂の方が自分よりも動きは速かったが、動きも読めたし対応もできるだけの速度差でしかなかったので、さしたる危機も攻撃も受けることなく戦いは雪人の勝利で幕を閉じた。


 今までは一対一で戦い続け勝率もそんなに高くない状態から、いきなりのこの結果は大金星と言えるだろう。蜂の針や毒を回収して、いくつかの蜂からは昼ご飯を作ろうと肉を削いでいく雪人には怪我も疲労もない。彼に残ったのは大量の蜂の死体サンプルとなぜこんなに蜂が弱いのかという疑問である。


 数体の蜂を調べながら、ふ~ん~と某名探偵のように口元を手を添えて考え込む雪人。考えられる可能性は主に三つ。


 一、蜂が異常に軽かった。これは蜂が素早さ特化型の魔物であったためと考えてみる。が、それにしては自分よりも早い程度というのは少々遅すぎる気がする。あの鈍重な蟹ですら、雪人の目に負えない攻撃を放ったのだから。もし蜂が速さ特化なら自分の目に追えなったんじゃないだろうか


 二、集団である以上、一匹一匹が極端に弱かった。この案は……無理がありそうだ。そもそもいくら弱いとはいえ、この森にすんでいる以上はこの森の魔力濃度に耐え切れるだけの強さを保持しているのだ。何より、弱いから軽いという考えは少々論理が飛躍しすぎである。この世界には弱くても重い生き物とか小さくてもめっちゃ強い生き物とか結構いるのだ。具体的に何、とは言わないが。


 三、俺が異常に強くなった。……ないと思いたい。いくら最近体が発達したような感覚があっても、まだ自分の肉体は中学生と高校生の間くらいだ。四か月くらいで人間の赤ちゃん位の生き物、推定五キロはありそうな飛行物体を打ち抜いて全く抵抗なしとか結構異常である。


 とは言え、自分が普通であるという願望を持ちたくても、そもそもこの森に適応できる時点でまともではない。なんか最近妙に体の調子が上がってきていることも勘案し、この後安全地帯で自分の体の能力を測っておくことを決定したのだった。

















 ズガァァァンという音が辺りに響いて空気の震えが木の葉を揺らし、木々に停まって一時の休息を得ていた小鳥や猛禽類はバサバサと翼をはためかせて空へと再び羽ばたいていく。


 音の中心から約二十メートルまでの範囲で鳥が逃げ、音の響いた範囲では魔物や動物たちが警戒心を現していたのを成長した魔力感知で確認した。


 しかし、雪人は周囲から生き物が逃げていったことよりも、目の前の拳大にへこんだ木の幹の方に目を奪われていた。


 今しがた自分の実力がどのくらい上昇しているのかの確認のために、とりあえずイービル・テイターン周辺の、魔力で変質していない普通の樹に思いっ切り正拳付きを行った結果がこれである。

 今撃った自分の拳は、へこむというよりは、木にめり込むというような感じで拳の半分くらいが埋まっている。


 今自分は全力で拳を打ち込んだわけではない。どちらかというと精々木が揺れる程度に加減した一撃を放ったつもりだった。だというのにこの威力。毎日過酷な環境で鍛えているからといっても、これは流石におかしいだろう。

 

 自分の疑問を棚上げして、取り敢えず全力で打ち込んだらどうなるのかを確かめるべく、今度は貫手で木に穴を空けることにする。


 貫手を選んだのは、自分の場合は単純にそちらの方が威力が高いからだ。


 は行三段の音に聞こえるような長い息を吐いた後に、もう一度深く息を吸う。

 呼吸を深くするのは、それにより意識を深く沈め、精神を集中するためだ。 


 吐いた息を意識の端に置き、右腕を後ろに引く。

 指を五本とも揃え、腕を一直線の剣のように見立てて体の後ろに構える。

 腰を捻じってギリギリと体を引き絞り、自分の平衡を保つことに集中するために、目を瞑って視覚からの情報を遮断。次に放つ貫手のイメージを繰り返していく。 


 速度を重視した光でもなく、威力を重視した自分を中心にした渦でもない。貫手そのものが木という固体に、まるで水の中にゆっくり手を入れた時のように抵抗なく入り込む。そんなイメージを持って体ごと腕を放った。


 シャン


 到底木を穿ったとは思えないようなものと物が少しこすれたような小さな音。それが木にしっかりと肘までめり込んだ雪人の腕が出した音だ。

 確かめると、一直線に放った貫手は手のひらの先の方にスースーとした開放感がある。どうやら木を完全に貫通して、丸いトンネルを作ったようだ。


 短くない思考停止の後、このままずっと腕を木にめり込ませたままというのも間抜けであるという事に思い至り、誰も見ていないのにすぐに腕を引き抜いた。そうして穴の様子を見ると、しっかりと雪人の腕の形になっている。


 どうやらこれは、あらかじめ木が腐っていたわけでもないらしい。そのことを確認して、雪人は今起こったことを整理していく。


 まず、正拳付きで木が大きく揺れた。――――まあ良しとしよう。

 次に、貫手で木を貫通した。――――俺はどこの中二病だ。


 もしかしたら、あちらの世界でもこのくらいのことを行える武術者やらがいるかもしれない。だがしかし、雪人は少々武術を齧ってはいてもここまでの肉体強度を誇る様な荒行をしてきた過去は無い。明らかに異常な体の発達であり、何らかの外的要因が働いたとみてもいい。


「何が俺をここまでおかしくしたんだ……?」


 いきなりアニメや漫画に出てくるような超人的身体能力が発現しても、雪人は雪人である。強くなったことを喜んだり、自分の体に異常が出たのかと不安がる前に、まず好奇心が働いた。一体何をすれば、魔力で強化していない無能が、ここまでの攻撃威力を持つことになるのか。

 

 考えても答えが出なかったので、まずは現状の確認や威力の範囲などの分かったことを書き連ねていく。被害の大きさからいえば、魔力を併用した騎士や冒険者にだったら同じことも当然できることだろうが、人間でこれを素の身体能力でできるものがいるとは思えない。


 せいぜい序列騎士クラスの実力者に脳筋がいたときくらいだろう。日頃から身体強化を施している人間だったらこのくらいのことができる筋力を持っていそうだ。


「あ、そうか」


 雪人はそこまで考えて気づく。

 自分が読んだ王宮図書館の資料の中には、身体と魔力の関係について論じられた本があった。そこの記述にあった一文に確かこんなことが書いてあったはず。


――――――生物が成長の過程で長時間身体強化にその魔力を注いでいれば、基礎の身体能力も比例して向上することが分かっている。


 これは騎士の中の訓練法で、可能な限り自分に魔力強化をかけたまま生活するというものがあった時に何故そんなものがあるのかと確認した内容だ。確かその理屈は、「魔力という生命力余剰分で体に負荷をかけることで、元から人間の持つ身体能力を強化することができる」というものだったはずだ。


 多分、雪人は気づかないうちにこの条件を満たしていたのだ。


 通常の人間の生活圏では、人間が魔力強化をした時以上の負荷を得られるような魔力濃度は存在しない。もし仮に存在すれば、そこでは体の魔力の弱い子供や女性がすぐに倒れて死んでしまい、すぐに人間の生活圏ではなくなるからだ。故に、人間が鍛錬の為に魔力濃度を濃くしようと思えば、自然と体に常時魔力を纏うといった、自分の魔力を使った方法が一番手っ取り早い。

 だがその鍛錬方法では、身体にそこまでの負荷とはならず、一定の期間を過ぎるとそこまでの効果は認められなくなってしまう。


 それを雪人は、この森の中の魔力に常時耐えるという生活を送り、あまつさえ魔力の塊ともいえる魔物の肉を摂取することができるようになったのだ。しかも、外部の魔力に耐えるための重要な補助となる自分の魔力を持たないままに。その負荷たるや、平地にいる人間の数十倍に達するだろう。


 正直、食事だけで何度も死にかけた四か月を過ごしてきたがまさかこんな恩恵があるとは思わなかった。ただ美味い飯を食いたい一心で魔物肉を克服しようと思っただけなのに。


 ただまあ、身体能力が上がったといっても、このくらいの伸び幅では精々が魔力で強化した中級騎士程度の身体能力。魔力で強化した上位の実力者にはまだまだ対応できる力でもなさそうだ。


 ただ、自分はまだ四か月しかこの森にいないことで能力が伸びる余地は結構ありそうだし、何よりもリミッター解除や戦闘技術の併用をまだ極めきっているわけでもない。このままいけばたとえ上位の実力者から狙われても逃げ切れるくらいの実力にはなれそうなので、今からもっと重点的に能力強化に乗り出すのもいいかもしれない。


 雪人は疑問が分かったのでさっさと動き出すことにしたが、無能が場所を選んで体を鍛えれば魔力がない分だけ高負荷の修業ができて強くなるというのに何故未だに無能が排斥を受けっぱなしにしているのか、という疑問が思い浮かんで今度はそれに取り付かれてしまった。


 答えとしては、まずそんな訓練自体できるような体の構造をした無能がいないから、が正解であるが、自分が結構奇跡的なバランスで生きていることに気付いていない雪人には分からなかった。


 いつかどこかで無能として捨てられた子供でも拾って鍛えて、自分を解剖しようとした色持ち主義の奴らを見返すというのも面白そうだ、とか考えていた雪人。


 だがそもそも雪人がこの森の負荷に耐えられたのは、ある程度鍛えて成長した肉体と強靭な精神があってのことなので、同じことをすれば他の人間では普通に倒れておじゃんである。


 森から出るのも楽しみになってきたとワクワクしながら、やっぱり自分の興味の範疇以外は抜けた様子で、再び森の魔物を狩りに行く雪人。


 彼が真実に気付く日はまだまだ来ないのかもしれない。




 ちなみに蜂が見た目に反して美味しかったことを発見した雪人が、その後巣を襲撃し、蜂の子蜂蜜合わせて大量に収穫したのはすぐ後のことである。

 これのせいで、周囲一帯の蜂の数が急激に減少したのだが……それはまた別の話。




 ちょいチート気味ですが。まだまだ雪人君は弱いです。実力で言ったら人間の上位の騎士を一対一だったら確実に勝てるくらい? まだまだ魔法使いにも対抗手段模索中だし、こっから強くなっていってもらいます

 最終的には、真の実力者の魔力持ちの身体能力には叶わないけれど、魔力無しでの戦いなら人間よりも身体能力の高い獣人の素の状態に匹敵するくらいを目標にしてます。なのでここの訓練で鍛えまくっても身体能力だけでは魔力持ちにも簡単に魔力無しで勝てるようにはなりませんよ。ああ、早く雪人の戦闘技術を披露したい。


 もうちょっと雪人の森編は続きます

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