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60:量産プリン

「――よし、ここにカラメルをかけて………」

女性陣からの羨望の眼差しに顔を火照らせ、フライパンの中にある液体をプリン本体にかける。

このプリンはコンビニのカラメルが固まっているヤツではなく、上から直接かける甘ぁ~いプリンなのだ。

やっぱりプリンはとろける甘さがいいです! 絶対!

という要望を聞き、最後のトッピング付けはリョウヤが全て担当した。

カラメル担当組は三人も人手が居たにも関わらず苦戦していたため見ていられなかった彼が自分に任せろと率先したのである。

その宣言はだてではなく、お洒落かつ舌がとろけそうなプリンが出来上がった。

神々しいほどの眩しさを放つプリン。

その上にこれでもかとかけられたカラメル。

その二つが合体したとき、女性陣の心を鷲掴わしづかむ。

「「「プリン!」」」

三人が叫び、それに飛び込もうとした瞬間、

プリンの頭上にまばゆい何かが生まれた。

「――待て!」

その何かは光に変わり。

空に文字を描く。

「…完……?」

「かん…?」

光が移動するたびに線や点が形成され、やがて。

『完成!

完成した物:極上プリン

効果:

攻撃力3倍、40秒

素早さ上昇、高

HP100%回復

MP200%回復』

この表示を見た瞬間、カナが諸手を挙げて、

「やったーー!!!」

と叫んだ。彼女の目には嬉し涙さえ輝いている。

「やりましたやりました! 大成功です!」

わーいわいと彼女は小躍りした。

「こんな効果は始めてみました! MP200%回復ですよっ!?」

「待てカナ、私も200%回復なんて見たことないぞ…!?」

おいおいそんなにすげぇのかよ…とリョウヤが舌を巻く。

「200%回復は凄いなんて物じゃありません!すごすぎます!」

「…というと?」

「MP0のときにこのプリンを使用したとします、MPはたちまち全回復して、スキルを使ったとしてもあと100%の分はMPが自動回復してくれるのです!」

「なるほど……つまり使用しても100%分は何も飲まなくても回復出来るという事なんだな…!?」

「まっ、待ってくれ、全く分からないぞ俺は…」

「200%回復を使うと回復薬を飲むモーションを必要としないのだ!待機時間が0になる!つまりボス戦などで大幅に有利になるという事だ!偉大だ…こんな物がこの世界にあったなんて……」

「そ、そりゃすげぇや……」

カナがばっとリョウヤに振り向き、

「量産しましょう!」

「りょ、量産…」

「流石だカナ!儲かる方法を完全に得ている!」

「決まれば早急にです!」

カナはキッチンの端にある洗濯機のようなデカイ物を指差した。

「これを使えばレシピ登録しているプリンを量産する事が出来るのです!

追加効果も同じなのでご安心を!」

「じゃあそこに材料を入れればいいんだな…?」

「そうです!こんな凄い回復薬が出回れば大金持ち間違い無し、です!」

「カナ…それ続けるとじきにインフレ起こるぞ……」

リョウヤが呟く。

「あれ……材料を買うお金はどうするんだ……」

カナの表情が凍る。

それを見たリョウヤも凍る。

「…じゃああたしがお金出すけど……」

ばっとカナが声のする方へ振り向く。

その視線の先には照れくさそうに俯くアリアの姿があった。

羨望の視線を三人から浴びたアリアは顔を真っ赤にし、

「べっ、別にあたしの為だし…っ!」

「アリアさぁぁぁぁん(泣」

「ひっ…!抱きつかないでよ!?」

アリアがいくら身体を振り回して剥がそうとしてもカナがしがみ付いて離れない。

「まあ…アリア…諦めてくれ…」

「そういえば、そのお金ってどこから出る金なんだ?」

「…鶏の報酬からだけど…」

なるほど…だから鶏をぼっこぼこにして金を稼いでたんだな…それなら慣れるし勝てるに決まってるかもな……

「じゃ、じゃあ早速量産オーケーですよね!?ね!?」

カナが鼻息を荒くし、洗濯機に言い寄る。

「材料も一応二百個分買っておいたし……」

「良くそこまで買う気になったな……」

「よきことよきこと!ガタゴトっと量産始めること~!」

カナが妙なテンションで材料を入れ、洗濯機のような機械をポチっと押した。

するとだ。

――ガガガゴギギガガガガガ!

怪しい音を立て、上下にゆれ始めたのだ。

「…大丈夫か、これ壊れてないだろうな…」

「大丈夫です!これが愛嬌なんですよ!可愛い可愛い!」

腕をぶんぶん振り回し、カナが踊る。

――なんて可愛さだ…

と萌えにリョウヤが惚けていると早速量産プリン第一号がお皿に乗って出てきた。

「おおおおっ!」

ぷるんとしている表面は見る物を引き付けて離さない。

今すぐに口を近づけたくなる。


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