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55:カモ男

「――んで…かくかくしかじかなんだよ…」

「なるほどね…!」

だったら、と、彼女は明るく言った。

「その、カナさん?には卵を取りに行ってって言われたのね」

「ま、まあそういう事にはなる…」

「あんた騙されてるわよ」

「!?」

「まず、あの鶏は卵なんてドロップしないし……しかも一人で倒せる相手じゃないわ、

少なくともあんたのレベルなら…ね」

「!?!?」

「いやでもあたしは一人で倒しちゃったけど……

落としたのは大量のゴールドよ?」

「!?!?!?」

そこで彼女は呆れたように。

「そんなマヌケな顔しないで?話してるこっちが恥ずかしいわ」

気がついたらリョウヤの顎はコントロールを失ったかのようにあんぐりと開け、

見るからに間が抜けていた。

「す、すまん…」

「してやられたわね、カモよあんた、カモ男!良い響きね、カモ男!」

「やめてくれ……」

「それで、いくら欲しいの?お金」

「え?」

「お・か・ね!あたしセッカチだから二度言わせないで貰える!?」

「宿屋の電気代とかもかかるし、ガス代も……一応28000ゴールドは欲しいな」

「宿屋……カナ……?」

折角計算して必要なお金を心細く訴えている間に彼女は何かに集中し始めた。

「あなた『宿屋・カナ』の何!?」

「え、宿屋というか、カナの友達ってカンジだけど…」

「へー、そう」

――先ほどまでは血相を変えてまで俺に問い詰めたくせに…途端に白々しいな…

――怪しい。

「君はカナの友達?」

「へー、28000gか……」

――さっきから話がかみ合ってない気がするのは俺の気のせいだろうか?

「そ、そう、28000ゴールド」

「さっき鶏から手に入れたのが120Kだから……」

「け、K?」

「あんたKも知らないのね、可哀想に……」

「頭悪いんだよ、ごめん………」

――そんながっつり謝られると調子狂うわね………

「いい?分かりやすく説明すると『120,000』のとき、120の後につく『,』マークがミソなの。

『,』がつく度に『K』から『M』に上がって、次は『G』になったり。

基本は0が『3つ』ずつつけば値が変わるとでも認識してくれたら分かりやすいと思うわ」

「わ、分かりやすい説明ありがとう………」

――正直言って俺の頭じゃあついて行けなかったが、この際自分の脳内の隅っこにわずかながら収納させて頂こう。

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