45:鶏の信じがたい光線。
二度の渾身の一撃も俺に素早くかわされてしまった鶏はその場で地団駄を踏んだ。
漫画タッチで描かれている鶏はどこかギャグっぽく、激高した目は可愛い赤色をしていた。
頭の周辺にはムカつきマーク。
とてもコミック調で怒っていてもそうは見えない。
逆にあのプリンは超筋肉質でゴッツく描かれていたのに…。
一体何が目的で画風を変えているんだか…。
俺はいつの間にか自動で設定されていた剣士スキルを確認する。
レベル10まではスキルツリーが一直線なので自動で振り分けされるよう。
俺はレベル5で、取得したスキルは5つ。
攻撃スキルが3つで、
非行動スキルが2つである。
「んー…。
どれどれー…?」
スキルの絵はドットで描かれていて、俺は1つのスキルを注視した。
剣の柄に鉄鎖のような物が設けられている。
『貴方の剣を渾身の力で投げ、
目標に剣が到達した瞬間に、付けられている鎖で剣の場所まで引っ張ります。
スキル名:ワイヤードライブ』
「おお…っ、初っ端から何という凄さのスキル…!
これを使いこなすのは大変そうだけ……。」
俺の右隣傍に『大穴』が開いた。
急いで、その大穴のほうを見やる。
そこからは粉塵が煙幕のように張られていた。
煙から離れて上を見やると鶏は空頭上に飛んでいた。
尖がった口から光線が吐き出される。
ピキーン!!
眩いばかりの光を撃ち出した鶏はその大きな口で嘲笑を浮かべているように見えた。
その光線は俺に向かって一直線に突き刺す。
危機感を感じ、後ろに飛び、転がる。
さっきまで俺が居た場所にバランスボールより一回り大きいくらいの大きさの穴が一瞬であく。
砂ぼこりが顔にかかる。
砂が汗に絡み付いて、なんともいえない不快な気分になる。
目を閉じて、隙を空ければ鶏の思う壺にハマるので、一度剣を鞘に戻して、右手で眼前をカバーする。
数秒経ち、俺が剣をまた取り出したときには粉塵は収まっていた。
鶏の超強力光線も止み、しばらくこう着状態が続いた。




