39:宿主クエスト…?何それ美味しいんですか?
戦闘地点から少々離れたところの小岩に背もたれてメロスはうなだれていた。
あとメロスを慰めている友達も。
「おーい、カナー!
プリンのレシピとってきたぞー!」
先ほどまで瞳を見開き入手する事を喜んでいたカナがこの落ち込みよう。
これだけプリンのマッチョ化が心に響いたんだろう。
俺は別にプリンが筋肉質になろうともどうでもよかったものだが。
どうしてもプリンのカラメルの甘さが苦手なのもあるかもしれないが。
俺の手にある小包をチラリと見やり、カナは絶望していた。
「………マッチョプリンの作り方なんて要らないです……」
「い、いやっ、作れるプリンは筋肉付いてないと思うぞ…?」
それでもカナは首を振って、
「…やっぱり、筋肉から取れたプリンは作りたくも食べたくもないです…!」
別に筋肉から入手した訳じゃないんだが…。
混乱しすぎてごちゃごちゃになってるぞ…。
アヤが場を盛り上げたいと俺を見る。
「カナ…!冷静に考えるんだ……!
ビルダープリンからドロップしたレシピでプリンを作る。
それで宿屋の名物にする…!」
「…で、でもっ、マッチョプリンなんて…!」
「逆に考えるんだっ!
名物を作って、有名になる。
お客さんがたくさん来る!
もしかしたらその客の中にプリンを作れる料理人が居るかもしれないッッ!!」
アヤが彼方を指差して、声高々に叫びだした。
「もっと違う方法で宿屋が発展するかもしれないんだぞ!
プリンの名物宿屋なんてTKH至上初なのかもしれないんだ!
さぁ、美味しいプリンを作るんだ!」
アヤが素晴らしい笑顔で俺のほうを向く。
『どうだ、これがトーク力だ、
リョウヤとは違うのだよ…っ!』
という事を見せ付けたいようだ、この大剣使いの暴力女は。
アヤの交渉の後、暫し俯いて考え込んでいたカナは意見が纏まったようだ。
「わ、分かりました!
マッチョだからってカナは気にしません!
プリンパティシエの居る、宿屋を目指すんです!」
なんというポジティブさだ。
先ほどまでプリンがマッチョで嫌だと弱音を吐いていた子には見えないっ!?
「もちろん私も手伝うぞ、料理は……出来ないが、何かは手伝ってやろう。」
「俺は現実でも料理は結構するほうだからな、
もし分からなかったら教えてやるよ。」
「み、みなさん…っ、ありがとうございます!」
カナは潤んだ瞳を隠すように顔を2、3回ゴシゴシすると、表情を変え、
「では、早速プリンを作っていきましょう!」
そこで俺は1番重要な事を思い出した。
というより俺がプリンと戦う羽目になった理由と密接に関係しまくっている事実を。
「あのさ…カナ…、」
カナは肩を上下に震わせ、これから起こる出来事をデモンストレーションして楽しんでいた。
俺の声に反応して長い髪を翻し、振り向く。
「はい?なんです?」
「経験値増加とかの宿主クエストって…どうなってる、っけ…?」
カナは目は笑っていない作り笑顔で、
「…………………宿主クエスト…?
……何それ美味しいんですか…?」
と言い放った。
投稿遅れてすみませんでした!
最近私事が慌しい事がありまして…!
ガンパーとTKHもどんどん投稿していきたいと思いますので、
引き続き応援よろしくお願いします!




