38:プリン、蜂の巣になる。
俺はバッティングフォームよろしくプリンに向けて体を斜めに傾けた。
軽蔑の意を込め、宝剣を思いっきり横に振る。
ぶうんっという金属が空気に触れるような音を吐き、
振ったあとの残像に小型の何かが生まれる。
――無数のダガーが。
俺が何をしなくても自動でダガーは動き始めた。
1つでもヒットすれば致命傷間違いなしの鋭利なダガーが破滅という名の恐怖をまといながらプリンに焦点が向けられる。
プリンから初めて余裕というものが消えた。
彼の身体から1滴の汗が地面に落ちる。
直に土に染み込み、プリンの表情にも苦笑が染み付いた。
一息つく間もなくダガーが俺の周囲から離れ始めた。
微弱な振動を響かせながら動き始めた小型ダガーの大群は
一直線にプリンの方向へと進んでいく。
プリンが危険を察し、横に跳んだ途端ダガーが『跳躍』した。
プリンは跳びながら空飛ぶ刃物と距離をとろうと試しているが、
超高速で近づいていくダガーに対し少しずつ距離が縮まっていく。
必死に逃げるプリン。
追尾しているダガーを必死に目で追うだけの俺。
完全に形成逆転したも同然だろう。
後は無数にあるダガーに串刺しにされるだけだ。
今、プリンが手に溜めてあったボールを投げ、抵抗するも。
虚しくダガーに貫かれてしまった。
この瞬間。プリンは何か血迷ったのか。
それとも自分の敗北を察したのか。
俺の居るフィールドの小岩に自分から激突したのだ。
もちろん今まで危ういながらも距離をとっていたダガーから一瞬で距離が縮まる。
――ダガーは小岩に向かって突き刺した。
黄色い体にダガーが刺さった瞬間、煙をあげてダガーは空気中に消えた。
残りは無残に蜂の巣が出来上がったプリンだけ。
スクリーンショットを撮る暇もなくプリンもダガー同様煙になって消えた。
「お…終わったのか…!」
俺が元プリンがあった場所に近づくと金色の光が見えた。
多分これがカナの欲しがっていた最上級プリンのレシピとやらだろう。
早速プレゼントして喜ばせてやろう。
俺は金色の物体を鷲掴みにするとバッグの中に収納した。




