33:超大型ぷりん。
「おんや…?
あれは………」
目を細めて轟音の方を凝視するも姿を確認出来ない。
ただ、黄色い物体が揺れているだけだ。
それもモンスターという雰囲気には程遠く、自然に背景に溶け込んでいる気がする。
「何ほのぼのしてるんですか!
あれは敵ですよ!」
黄色い物体に視線を向け。
左手を向けるとデータが出現する。
『Name:デッカぷりん Lv5
攻撃力856
以下不明』
「でっ、デッカぷりん…?」
「おおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
「…!?」
カナが似合わない物凄い声を出すと(こんなに声量あったのか…)。
真上に飛び上がった。
「あれはTKH最高のレアモンスターですよ!
討伐成功すると最上級プリンの材料レシピが貰えるんです!」
「なるほどなるほどレシピがね…うん…。」
「それで攻撃力が低めなのに討伐が難しいというんです!
なんでだと思いますか?」
「んー。…………んー。
分からん。」
「俊敏さです!
どんなに集中攻撃してもかわしまくって逃げてしまう!
見つけたとしても討伐出来ない最高最悪のモンスターなんです!」
「逃げるんなら今すぐ戦闘に持ち込んだほうがいいんじゃ……。」
「あっ!」
とカナがびっくりした表情を一瞬だけ見せると突風的な速さで向こうにいる巨大プリンに立ち向かっていった。
猪突猛進と化した彼女がそれに近づいた瞬間。
パーティに参加しているアヤと俺が戦闘モードに入った。
目の前にそまる黄色と黒色の帽子。
俺の身長より3倍近く巨大で今にも押しつぶされてしまいそうなプレッシャーを放っている。
その圧力と反して顔は物凄くピースフルな表情をしている。
それはもう。『ニコニコ』と。
「さて!行くぞ!」
アヤの号令がかかり、
俺は宝剣。
カナは短剣。
アヤは大剣を鞘から出した。
戦闘モードに突入する。
プリンは準備体操と言わんばかりに身体を左右に跳びながら揺らす。
『ボヨンボヨン』
という可愛い擬音と共に殺し合いは始まった。




