32:初めての死闘。
「……さて、フィールドに出たはいいんですが…。」
カナが回りを見渡す。
「ここ、Lv1ですよ?楽すぎではありませんか…?」
「そうだな…エリュンケラーの攻撃力はとっくに私を追い越してはいるが…。
このゲームはターン制じゃないから自分の感性に問わないとダメなんだ…。
つまり慣れないと意味が無いって事。」
「そ、そうなのか…。
雑魚敵くらいボッコボコに出来るぞ、俺だって!」
「そんなに余裕こいて大丈夫か?
泣きべそかいたりでもしたら罰金100億ゴールド払ってもらうが?」
「な、泣きべそなんかかいてたまるか!」
カナは向こうのほうを指差して、
「あっちのほうの敵やりますか!」
敵に近づいた瞬間目の前が戦闘モードに切り替わる。
TKH専用の小気味良いリズムが戦いのBGMに使用される。
目の前の敵が何であろうと、このBGMはカッコよく音響を重ねてくれる。
敵が身体全身を揺らしに揺らして俺に攻撃をかける。
このくらい受け身か刀でガードすれば…!
「………しゃ…!」
両手で剣を構える。
敵の手が伸びる。
敵の腕が俺の身体ではなく剣身を掴んだ。
よっしゃ、ガード成功したっ!
「リョウヤ違う!」
「なっ!?」
敵の力が強すぎる…!?
「や、ばッ…!?」
敵の右腕が俺の剣を叩き落として、
左手でフックをかけた。
「ふ…がッ!?」
後方に吹っ飛ばされる。
少しの間空の旅を楽しむ。
「痛ッ!?」
背中からザザザッとフィールドの土に転がる。
それを狙ってか敵は俺に手を伸ばしトドメを刺そうと算段を立てたようだ。
「休む暇も…ねぇってかッ!?」
剣でその伸ばされた腕を払う。
「…!?」
手には何も掴まれていない。
あの時叩かれた事を忘れていた。
「油断するなっ!」
そこで傍観していたアヤが飛び出す。
それからは一瞬であった。
大剣で思いっきり敵を切り裂いた。
その残体には小型のダガーが突き刺さっていた。
やはり考える事は同じだったようだ。
敵が跡形もなく四散する。
俺の初の戦いはこんなに無様だなんて…。
ふとHPゾーンを見るとレッドゾーンに差し掛かっていた。
『HP 1000/76』
やばかった…!
冷や汗を1人掻いていると頭上からテレテテーンというファンファーレが鳴り響いた。
『スライムを倒した!
リョウヤはレベルアップした!Lv1→Lv2
ステータス上昇!
・HP400上昇!
・力2上昇!
・防御5上昇!
・知恵3上昇!
・特殊防御4上昇!
・運1上昇!
・特殊能力6上昇!
おめでとうございます!』
「…レベルアップ?
俺なんもしてな…っ」
「パーティに設定していたので経験値が取得出来たみたいですね!
今は失敗しちゃいましたがレベルアップしたら討伐もラクラクチンですよっ!」
「レベルアップか…
俺スライムにも勝てなかったのか……」
「まず剣の構え方が違うぞ、
あれでガード出来たとホントに思ってるのか?
今度私と対決してみるか?
自分の無力さが身にしみて分かるだろう!」
「嫌だわ!
ドMかと思われるわ!
遠慮しとく!」
―――ズダズダズダズダズダズダダダダダダダダダダ!!
「「「!?」」」
何この凄まじい雑音は!?
「あれは…!?」
アヤが目を細めた。
リョウヤさん、
スライムくらいは楽でしょう(大爆笑
何しろバグのせいでチュートリアルを吹き飛ばした災難ですからね…
戦い方の基礎がまず出来ていないっ!
もっと腰を入れて!
腕は大きく振る!(笑
どうでもいいことですが都心では雪が凄いですね…
毎日真っ白になりながら外に出てます(笑
ホントは家でゆっくりしたいものです…
皆さんも風邪には気をつけてくださいね!




