31:これで準備万端!
俺がハクに制裁を加えた後は他のポーションを見ながら楽しくショッピングしていた。
噂ではソーディンギアにも巨大ショッピングモールがあるらしい。
「えー…回復系ポーションが?
30個と…って多すぎじゃないか?」
「リョウヤさん弱いんですから!
これくらい用意しないと!」
「…………俺そんな貧弱に見られたんか……。」
「あとこれ全部リョウヤさん用なんで後でちゃんとお金払ってくださいよ?」
「え!?なんで俺が!?」
「私達は自己治癒能力が発達してるんで!」
「マジかよ……で、いくらなんだ?」
「…………待ってろ。」
ハクが計算機を取り出し始めた。
商品の値段がすべてインプットしているのか計算が弾む。
計算機に数字がどんどん追加されていく。
「5万ゴールドだ。」
「おおっ、5万ですか!
なんとお手軽!」
「そっ、そんな安いのか?」
「単純計算でスライム5万体分です」
「…………………………」
どこがお手軽ってんだ…!
あんな気持ち悪くて汚いヌルヌルを5万体倒さなければいけないなんて…!
「あ、でも武器の修理代もかかるので無理ですね!」
とカナが笑顔で死亡宣告を朗らかに言った。
「やっぱりクエストをクリアしてお金稼ぎ重要ですね…。
それか貿易に出してバカ稼ぎも出来ますけど……」
「そ、そうなのか……!」
「まあ、いいです!
私が一旦出しますから!」
「いや、私が出そう。
リョウヤは返さなくていいぞ、
私の奢りだ。感謝しろ。」
「おおおおおっ!男前だなアヤは!」
カナが頬を膨らます。
何か不機嫌な事があったんだろうか。
気がついたらアヤはもう会計を済ませていた。
「おお、やけに早いな…。」
「キャッシュで払ったのでな。」
とアヤは手元からカードを取り出した。
「上級ランカー特製の良い物だ……」
「じょ、上級ランカーだったのかお前……!」
「?
そんなわけないだろう。
後ろから切ったら勝手に死んだだけだ。
それでたまたまキャッシュカードが落ちたというわけだ。」
「そんなに使っていいのか?
その上級ランカーさん凄ぇ可哀想なんだが……」
「…………………多分大丈夫だろう。」
「何を根拠に!」
「はいはい、2人共早く行きましょうよ!
リョウヤさんもまだLv1なんですから!
かなり惨めですよ!?」
カナに両手で背中を押され、しぶしぶ俺は店から出た。
カランコロンという古風な音が挨拶をしてくれる。
ハクは無愛想に手も振らないままだったが。
「ハクさん、お邪魔しましたー!」
その瞬間にハクを見ると彼は椅子に座って向こうを向いてしまった。
最初から最後まで無愛想なやつだったな…。
「さて!これで準備万端です!
張り切って行きましょう!」
別に盛り上げるつもりも無かった俺だったが、カナに腕を掴まれて無理矢理上に挙げさせられてしまった。
「オー!」
「「お、おー……!」」
俺とアヤは苦笑いのままだった。




