28:襲撃者の最期…!?
目の前が床に変わった瞬間、前に飛ぶ。
神速特攻。
走っているわけではない。
後ろから押す真っ直ぐな力と
斜め上に浮き上がるふんわりとした力が作用して
ウサギ跳びのように山なりに今、敵に向かって跳んでいる。
後ろから巨人の一撃を食らったように俺は衝撃に耐える。
身体が逆くの字に強引に曲がってしまう。
一瞬で敵の姿が剣攻撃範囲内に入った。
その瞬間、瞬殺特攻がターゲットに移ったため、加速のみが終了した。
俺は跳びながら敵に向かって剣を真っ直ぐに向ける。
俺は下手糞な動きで敵に剣を真っ直ぐに向けただけである。
ただ、神速特攻で与えられた高速接近術と
エリュンケラーの身を引き裂いて駒切りにする凄まじい破壊力が上乗せされたのだろう。
また自然に出来た俺の姿勢は
突技という代表的な剣術のそれだった。
鬼のような速さで目の前に突進してくる青年と、
レイピアに似た長剣のように見えてバスタードのように鋭い両刃を兼ね備えた
彼の武器は敵に
衝撃を与えた。
鋭利的なその武器は『NO DATA』
と出た。
そんなわけが……!?
「これでも喰らっとけ!
だああああ、ッッ!!!」
彼の繰り出したスタブは襲撃者のバリアを貫いた。
これで完全攻略!
「っしゃ………!」
だが、
襲撃者のフード付きマントが大きく翻る。
素早く襲撃者の左腕から引き抜かれた
『ショートソード』
は一瞬で俺の首筋を貫く勢いで近づいた。
リョウヤの動きが止まる。
――――襲撃者は詠唱を始める。
ものの2秒で言葉を言い切ると
残った右腕で状態異常魔法を発動した。
今まで大剣やダガー、謎の武器を使っていた彼ら3人の身体は徐徐に床に寝そべる形となる。
その瞬間一気に集まる6つの鋭い目。
激戦の最中殺さなかった自分への憎しみなのか、
ただ、私怨で恨んでいただけの幼稚な憎しみなのか。
それはかなり興味深いところだ。
今後ゆっくりと解き明かしたいものだ。
襲撃者はおもむろにカウンターの隣にある椅子に腰をかけた。
優雅な動きで脚を組む。
それは男性とは思えない美麗であり微細なモーションであった。
彼はフードの上を掴み外す。
彼は口を開き、話しだした。




