26:襲撃者の目的は…?
「べっ、別に負けたわけじゃない…!
スキルを使わなかっただけだぞ!
全く私は負けた気がしない!」
別に威張るわけでも無いことだが、アヤはドヤ顔で私は勝てる宣言をする。
アヤが攻撃する前までは見えなかったはずだが、今はその襲撃者は周りに薄いベールのような物に包まれていた。
これが攻撃をはじき返す正体か。
ただ、こんな強烈な防御魔法をソーディンギアで習得出来るはずが……。
!?
まさか……!?
杖(魔法)の国、スタッフリアでスキルや、特性などを習得すると
バレッティングス、ソーディンギアで一部のみ習得したスキルを使う事が出来るのだ。
凄まじく嬉しい効果だが、他の国に移るためにはレベルをかなり上げなくてはいけないため、ずっとプレイしている人にしか行えない力とも捉えられる。
ただ、無敵な防御魔法はあるわけが無い。
どこかで弱点が必ずあり、そこを突けば一気に崩れ落ちるはずだ。
俺を仲間外れにし、戦いは2対1で膠着状態が未だ続いていた。
敵はバリアを張っているだけで攻撃する気配が無い。
対話っていうやり方もあるんじゃないか…?
野蛮な戦いをせずに話し合いでどうにか和解出来るじゃねぇか!
………否。
俺がそう思ったわけじゃない。
アヤは絶対にその考えを否定するだろう。
敵の殲滅が最優先のはずだ。
敵を倒すと相手の持ち物のなかからランダムで奪う事が可能なのだ。
PvP完全OKのゲームであるため
暗殺や、集団虐殺が多いのだ。
物騒な話になってはしまうが。
特別なアイテム(課金アイテムも有)を入手する事が出来れば
ランキングが上がる可能性がグンと上昇する。
アイテムだけを掠め取る『盗人」も噂では居るらしい。
俺も最初は襲撃者が物取りだけだと思っていたが、予想が見事外れてしまった。
あれくらいの上級プレーヤーだったら剣魔法を使って一瞬で俺達を灰にさせることが出来るだろう。
一体なんのために……。
しかもこの店は征服領土の端にある店だ。
わざわざ狙うやつが居るのか?
考えても謎だらけだ。
なら倒して調べるべきだ。
そんな軍人体質な行動が出来るもんか。
拷問でもする気か!
致命的な弱点を見つけて降伏させてみせるぜ!
目に見える決心を抱き、俺は愛剣の柄を取った。




