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20:雪国に降り立つ、俺。

――――――窓から見える町並みが綺麗だ…。

雪化粧をまとった山々が連なるこの景色は何だ?

冬の空はカラッカラに晴れている。

気がつくと目の前から山が消えて雪原が広がっている。

ここは……

新幹線?


さきほどから視線に絡まってくる黒い電線。

それがこの景色の答えになるだろう。

異常に喉が渇いた気がして喉を天然水でうるおす。


身体に纏っているのはダウンジャケット。

ネックウォーマーまで装備してホカホカだ。

水入りペットボトルを右手に。

左手に貼らない式ホッカイロを握る。

左手になんとも言えない温かさがこもる。


窓の外には田んぼが。

稲を押し付けるように乗った雪は下車するときの寒さを表現しているのだろう。

雪が。

絶え間なく降る。

窓から見える一軒屋に積もった雪が落ちる音がここまで聞こえた。

ずもっ

という特徴的な音に何故か俺は懐かしさを覚えながらもう一度水を口に含んだ。

乾ききっていた喉に液体が流し込まれる。

ぴきっ、というカンジで喉が痛み始める。


まず唾で湿らせてから飲むべきだった……。


ふと窓の外を見るとマンションがちらほらと見え始めた。

次の駅は……都会かな?

と言っても自分が何処に向かっているか分からない状況じゃあどうしようもない。

雪国を突っ走っているだけだ。

それもかなりの速さで。

新幹線だ。

英語に訳すと『弾丸の電車』

と直訳されるくらい。

そりゃ速い。

弾丸だもん。


気がつくと窓の外は駅のホームに移り変わっていた。

あれ?

さっきまで雪原が広がっていたんだけど……。


とりあえずここが終点らしく、頭を掻きながらおもむろに電車から降りる。


駅名が表示されてる看板さえもおぼろげに眺める。


駅名は

「十勝」


「ふっ…」


北海道ぅぅぅぅぅぅぅぅ!?

しかも都心じゃなく農業が中心の地域!?

十勝バター!?

俺をここまで連れ込んで何する気だ!

バターにする気か!

まずは牛乳を搾り出すのか!

どこから搾り出すんだ!


………いや、考えるのはやめておこう……。


なんでここに来てしまったか考えるんだ!

フラァっとこの新幹線に乗ってしまったのか!?


いや、フラァっと乗ってここまで辿たどくか!?


自分の挙動不審さに寒気がしてきたよ……!

気づいたら駅員までもが俺のことを不審がり始めている。

こんなタイミングでもしも全裸になる人でも居たら一瞬で捕まるレベルの警戒さだぞこれは!


ふと。

身体が異常に寒くなった。

身体に『風がかかる。』


『風がかかる。』

極、自然に。


全裸だった。

否、表現的には下の部分は葉っぱでガードされていた。

身包みすべて無くなって、何故かアピールするように両手を左右に広げていた。


身体が……

動かない……!?


駅員が警察を要請した。

俺は抵抗する術を持っていない!

どうする俺!?

リョウヤ君どうしたんでしょうか。

いきなり雪国に飛ばされた?んでしょうか!

異世界転生ですね(笑

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