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1:アバター作成

…気がつくと俺は宇宙空間のような何もない部屋に立ちすくんでいた。



『……Loading』


1つの太い線にピンク色の線が伸びて消えてを繰り替えしている。

98%、99%、100!


すべての更新が終了すると何もない部屋に

1人のNPCが現れた。


髪は長めで、顔立ちは物凄く整っている。

こんな美人が現実に存在したとしたら、

天国だ。


まあ、だからこのゲームが天国のゲームと呼ばれているわけだけど。


NPCはさすが、コンピューターで作られたデータ。

事務的にチュートリアルをこなしていく。


『まず、出身国を設定してください。』


剣の国「ソーディンギア」

銃の国「バレッティングス」

杖の国「スタッフリア」

と目の前に架空のパネルが出現する。


杖?

魔法のことかな?

炎とか出せたらかっこいいな。


銃の国かー!

スナイパーライフルをかっこよく使ってヘッドショット出来たらカッコいいな!


でもやっぱり初めてのVRMMOなわけだからやっぱり剣士が俺は良いと思う。

剣士リョウヤ!

カッコいいなぁ…


それで女アバターとかにリョウとか呼ばれて……

VRMMOハーレム生活が開始しちゃったりして………!?


『早くお決めください。』


感情を持たない美人NPCの声が俺の耳に突き刺さった。


「はいはいはいはい。分かりましたよっ!」


指でタッチする動作を行う。

タッチした国はソーディンギアだ。


『ソーディンギアで設定しますか?』

という確認の後に


                YES or NO

という決定画面が出現した。

その後俺はイケボ口調で、

某ロボットアニメの主人公の言葉を真似てみた。


「リョウヤ、いっきまああっすッ!!!」

―――ポチッ。


YESを押した途端、あの美人無愛想NPCが

『行ってらっしゃいませ。リョウヤ様。』

と言っていたような気がした。


そして、目の前が真っ暗になり、また

……Loading…

とローディングが始まった。


ズルイとは思うが俺はチュートリアルに案内をされるのにも関わらず、

攻略サイト(WIKI)で下調べをしていたのだった。


ローディングが終わればLv1の草原にたどり着くはずだ、

俺はそう安心しきっていた。

………Loading complete.

ローディングが100%に到達した瞬間。

アバターはソーディンギアの城下町の宿屋に眠っている状態でINするはずだ。


宿屋のベッドがどんなに気持ちいいのか想像した後、

妙なドッキリ要素がTKHに含まれていたのかは知らないが、

自分が立っている場所に大きい穴が出現した。


そして案の定。

ヒューーーーーーーン

という勢いで落下した。


ま、まあ安心していい。

どうせベッドに落下するだけだ。

フワフワなんだから落下ダメージなんか受けないだろう。

まあ慣れていないVRMMOだからどうなるかは分からないが、

大丈夫だろう。


と思った矢先―――。


「―――ふがっ!?」

頭から落下し、酷い悲鳴をあげた。

彼が落下したのは柔らかい毛布の上ではなく―――。


俺は目の前にいる「モンスター」のレベルをスキャニングする。

真実は知りたくない。

だが、知らなくてはいけない真実もあるのだ。


「そっそんな…!?」


彼が落下したのは―――。

レベル78設定のモンスターが住まう『森』

であった。


森ゴブリンがいい獲物を見つけたと、

犬歯をニヤリとチラつかせた。


――ゾワッ

彼の背中に虫唾むしずが走る。

にしてもこのゴブリン…


「可愛くねぇなぁ……」


超美人の人魚とか森の可愛い精霊とか触ると火傷しちゃう激美女のサラマンダーとか…

もっといるだろ!もっと!


というムダ口を叩いている内にもブサイクゴブリンはリョウヤに一歩ずつ接近していた。


武器も持たず、何も抵抗出来ない彼にゴブリンはついに棍棒で殴りつけようとした。

彼は両手で頭を必死に隠し、

「…ヒィッ!」

と情けない男をそのまま形容したような格好の悪い悲鳴をあげた。


棍棒が頭に当たれば、脳震盪を起こし即死だ。


(どうする俺!何か解決策は無いのか!?)

そして運命の棍棒はリョウヤの頭に向かって振り下ろされた…。


TKH2話目です!

1話から引き続き読んでくれている方。

お楽しみいただけたでしょうか?


次回急展開です!


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