12:運営にチクれ!いい物が貰える!
たしか……
と言ってカナは宿泊人ファイルを開いた。(極秘)
「アヤさんはレベル78のところからワープしてきたんですよね?
リョウヤさんも同じで……」
―――サッ
とカナは素早い動作でリョウヤの両手を掴み、自分の胸へと引き寄せた。
いきなりにリョウヤは顔を赤らめた。
「な、何すんのよ!?」
何故かアヤがキレ始めていた。
カナは周りのことはどうでもいいと、
「運営に報告ですよリョウヤさん!
とんでもないバグが起こったと運営に言うんです!
それで運営がお詫びに豪華なプレゼントをくれること間違いなしです!
ほらっ、早く報告を!」
カナがトンでもない積極性で身体をピッタリとリョウヤに密着させながら、
添い手で彼のパネルに手を当てる。
アヤがブチ切れそうな表情でこちらを睨んできたが、
見て見ぬふりをしよう。
そう思った。
動物的本能で。
カナが表示させたのは『GM報告』
というものだった。
目の前にキーボードパネルが現れる。
俺だってもちろんブラインドタッチなんか出来るが、
キーボードに手をのばそうとするとカナにそれを阻まれた。
「―――――なッ!?」
彼女が俺の後ろにまわって、キーボードを操作し始めた。
俺は彼女に押され、前かがみに、
彼女は俺を押し、後ろから抱きつくようなポーズになってしまっている。
それも胸を押し付けて。
背中に表現しようのない2つの突起を嫌というほどに感じる。
笑顔が止まらない止まらない。
こんな破廉恥な格好になってもカナは懸命に文字を入力している。
こんなのをアヤが見たら………
鬼の形相になっていた。案の定。
拳を震わせている。
今から北〇100裂拳を食らわせるかという感じに。
カナもワザとやっているのか背中を擦るように身体を上下に動かしている。
彼女の吐息が漏れる。
仮想セカイで鼻血を吹いたヤツが居るだろうか。
「あっ、赤ッ!?」
今、ここに居る。
「…………ふぅーっ!
終わりましたー!
請求終わりましたよー?
お、おーい?
どうしたんですかー?」
「「…………」」
カナは作業に没頭していたせいか今自分がやった変態な事を自覚していないようだった。
終わったら、リョウヤが顔を赤らめ、鼻血を吹き出している。
そして目の前には彼の背中に密着している自分の胸。
前方には怒り狂った形相のアヤ。
「ひゃぁっ!?」
一瞬の速度でにやけている彼の背中から身体を離し、
(一方リョウヤは残念そうな表情を浮かべていたが)
アヤの前に正座して謝罪する。
必死に頭を下げているカナは非常に可愛かった。
天然のカナは許したようだが、
俺を見る目は冷気を孕んだ瞳だった。
これ俺が悪いのか!?
―――ピロリン♪
この状況を打開したこの着信音はGMからの謝罪だそうだ。
『新着メールが届きました。(you got mali)』
と無愛想な文字が現れた。
13話オツカレ様です!
余談ですがプロローグの一話はカウントしないことにしました!
カナさん……(照
天然型変態の線がありますねぇ(笑
今後の展開もお楽しみに!
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