短編
[揺らぐ夢模様]
ゆらゆらと水面が揺れて
歪んだ水鏡の向こうの青がみえた
兄弟や姉妹とは別々にされたあと
与えられた水牢をただひたすら泳ぐ
ゆらぐ意識の中、昔見た青が見えたきがした
それは一時の儚い夢
[狂気]
大好き、愛してるなんて
そんな言葉じゃこの思いは伝わらない気がする
この思いはすでに凶器になってる
君は知らないでしょ?
僕は君が逃げれないようにどこかに閉じ込めたいっていつも思ってることを
君がすき、好き、愛してる
僕と同じくらい狂うほど
僕を愛して
[カニバリズム]
手にべったりとついた赤い血
それをなんの感情ももたずきれいになめとる
足下には手足は切断され各器官は引きずり出されてる人の死体
近くにはナイフや包丁、鋸もあった
「不味い」
手についた血を舐めていた静夜がぼそりと呟いた
それでも舐めるのをやめない
静夜の下にある死体は静夜の彼女だったもの
その事実は静夜にはもう関係なかった
ただ彼は愛した人を喰らいたいだけ
[心痛む]
肉を切り裂くように
言葉のナイフで心を傷つけられ続けた
そのたびに
何度涙を流したのか
もう忘れてしまった
頬を伝って落ちた涙は
きっと心から溢れた血だったんだ
傷は治ることはなく
心は腐りはて
今でも血を流しながら
泣いている
昔の文。




