pet
目を瞑ると世界は暗闇の中に消える。
扉はそこにあるのに動くこともできないのは外が怖いから。
耳をふさいでしまえば何も聞こえない。
自分の中に閉じ籠って、部屋の中に閉じ込められて。
孤独でしかない空間は全部、自分のためだけに用意されたもの。
考えるための頭にあった機能を止めたら全てが止まった。
鍵などかかっていない檻の中に甘んじている自分は滑稽でしかない。
そんな思考すら今はもうなかった。
【pet】
目の前の光景が信じられず、私は口を開けてそれを凝視していた。
間抜けな顔をしている自覚はあったが、あれは驚かないほうが可笑しい。
「この子達が私の可愛い子供達ですわ」
そう紹介された彼女曰く可愛い子ども達は皆、首に犬用の首輪をつけていたのだから。
どうしてこんな状況にいるのかと言うと遡ること一週間前……。
都会の町から離れた小さな村に俺は生まれたのだが、森に囲まれた小さな村はコンビニやスーパーのような二十四時間開いてるような場所はなく、代わりのように畑や田んぼがたくさんあった。
学校も古い校舎しかなく、生徒数は小中あわせてもたった二十一。先生は三人しかいなかった。
学校帰りに行く場所は昔ながらの駄菓子屋や文房具屋がある通りぐらいしかなく、そこがよくたまり場所になっていた。
俺もよく行っていたことを思い出す。
高校や大学に行きたい人たちはこの村からでないといけなくて、親に頼み込まれ俺も高校に行くためにこの村をでた。
そして、帰ってきた。
「葉田森、久しぶりじゃないか。こちらに戻ってきたのか?」
後ろから肩に手を置かれ声をかけられた。
書きかけ




