弐
人って不思議な生き物だよね
言葉を話すと言うよりはその種族同士でで会話をするのも、道具を使うのも、二足歩行で歩くのも
やろうと思えば違う動物にだってできるのに
どうして自分達がこの地上で偉いと思ってるんだろうね
例えば、犬
彼等は賢いし、足さえ鍛えれば……いや、訓練させれば二足歩行もできる
例えば、鳥
彼等は木々等を使って自分の巣を作ることができる
姿、形は確かに人とは違うけれど、ほとんど人と同じじゃないだろうか?
生きて、食べて、風邪をひいて、怪我をして、学習して、愛して、争って、子供を育て、死んで。
他にもたくさん共通することはあるだろうし、人だって、動物だってできる、できないがあるだろうけど
人は自分が上にいる立場だと酔っている気がする
傲って、馬鹿にして、そのくせ、一人じゃ何もできない
自分も確かに人だ
だからこそ、自分よりも浅ましく、愚かで、醜い者を見るのは非常に面白いんだろうね
by 傍観部部長 社 松樹
‐係りに属するときの約束
その壱
回りの人に嫌われるな‐
私は小さく、誰にもわからないように、知られないようにため息を吐いた。
回りにはたくさんの人がいる。
本来の私と言うよりは中学生までの私なら、回りの人と話すことはあまりせずに友人である歩美ちゃんの元に一目散に行っていた。
だけど、高校に入ってからたまたま所属する事になった園芸部の裏のルールを知って、守ろうと思ってるから
現在、回りから嫌われる事があってはいけないのだ。
だから、退屈だろうと、嫌なことだろうと断って歩美ちゃんの元に行けない。
そのルールを勝手に守っているだけなのだから、本当は別に破っても構わないのだけれど
傍観部――去年から他人を見る係りに改名したらしい――に一応、
所属していることになるんだから守った方が楽しいでしょ?
だけど、今ではその選択が間違いだったんじゃないかって考える事が増えた。
まあ、今更な事だから考えても意味ないけど。
「ねえ、未来ちゃん聞いてよ。今日は私何だか、嫌な事ばっかあるんだよね」
そんな私にどうしてほしいの? と思う言葉等にいつものように
「まだ、学校は始まったばかりなのに
まー姉平気なの?」
良くもなく、悪くもないような普通の回答を返す。
同い年なのになぜか姉呼びなのは私の誕生日が遅い事と、いつの間にか妹ポジションと言う位置付けをされたからだ。
たくさんの人と言っても四人から五人くらいの人が話すことを
相づちをうちながら笑い続けていただけなのに、どうして妹ポジションになったのか私には理解できなかった。
全部、演技なのにね。
いや、こう言うのは八方美人と言うのだろうか。
心の中で皆が言っている事を聞き流しながら、違うことを考えていると
「みぃ、先生が呼んでるから一緒に行こう」
歩美ちゃんが前の黒板近くで手招きしながら私の事を呼んだ。
私が今いる場所は教室の真ん中辺りだっからそんなに遠くもない。
「うん、わかった。今行くよ」
そう言った後、回りに謝ってから歩美ちゃんに近づいた。
みぃと呼ばれると猫になった気分になる。
猫になった事がないから本当はわからないんだけど。
まあ、歩美ちゃんにそう呼べと言ったのは他でもない自分だ。
歩美ちゃんは最初はそれはもう嫌がっていたが、私と未來が
その方が仲良く見えるでしょ、と言う理由を無理矢理押し通し、結果、呼んでくれるようにはなった。
その後、三十分間は無視され続けたのは心が痛かったな。
四人でいる時は今でも嫌みたいだから普通に名前呼びで呼ばれるけど。
くすくす、と意味もなく笑いながら彼女と一緒に廊下を歩く。
彼女はそんな私を横目で見ただけでなにも言わなかった。
何も言わなかったのは仕方なかったかもしれない。
私達の教室があるのが四階で職員室が一階にある。
つまり、一階まで降りて先生に会わないといけないのだ。
歩美ちゃんは降りて、上がっての動作がいちいち面倒くさいのだろう。
さっきから無言で階段を降りていた。
ようやく、職員室につくと迷わず歩美ちゃんは
「失礼します」
と、扉を開けて入った。
早く、帰りたいんだろうと思った。
そんな彼女の行動に笑みをこぼしながら、私も彼女の後を追って中に入ると
「いい加減にしろ! お前達は全く反省していないだろ!」
そう先生に怒られている男子生徒が二人いた。
その姿を確認して
「……歩?」
横でそう呟いた歩美ちゃんの言葉を聞きながら
やっぱり遅刻したんだね、未來
私はそう心の中でそう思っていた。
昔、書いてたやつ




