ノート
会話文
春
「孤独はいいものだということを、我々は認めざるを得ない。なればまた、孤独はいいものだと話し合える相手がいるのは、もっといいことだ」
夏
「……急に何、言ってるのよ。春と秋のためにわざわざ放課後、学校に残ってまで勉強を見てあげてるのに」
春
「夏、うるさい。飽きたの。真面目に勉強したから疲れたし」
夏
「三十分もたってないけど?」
秋
「私も、飽きた飽きた。勉強なんてなくなればいいのに」
夏
「秋まで……」
冬
「ふふふ。はーちゃんもあーちゃんも、お勉強が嫌いですものね」
夏
「分かりきったことを笑いながら言うな冬。いい加減、私だってこの馬鹿の相手ばかりできないのよ? 少しくらい本人たちに自覚させないと」
足音。ドアを開ける。
四季
「ど、どどしましょう! 大切なノートがなくなってしまいました。助けてください、皆さん!」
冬
「しししーちゃん、おお落ち着いてください」
秋
「冬ちゃんこそ、落ち着いてくださいー」
夏
「どこかに置き忘れてきたとかじゃないの?」
四季
「絶対違います! 今日は鞄の中から出してませんもん。それに、何か変な紙もありましたし」
春
「……それを先に言え、馬鹿」
少し間をおいてから。
夏
「四季が言うことを信じれば放課後、職員室に行っているうちにB5用紙が鞄の上に置いてあった、と」
四季
「はい、それでノートがなくなっていたのです」
春
「実際、それが本当だったとして何で四季のノートなんか奪ったんだろうね」
冬
「確かに、どうしてでしょうね。絶対、くだらない物なのに」
秋
「冬ちゃん、四季にだけ辛辣だよね」
春
「嫌いってわけでもないんだろうけどね。……話がずれてきた。話題をこの紙のことに戻そうか」
続きはない。




