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突然のキス

そして、現在6月4日。

寮生活にもなれて、部活動を始めたルームメイトたち。

麻由美は中学からバレーで活躍していたため、高校でもバレー部に入った。

わたしと日向ちゃんは帰宅部。

稜希は室内サッカー部に入部し、壮太は帰宅部。

翔はソフトボール部に入部した。

帰宅部が多いけど、桜坂高校は部活がどの高校よりも少なく、帰宅を選ぶ生徒が多い。


今日は授業がいつもよりも早く終わり、日向ちゃんと二人で部屋にいた。

「ねぇねぇ!!菫ちゃんは・・好きな人とかいないの?」

「・・えぇ?・・好きな人?」

「わたしたちラッキーじゃない?学年で女子人気1、2位の稜希くんと壮太くんがいるなんて」

いつしか、学年で人気者の存在になった、稜希と壮太。

嫉妬が激しい女子もいるため、廊下で大胆に話しかけるなんて出来ない存在。

だけど、ルームメイトでもあるし、別に好意を持っているわけでもなく、

普通に接しているつもりだけど、やっぱりルームメイトだと、いろんな噂が出て大変だ。


「菫!」

「・・何?」

「俺のこと、やっぱり覚えてない?」

「え?」

絆創膏を貼ってくれたといい、入学式の朝に会った彼と似ている稜希。

「俺、自転車で転倒した菫、今思うと、助ければよかったって。」

「!!」

やっぱり、運命だったんだ。

入学式のときにぶつかった男子・・稜希だったなんて。

「・・・・・別にいいよ、怒ってないし」

「入学式間に合ったの?すっごい急いでたけど」

「あぁ・・うん、あと2分くらいで入学早々遅刻だった」

なんか、稜希だけはやっぱりほかの男子とは違う。

自分でもなんだか変な気分。

今まで感じたことのない気持ちで、稜希を見ているとドキドキしてくる。

「教室近いから、一緒に行こうぜ」

「・・・・・うん」

A組の教室の前で

「じゃ、部屋でまた」

「うん」

教室に入ると、クラスの中ではやや仲のいい男子3人が麻由美とわたしのところへやって来た。

なんでかニヤニヤして。


「お前さ」

「何?」

「榎本と付き合ってんの?」

「違うよ!ただのルームメイト」

やっぱり稜希といるだけで、付き合ってるじゃないか?って噂まで出てしまう。

「女子が騒いでるから、注意しとけよ?」

「そうだよ~?朝に菫の悪口何回聞いたことやら」

授業がすべて終わり、外出OK時間になると、日向ちゃんが私服に着替えて外へ出かけた。

きっと彼氏と会うんだろうな~と思いながら、わたしは寮部屋に入る。

すると、そこには稜希しかいなかった。


「どうした?元気ないけど」

「稜希は気づかないの?女子の視線とか」

思い切ってわたしは聞いてみた。

「別に。」

「本当に分からないの?」

「俺、そう言うの興味ないから」

「・・・・そう」

「でもさ」

「え?」

わたしを稜希は押し倒して、軽くキスをした。

ベットのカーテンをしめているし、わたしのベットは3段目。

普通に見たら、誰がいるかは分からない。

「俺、好きならとことん」

「とことん?」

「そう。好きなら誰にも渡さないから」

「それ・・どういうこと?」

また稜希はまぶしい笑顔を見せた。

「秘密」

「何それ・・?」

わたしまでなんだか笑顔になった。

「食堂でも行くか。」

「うん」

麻由美や日向、そして他の男子を連れて、食堂へやってきた。

席は決まっていて、ルームメイト6人用の席がずらりとならべてあった。

1学年4室と書いたところに定食を自分で買って、置いた。

隣は麻由美、向えは稜希。


『いただきます!』

大声で挨拶をして、食事スタート。

こんな生活にも、だいぶなれて、話も弾む。

入学して1週間は全員無言状態。

何かを話そうとしても、やっぱりシーンとなってしまっていた。

麻由美が小さな声で、

「ねぇ菫?」

「何?麻由美・・」

「さっきなんだけど・・」

「え?」

「稜希くんとキスしてた・・?」

そう、あの時、麻由美は部屋に洗濯物を取りに、静かに戻ってきていたのだ。

カーテンのしまっていたベットを見ておかしいと思った麻由美は

しばらく様子を伺った。

稜希とわたしの話し声が聞こえたのに気づき、部屋を出ようとしたとき、

キスをした音が麻由美には聞こえたのだ。

「・・えっと・・」

「別にどうでもいいんだけど・・したのかなって」

「いや、えっと、その」

「ふ~ん。やっぱり」

一口ご飯を食べて、飲み込むと、麻由美はまた、小さな声で

「付き合っちゃえば?」

「えぇ!?」

「優しいし、気さくだから、菫にピッタリだよ」

『ごちそうさまでした』


ご飯を食べ終わり、30分後、ルームメンバー全員がお風呂から上がり、部屋へ向かおうとしていた。

わたしは、いつも通りに寮部屋につながるろうかを歩いていると

日向ちゃんと壮太がキスしているのを見かけた。

わたしに気づいた壮太だったけど、そのままキスしている。

「・・・・・・!?」

日向ちゃんは確か20歳の彼氏と付き合っているって聞いた。

でも、どうして?

・・・・・・日向ちゃん、泣いている。

きっと彼氏と何かあったんだろう、と思いながら、そのままわたしは部屋へ入っていった。

するといきなり翔が、

「消灯時間が変更したって」

「え?」

「平日は午後11時から11時間の間」

「・・へぇ~」

「土日、祝日は午後10時半から11時の間」

「うそ?10時半?」

土日は唯一の休みの日。

部活がなくて、全員が早く部屋へ行ける日だ。

それなのに、どうしてこんなに早く寝なきゃ行けないのだろう。

「巡回職員をつけるって書いてるから、こっそりも無理だろうな。」

そんなことをしゃべっていると、日向ちゃんと壮太が部屋に入ってきた。

無言で入ってくる二人を見て、部屋にいたわたしたちは何があったのかと疑った。

「どうしたぁ?壮太」

KY気味だが、心配して壮太に近寄る翔。

「別に」

ベットに行って、カーテンを閉める壮太。

「日向・・?」

麻由美も心配するが、笑顔で

「大丈夫、なんでもないから。」

同じくベットのカーテンを閉めた。


次の日

「おはよう、菫」

「・・・おはよう」

制服に着替えたわたしと稜希。

そのまま、いつもどおりに教室へ向かう。

そこに、安田凛果という1年B組の女子がわたしの目の前に現れた。

稜希をチラ見してから、わたしを鋭い目つきで睨んだ。

「あんた、勘違いしてない?」

「え?」

「稜希はルームメイトだから優しくしてるだけよ!!」

「・・」

「稜希はわたしのものよ」


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