表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
学生に不人気な時代を研究していた大学教授、異世界で奴隷から皇帝へ  作者: 越後⭐︎ドラゴン
北部攻略編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/41

27話

 一方の戦場。

 ボヨウスイの副将であるトクとヨウチョウは、それぞれ一万の騎馬を率いてぎょうへ向かった。

 馬を替えながら、昼夜を問わず飛ばした。


 二人は秦軍より先に到着することができた。

 鄴の周辺はほぼ平坦である。だが、完全な平地ではない。

 くぼみや、わずかに斜面になっている地形を確認しながら、少し高所になっている場所に布陣ふじんした。


 チョウシは物見ものみの報告により、すでに洛陽らくようのボヨウスイ軍の一部が鄴に到着していることを知り、驚いた。


 今回の戦いの目的は、燕北部えんほくぶを荒らすことである。

 チョウシ軍の役割は、あくまで鄴を攻めると見せかけ、洛陽の軍が北部救援ほくぶきゅうえんに向かわないよう足止あしどめすることだった。

 また、皇太子こうたいしフコウに戦の経験を積ませる意図もある。


 土の魔法で防御ぼうぎょを構築し、燕軍と適度にほこを交える程度でよい。

 決して急いでいたわけではなかった。


 しかし、ボヨウスイ軍が先に現れたことで、あせりを感じた。

 トクとヨウチョウの軍は、秦軍を認めるや否や、突撃とつげきを開始した。


「ちっ! こちらにじんを組む時間を与えないつもりか!」


 チョウシは急いで歩兵を前に出し、やりを突き出させる。

 そして土魔法を展開し、皇太子を守る防御陣ぼうぎょじんを構築しようとした。


 トクとヨウチョウの軍は錐型すいがたとなる。

 先頭に立つのはヨウチョウだ。

 両軍は激突げきとつした。


 ヨウチョウは矛で突き出された槍を弾き飛ばし、歩兵の壁に割って入った。

 鋭い攻撃で、秦軍の前衛ぜんえいは真っ二つに割れる。


 そこへトクの軍が突入とつにゅうしてくる。

 秦軍の前衛はくずれ始めた。


 チョウシは旗を振り、中衛ちゅうえいの軍を広げる。

 そして前衛に伝令でんれいを飛ばし、割れた陣を閉じよと指示した。


 秦軍に入り込んだヨウチョウとトクは暴れ回り、前衛を討ちに討った。

 だが次第に、割れ目は元に戻り、包囲ほういされ始める。


「まずい! 囲まれているぞ!」


 ヨウチョウは狭まる包囲を抜けようと、左右に軍を動かす。

 だが、秦軍の中衛が広がって包み込んできたため、包囲はどんどん厚くなっていった。


「ふん。二万で十万に突っ込めば、囲まれるのも当然だ」


 チョウシは馬に乗り、ヨウチョウとトクを討ち取るために動いた。


「くそ! 出口が見えん!」


 トクも左右に動き、何とか突破口とっぱこうを開こうともがく。

 先の戦いでのチョウシは、土魔法で作り上げた防御陣の中で戦っていた。

 このような変幻自在へんげんじざいの陣を使うとは、予想外であった。


 二人は、秦軍が囲みに来ても突破できる自信があった。

 離脱りだつと突撃を繰り返し、翻弄ほんろうしながら削っていくつもりだったのだ。

 だが、チョウシのたくみな用兵ようへいの前に、あっさりと包囲されてしまった。


「お前! まだ生きていたのか! この死にぞこないが!」


 ヨウチョウの前に、チョウシが矛を構えて現れる。

 ヨウチョウは先の戦いで、壁に登ったところをチョウシに崩され、重傷じゅうしょうを負っていた。


「この間の借り、返させてもらうぞ!」


 ヨウチョウは叫び、チョウシに打ちかかる。

 だが、その矛は弾き飛ばされた。


めるな! 小僧!」


 チョウシの矛は石魔法いし・まほうによって巨大なつちとなり、ヨウチョウを叩き潰そうと襲いかかる。


「くっ!」


 ヨウチョウは馬から飛び退いた。

 次の瞬間、馬の首から頭が、チョウシの石鎚で叩き潰された。


「とどめだ!」


 チョウシが石鎚を振りかぶる。

 ヨウチョウは木魔法き・まほうを使い、つたでチョウシの体を締め上げた。


 ヨウチョウは馬を乗り換え、蔦ごとチョウシを突き刺そうとする。

 だが、チョウシがねんじると石の壁が現れ、矛を防いだ。


 チョウシとヨウチョウの一騎打いっきうちが続く間も、秦軍の包囲は進み、燕軍は次々と倒れていく。


 その時、角笛つのぶえの音が戦場に鳴り響いた。

 ボヨウスイの本隊が到着したのだ。


「チョウシをあなどったか……」


 ボヨウスイは、トクとヨウチョウが窮地きゅうちに陥っているのを見ると、即座に突撃を命じた。

 騎馬隊二万が、地鳴じなりを上げて秦軍に襲いかかる。


命拾いのちびろいしたな! 小僧!」


 チョウシは蔦をすべて払いのけ、ヨウチョウから離れた。

 そして旗を振り、軍を散開さんかいさせる。

 ボヨウスイの突撃をいなし、正面衝突しょうめんしょうとつを避けた。


 駆け抜けたボヨウスイが反転はんてんする。

 だが、すでにチョウシは後衛こうえいに合図を送り、横腹よこばらを突くよう動かしていた。


 前衛と中衛はまとまり、方陣ほうじん形成けいせいする。

 だが後衛は新兵しんぺいが多く、ボヨウスイの動きについていけず、横腹を突くことができなかった。


 トクとヨウチョウは包囲が解けたすきに抜け出し、再び高所の本陣ほんじんに戻って体勢たいせいを整える。

 そして勢いをつけ、チョウシの方陣のふたを割らんと突撃した。


 ボヨウスイもまた、方陣の蓋を狙い、火のひのとらの魔法を放つ。

 巨大な火の虎が、秦軍に襲いかかった。


 チョウシは急いで土魔法による防壁ぼうへきを作り出す。

 だが即席そくせきの防壁は、先の戦で作り出したものほど堅牢けんろうではなく、火の虎を受けるとボロボロに崩れ去った。

 蓋として構えていた秦軍は、少なからず燃え上がった。


 そこへトクとヨウチョウの軍が勢いよく突撃してくる。

 方陣は蓋が割れれば終わりである。


 チョウシは左右からそれぞれ五千の騎馬を繰り出し、トクとヨウチョウの側面そくめんを打とうとした。

 さらに、方陣の外でもたついていた後衛に合図を送り、背後はいごから打てと指示する。


 トクとヨウチョウが方陣の蓋にぶつかる。

 兵と騎馬が激突し、大きな衝撃が陣全体を揺らした。


 完全には割れなかったが、半分ほどが突撃で倒れた。

 トクとヨウチョウの側も、馬ごと倒れる者が多かった。


 二人は反転する。

 そこへ左右から秦軍の騎馬が迫る。

 だが後衛の動きはやはり遅れ、チョウシの思惑おもわく通りにはならなかった。


 騎馬隊同士が交錯こうさくする。

 双方に犠牲ぎせいが出たのち、トクとヨウチョウは元の位置へ、秦軍の騎馬も引き返した。


 秦軍の後衛がようやく方陣に合流ごうりゅうする。

 チョウシはそれを、そのまま蓋の補充ほじゅうとした。

 動かず槍を突き出すだけなら、できるだろう。


 そこへ、再び火の虎が襲いかかる。

 チョウシは完全にきょを突かれ、対応が遅れた。

 あれほどの大魔法だいまほうが、二発も来るとは思っていなかったのだ。


 補充したはずの蓋は焼かれ、兵たちは炎に包まれた。


 チョウシは必死に土魔法を使う。

 土は砂となり、燃え上がる兵たちに降り注ぎ、火をある程度抑えた。


 チョウシは方陣を維持したまま、数里すうり後退こうたいした。

 皇太子の軍は戦闘に介入することができず、そのまま共に後退する。


 ボヨウスイも大技おおわざを二発放ち、疲弊ひへいしていたため、これ以上の攻撃は行わず、陣をまとめた。


 チョウシは、思いがけず初日から激戦げきせんとなった戦況せんきょうに、頭を抱えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ