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山田 百々瀬の心の中?(1)

 俺のあえない反応に呆れた山田、今度は自分が話の仲間外れにされてしまって苛立ちを抑えられない駄々っ子ワタっこが、同時に俺を責め立てる。


「そんなノーリアクションの男子は、この修学旅行における恋の恩恵に預かれないままで一生を終えることになっちゃうぞ〜?」

「おい木綿。お前さっきからボクのこと無視してないか? そんなんだと、誰ともお付き合いできずに一生を終えることになるぞ」

「そうだよねぇ綾瀬ちゃん……いや、ワタコちゃんって呼ぶね勝手にそうするよ? 女の子のお話にもろくに耳を傾けられないんじゃ駄目だよね〜っ」

「意見があったな山田。この木綿は、ボクという管理者権限を持った優秀なアドバイザーがいながら、まるでボクを使いこなせないヘタレなんだよ」

「ほぇ〜。またそういう設定? 中二病的な」

「違う。断じて違うぅっ!」


 ひでぇ。ひでぇですコイツら。俺をなんだと思ってるんだ……確かに、山田に対して反応がやや薄かったかもしれない。それは認めよう。だがワタっこよ、お前はただ俺を攻撃してやりたいだけだろう。


 中二病という不名誉な称号を受け入れることができず、俺への怒りをぶつけているのだろう? しかもコイツ、管理者権限とか言うなよマズすぎるってば。なんか上手いこと誤魔化せてるけどさ。


「と、とにかく。まだ昼休みは終わってないらしいぞ。山田は早く飯食え」

「はぁ〜い」


 横にいるワタっこが『ボクは? ボクには何も言ってくれないの』みたいな視線を俺にじとっと浴びせてくる。何なのさ。


「ボクのハムサンドもう全部なくなったから、木綿のちょうだい」

「嫌だこれは俺のラーメンだぞ」

「じゃあ勝手に食べるから」

「何だそれ! くそこんな横暴な性格誰に似たんだ……」

「そりゃ木綿に決まってるでしょ……ボクは木綿から生まれてきたんだからさ……」

「おい説明がめちゃくちゃ面倒くさくなることを普通に言うなって……」


 ほらクラス中がザワザワし始めたぞ。どうすんだこれぇ。


「おい綾瀬……お前父だったのか」

「この歳で……苦労も多いだろうに」

「私に何かできることがあったら、遠慮なく言ってね綾瀬くん」

「みんな味方だからね」


 違うってば何言ってんだコイツら!


「モモ〜ちょっとい〜?」


 俺たちのくっつけた机へと、他クラスの所属であろう女子生徒三人が近づいてきた。俺に『すんませんコイツ持って行きますね』と軽く詫びを入れてから、山田の腕を引き、強引に連れて行ってしまった。山田は『うわーんちょっと待ってよ……また飯食おうな二人とも〜!』と言いながら廊下へと消えていった。


「あぁ行っちゃった山田が。随分と焦ってたねあの三人。人間は生きていられる時間が少ないもんなぁ気の毒だね」

「別にそういう理由じゃないと思う」


 しかし、山田はどうして最近になって俺たちにーーーとりわけ俺に深く関わってくるようになった? 確かに山田の席は俺の後ろで、話す機会も多いわけで必然と言えばそうなのかもしれないが。


 にしても、普通あのスポーツ万能で目鼻立ちの整った性格のちょっと残念な人気者の山田が、どうして俺のような男子と急に飯なんか……

 

 今日転入してきたワタっこがいるから、話してみたいという理由からだろうと思ったが、山田は四時間目終了のチャイムとともに俺の机へと現れた。それは、ワタっこが俺のところへ『おいもう帰っていいのか?』と倒れ込んでくるよりも先のことだったのだから不思議だ。


「……山田は、俺と飯を食いたかった?」

「うわ、木綿が気持ち悪いこと考えてる気がする」

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