表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/38

一件は落着し得るもの

「と、とりあえずは一件落着だ」


 俺は、あの後なんとか氷の理性を暗闇の中から引っ張り出すことに成功した。一時はどうなることかと思ったがSUB MISSIONも達成し、氷さんの風邪も多少は和らいだということで万々歳というわけである。


 一番初めに出現した、残り二つのSUB MISSIONこと《おかゆを食わせろ》と《好きと言われろ》は、一見達成が困難なのではないかと思われたが、意外にもすんなりとその終了判定の表示を見ることができた。わぁーい。


 《おかゆを食わせろ》に関しては、もちろんそのまま。持ってきたレンチンおかゆ(パウチタイプのやつ)を氷に食わせて達成。残る一つ《好きと言われろ》。


 こちらは、その難易度の高さは一見して今までで最高かに思われた。しかし、俺は気づいたわけだ。別に『好きだ』という相手が限定されているわけではないことに。


 俺は、懐に忍ばせておいた《戦国武将チョコ》を引っ張り出し、氷に手渡した。その時、金の髪をふわふわ漂わせながら肩を躍らせた氷の言った言葉がこれである。


『私、この期間限定冬仕様の豊臣秀吉、通称《冬よ来たれ! そなたの心を温めるのはワシ》のトミー好きなのよね。頭にカチューシャ着けてるのが素敵」


 ててーん!

 はい、達成。俺の勝ち。


 と、まあこんな感じで俺の人生で一番長い(多分)約一時間を、戦国武将と攻略チャートちゃんの助けを存分に借りてなんとか切り抜けたのであった。


 明日は日曜日だ。とにかく、ここでしっかりと休養を取っておかなくては、俺とてまた風邪をぶり返してしまう可能性がある。大好きなぶり大根でもはふはふしながら、今日はとっとと家に帰って寝よう。


 ーーーえ?

 俺が、どうやってチューなしであの場を切り抜けたかって? 簡単なことさ。もう全然簡単。


 目を閉じている氷の唇へ、自分の右手人差し指と中指を押し当てただけです。そうです、俺はこういう男なんです。だってしょうがないじゃん! 駄目じゃん! キスは本当にしたい男とするもんだろ! へへーんいいもん俺が正しいもん! へーんだ!


『なんか一人でぶつぶつ言ってて気持ち悪いなぁ』

「ぎゃあああああああああ!」


 だ、誰っ!? 誰なのっ!? 俺の耳元で話しかけてきた人っ! っていうか俺、声漏れてた!? いやぁん!


『違うよ、ボクだよ。後ろ見てよホラ』

「こんな声の人知らないよ誰だよぉ......」


 俺が恐る恐る後ろを振り返ると、そこには黒の冗談みたいに綺麗なドレスを身にまとう少女がいた。


「いや誰?」

『おっ......おいもう忘れたのかよっ。さっき、氷が気に入ってるゲームの326話のセリフ探し出してやったのはボクだろ』

「......ああっ! ええと攻略......チートさん?」

『違う』

「網膜ミート様?」

『もう全部違うよ! 《攻略チャートちゃん》だよ!』

「何でお前ここにいんの!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ