幼馴染の危機まで300秒
「ごっ......ごごごごごご」
五分っ!?
『どうしたんだよ急に風神雷神のモノマネなんかして』
「風神雷神ってこんな感じなの!?」
ちなみに風神? 雷神? いや今はそんなのどうでもいいから。
「マズいぞ......時間があと四分くらいしかない......あ、そうだ! お前に一つ聞きたいことがある!」
『なーに?』
「このミッション......色々分からないことが多いけどさ、これ達成できなかった場合って、その相手は本当に死ぬのか!?」
『木綿、ちょっと声大きいぞ氷が起きる』
「うっ......しまった」
『......そうだね、ボクの知る限りでは、達成できなかったら相手は確実にその命を失うことになるよ』
「うわあああ何てこったぁ!」
頭に『じゃあどうして俺はミッションを達成できなかったのに、生きていたんだろう』という疑問が降って湧いたが、とりあえずその疑問についてはのちほど考えることとする。
《ミッション 雪原 氷とイチャつけ》......
そもそもイチャつくの定義って何だよ。人によって変わるだろその基準。どこまでを求められているのかしら。じゃあ聞くけど、さっき俺が氷にくっつかれたりひっつかれたりした時のは、イチャつくに含まれないわけ? どうなの?
「どうなのさ攻略チャートちゃん」
『ちょっと問い合わせてみるわ......あ、駄目らしいです』
「駄目なのかよ!」
くそ......一体俺にどうしろってんだ。つまり、この左上の表示が望むイチャつくシチュエーションを見せつけろということなのか? そうなのか。何て趣味が悪いんだ。
俺は、氷を起こしてしまわないように極力小さな声で、攻略チャートちゃんへ問いかける。
「じゃあさ、俺は何をすればいいんだ」
『木綿が思いつく、一番のイチャついてる様子を演出すればいいんじゃない? 多分。知らないけどね』
「適当だな! 本当に攻略チャートなのかよお前!」
『だってぇ〜。ボクにもあんまり分かんないし』
「頼りにならねぇ!」
ならば......俺は何をするべきなんだ?
氷が......思わずドキドキしちゃうようなことをすればいいわけだ。
氷が嬉しいシチュエーション......冷静で顔にもあんまり感情が出ない幼馴染が、嬉しいシチュエーション......
「いや分かるか! くそっとりあえずイケメンなセリフでも吐いてみるか......『よぅお嬢ちゃん......その熱っぽく火照った顔も、素敵だぜ』」
『オエエエエエエ! 気持ち悪い』
「お前性格どうなってんだ!」
最低な攻略チャートはさておき。
気持ち悪い俺のセリフに反応したのか、氷が身体を小さく動かした。しかし、左上の表示の制限時間は依然として進行していく。
「駄目だ止まらねえ! あと二分しか無いぞ!」
『仕方ない。木綿くんこれを使うんだ。多分このままでは、君は気持ち悪いセリフを吐き続けるだけの地獄みたいな男になってしまう』
「何だっ!?」
攻略チャートちゃんの声に合わせて、視界左上の表示が変化した。これは......《氷のドキドキ・ゲージ》!?
『これがあれば、幼馴染がどんなことをされてドキドキするのかが把握できる。さあ、残り二分で相手が思わず顔を覆い隠したくなっちゃうようなセリフを吐いてみろコラ!』
「怖っ!」




