それ以上は理性が持ちませんことよ
「行っちゃやだぁ......」
「な、なななななな」
手、手握られてるっ!?
何で!?
何が!?
何に!?
どうしてっ!? why where which who when!?
俺があり得ないほどに動揺している間も、氷は泣きそうな目で俺を見つめながら、室内へ入りたい俺を阻止してくる。というか結構力強いなあなた......
おばさんを呼びに行こうとする俺の右手を、自身の両手でもってがっちりと固定......していただけのその手を、氷はいつの間にか片方を俺の腕に回し、片方で手を握ってくっつき虫のように俺へとまとわりついてくる。というかだな、氷? 俺はお前にたった今言わなくてはならないことができた。
胸が当たってるんです氷さん。マズいんです。
「こ、氷? 一回離れよう? な?」
「んぇ〜......? 何でぇ〜......?」
「ほ、ほら俺の身体に未だ残留している風邪のばいきんとお前のばいきんが融合して、凄まじい化学反応の末に変なのができるかもしれないだろ」
我ながら意味が分からない。しかし、俺の意識はもはや使い物にならない。何故なら、氷の熱を帯びたあったかい身体と、ぎゅっと握って離そうとしない腕などなどが俺の思考を完全に邪魔してくるからだ。
「な〜に言ってりゅのよ〜......」
「いやそれはそうだ自分でも何言ってるのか分からない」
「じゃあ行かないでよぉ〜......」
至近距離で見つめてくる氷。俺が顔を少しでも逸らそうとしようものなら『ねぇ〜』と背伸びして顔を近づけてくる。何? 何なのこれ。
俺は、ここで初めて氷のせいで心拍があり得ないほどに速くなっていることに気づいた。まさか、幼い時からの幼馴染に鼓動を乱される時が来ようなんて、思いもしなかった。マジで。
「氷、こんなに動いたらお前、悪化しちゃうぞ。ほら俺から離れて部屋に行かないと......!?」
どうやらおばさんは家にいないようなので、俺が氷を部屋まで送ってやらないとーーーそう考えた時のことだった。
《ミッションその一 雪原 氷とイチャつけ》
《ミッションその二 おかゆを食べさせろ》
《ミッションその三 『好き』と言われろ》
「はい?」
すっかり脳から溢れ落ちてしまっていた、視界左上の表示がこのように変化したのであった。
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